六二 ダンジョンの不都合な真実
「見て欲しいって・・薬草やらキノコなんかなら見ないわよ。これでもギルド本部副マスターだからね。そういったものは下の成長の為にも下にさせるのよ」
「いえ、折角なので昨日まで潜っていたそこのダンジョンの品々を見て貰おうかと思いまして・・」
「・・あのダンジョンに?参考までにどこまで言ったか教えてくれるかしら?」
いぶかしげな顔で言ってくるライムさん。
「一応踏破したのぢゃ。四階層仕立てぢゃった」
タマキが言うのと同時に、ワシは証だという玉を見せる。
玉を確認したライムさんは少し驚いていた。
「あなたちって、たしかこの間登録したばかりのルーキーだったわよね。それなのに踏破・・しかも四階層?随分と短いダンジョンなのね。あまり期待できそうにないけどなにか珍しいものがあったかしら?」
「珍しいというか、いきなりオークの軍団に出くわして、次は川辺の魔物、主に河童の軍団ぢゃったぞ」
「えっ!?それって一階層からのことよね?」
「そうぢゃ。その先も言うかの?三階層は長い廊下を歩いた揚句に古今東西のウシの魔物軍団、最後の四階層は山登りの道すがら古今東西のサルの魔物軍団ぢゃ」
「軍団ばっかりじゃないの」
「事実だからしょうがないのぢゃ」
「そうなんだよなぁ・・」
「ちなみにどれくらいの軍団なの?軍団といってもピンからキリまであるじゃない」
「ざっと見た感じ千は居なかったのぢゃ」
「そうだな。最後の山はちょっとわからないけど視界が魔物で覆われるぐらいではあったけどそんなにはいない感じだった」
そこまで言った所でライムさんは黙ってしまった。
ミケさんに至っては腰をぬかしてへたり込んでいる。
その様子にワシらは慌てる。
「ちょ、ちょっとどうしたの二人とも?なんかワシら変な事言った?」
「そ、そうぢゃよ。見たまんまを言っておるのぢゃよ」
「・・見たまんまって、キミたち自分達がどんなダンジョンに挑んだか分かってる?」
すいません。わかってません。
「視界が魔物で覆われるレベルってダンジョンレベル9の危険地帯じゃない!」
「なんですか?そのダンジョンレベルって?」
「ダンジョンの難しさによってつけられるレベルにゃ。最高難易度は9・・にゃ、にゃからここは最高に危険にゃダンジョンということにゃ・・」
「ルーキーがそんなとこに入っているんじゃないわよ!!」
「そ、そんなこといわれたって・・・」
知らなかったんだからしょうがないじゃないか!
ワシらだって好きではいったわけじゃないし。たまたま森を抜けたらあったから入っただけだし。
そしてそんな危険なダンジョンなら放置せずにちゃんと調査をしてください!
「た、たしか君たちのカードって今更新凍結されている作ったばかりの奴だったわね。ちょっと見せて!それから・・この玉に手をやって!!」
鬼気迫るライムさんにおされてカードを渡し、玉に手を置く素直なワシら夫婦。
カードの情報が光って変わる。その変化にまた一段と大きな声が起きる。
「な、なによ・・これ!!君たち!!あのダンジョン以外はいっていないのよね!!??」
「は、はい!そ、そうです!」
「有り得ないわ、有り得ない・・・!君たちレベルが50ぐらい一気に上がっているわよ・・。タマキさんにいたっては60??!こ、こんなこと・・!!?」
これはさすがに驚いた。上がり過ぎだなワシらのレベル。
いつのまにかタマキにレベル抜かれていたんだが、まあ、戦った数が違うか。
ひとしきりここがどういったダンジョンか知ってもらったら、ライムさんは先程まで渋っていたのが嘘のように快く査定を受けてくれた。
ワシは道具箱から素材を一種類につき一つ出す。
それを片っ端からみてくれて、さらに依頼にあるかどうかを知らせてくれてある分はその量を出す。
ついでに今回の分も今までの分と合わせてくれるらしいので、買取の方もお願いした。
ライムさんは「あんまり得意じゃないんだけどね」とか言いながら、本部への魔法陣を書き、「そこにモノをおけば転移されるから次々置いちゃって」とのことなので道具箱から次から次へ出していく。
「ちなみに生モノって買取してくれていますか?」
「してないこともないけど・・ちなみに何?」
「キュウリですね。多分一生分以上ありますけど」
「・・・・なんとかしてあげるから出しなさい」
依頼にはない、ヤバい武器の数々も見せたのだがこちらの方は見ただけではなんともということなので本部に戻ってから調べて貰う事になった。
もちろん、問題になるといわれた神話級以上は伏せてである。
一通り出し、やれやれ言ってるとライムさんが申し訳なさそうに言ってくる。
「すごい量だから、ちょっと時間をいただくけどいいかしら」
「問題ないです。しばらくここにいようと思ってますし・・」
「それはよかった。それからミケさん、ちょっといいかしら?」
「・・にゃんですかにゃ?」
「多分なんだけど、あなたここのギルドマスター降りて貰う事になるとおもうけど・・」
「にゃんとにゃくそう思っていましたにゃあ・・こんな凶悪ダンジョン、ボクは怖くて管理できにゃいにゃ・・」
「・・これからどうする?今回の件は調査を怠った本部にも問題があるから出来る限りの事はしてあげたいのだけど。他のギルドで働くならば口利きはするわ」
「そうですにゃあ・・」
そういうと暫く考えたあと、チラッとこっちを見たミケさんは意を決して言い放った。
「それならば、ボク冒険者になって、モリーさんとタマキさんと一緒に行きたい!」




