六一 確認は副ギルマスのもとで
「・・・・・・・」
沈黙が支配するギルド内。
開けたはいいが何もしゃべらない緑髪美人。
いっぽうのミケさんも普段誰も来ないギルドへの突然の来客に驚いている。
「え~と、ミケさん?お客さんみたいだけど・・・」
「・・っにゃっ!!?そうでした!いらっしゃいませ」
なんとか驚きの状態から回復して挨拶をするミケさん。
「・・・・・・・」
挨拶したにもかかわらず緑髪美人の状態はかわらない。
なにかを値踏みするようにこっちを観察しているような?
「・・本当に人がいるわね・・予想外ね・・」
「え?あの~・・・」
「あ。これは失礼。私はギルド本部副マスターの一人でライムと申します。はじめまして」
・・え?なんで??いきなりなんか大物が現れたちゃったよ??
「ちなみに既婚だから狙っちゃだめよ、ボウヤ」
ミケさんに言ったのか、ワシに言ったのか微妙だけど、たいした自身である。
綺麗な人だけど、女の人だったか。中性的だったので分からなかった。
よく見たら背中にちっちゃい白い翼が・・まさか、数ある人族のなかでもかなりの少数族、天使と人の子の末裔、天人族か?
「え、えと。ほ、本部の偉いさんが来るぐらいに今回の件はおおごとにゃのですかにゃ?」
ミケさんがふるえながら質問する。たしかにびっくりするなというほうが無理だな、これ。
肩書きから察するにおそらく世界に散らばるギルドの総本山のナンバー2だろう。
いくらギルド本部から人が来ることが分かっていてもこんなのが来るとは普通思わない。
「いえ、そうではないのだけどね。これぐらいの事は一年に一度あるかどうかだけど普通にあるし。ただ、今まで一度も納品がなかった場所だから、犯罪の可能性も考えられたからね。念の為ある程度上のひとが行こうってことになったのよ。ギルドの上の方の人は総じて強者が多いからね」
どうやら念には念をという事らしい。
言っていることに矛盾はなく、もっともなことだ。
「あくまで上の方が来ればいいだけで、副マスターたる私が来る必要も予定もなかったんだけど、一週間前に旦那と大喧嘩してね。あの馬鹿、既に13人もいるのにまた嫁を増やすとか言いやがって、しばらく顔も見たくないわ。そう思っていた時に今回の件の話を聞いてね、気がついたら手を挙げていたの」
一夫多妻にもいろいろあるらしい。
「で、あたながミケさんかしら?オスカーとエリザの子よね?驚かせてごめんなさいね」
「え!?両親を知っているのかにゃ!?」
「一応、本部副マスターだしね。全ギルドの職員ぐらいは覚えているわよ?それと、そっちの二人が今回の件の根源かしら?」
「まあ、そうぢゃのう」
「ふ~ん・・。特に悪い事をしそうには見えないわね。じゃ、せっかく居るんだし少々顔を貸して貰えるかしら」
そういうとライムさんは、ミケさんへの手土産だった肉まんをかじりながらヨーコさんばりの質問攻めを始めたのだった。
質問の内容は、何処で採ったかとかどうやって集めたかとかだったんだけど、集めたのはアイテムボックスに入れてたというのでなんとかなったが、問題は入手場所だ。
そこの森で採ったのもあるけど、大多数はどこかわからない無人島で採ったものだ。
どう言ったものか・・いっそヨーコさんのネームバリューを使うか・・。
「・・いいにくいんだろうけど、もうちょっと詳しく説明してくれないかしら?」
「あ、それのう。魔王討伐隊におったヨーコというのを知っておるかの?」
ワシがどうしようか考えている間にタマキがあっさりと使いやがった!?
「知ってるも何も・・私も元討伐隊だし一緒に戦った仲間よ」
そしてこんな所にヨーコさんの同胞である。
「なら話が早い。ウチはそのヨーコの養子ぢゃ。で、今までどこか分からない無人島で暮らしておったのぢゃ。モリーはそんな時島に流れてきたのを一目ぼれしたウチが旦那にしようと決めたので、一緒に暮らしておった。島からでれない子供のウチらはそのまま無人島で暮らしておったのぢゃが、ヒマでのう。ちょくちょく薬草とかを集めたりしていたらああなったというわけぢゃ」
「・・その期間はどれくらいかしら?」
「おおよそ五年といったところかの」
「今の話は本当かしら?」
「まあ、本当ですね」
おおよそのことを話してしまったな、タマキよ。
それも以前話していた嘘設定まで持ち出して、ね。
だが道順は合っているし、これ以上ない説明ではあるかな。
「・・それが本当ならば、一応納得はいくわね。あの量も五年分と考えれば普通、か」
「ボクと同じぐらいめずらしい生き方をしているのにゃあ・・」
納得するライムさんとなぜか共感しているミケさん。
「では、認めます。今回の依頼五十六件と薬・素材の買取全て受け入れます」
なんとかなったみたいだな。
「金額は今はちょっと持ち合わせが無いから、本部に書類を送っておくから明日にでも用意できると思うわ。もうちょっと待ってね」
「それは全く構いません」
「それにしてもヨーコちゃんが養子かぁ・・たしか結婚は鬱陶しいとか言っていたっけ・・なつかしい。そういう生き方もよかったかもしれないわね。今はどうしているのかしら?」
「旅に出るとか言ってました。無人島に続いていた魔法陣も今は消されています」
「・・そっかぁ・・懐かしいなぁ・・私も結婚なんてしないで気ままに生きた方がよかったかなぁ・・」
なつかしむライムさん。
ヨーコさんがどうとかというよりは自分自身の今の境遇に不満を抱えているようだ。
しかしこんな大物にこんな簡単に会えるとは思いもしなかったな。
ギルド本部副マスターってなぁ・・あ、そうだ。
「ライムさんは鑑定とか査定とかってできますか?」
「そりゃ、一応ね。専用機器とかないから専門的には今はできないけど、大方のことは出来るわよ」
これってチャンスじゃないか?
「それでしたら見て貰いたいものがあるんですが・・・」




