五八 暇な給仕は仕事が早い
あけましておめでとうございます。今年もゆるりゆるりと書いていきますのでよろしければおつきあいください。
ヨーコさんと別れ、夕飯を作り、夕飯を食らう。
今日はタマキのリクエスト通りトンカツである。
しっかりとラードを使って揚げたトンカツは今までのよりうまい。
たまにはということでヨーコさんとメイも誘って、だ。じつは4人そろっての食事はこれが初めてだったりする。
メイは元々魔力でうごくロボットみたいなのだから、食べなくても何ら問題はない。が、べつに食べれないわけでもない。味覚だってあるのだ。
口々においしい、おいしいと言ってもらえて嬉しいが、それは単に食材や調理方法だけではなく、大人数での食事だということもあるのだろう。
食事が終われば、タマキは後片付けをちゃんとしてそそくさと自室へとひっこんでしまった。なにか急いでたようだけど・・・ん?前にもこんなこと無かったっけ?
やることもないので珍しく一人でビバノン・ロックを口ずさみながら長風呂を楽しんだ。
風呂から出て何をしようかとフラフラしていたら、階段付近でメイに出会う。
「あ、モリーさん。丁度いい所に。お時間よろしいですか?」
「ヒマだし構わないけど・・なんかあったの?」
「いえ。お伝えし忘れていましたが、例のコレクションルームの方、準備が整っています」
「え?もうできたの!?」
この玉って外と同じ時間が流れてるんだったよなぁ・・。
となれば、一週間程度の時間で作ったことになるんだけど、早すぎないかい?
「はい。ヨーコ様の話し相手という日課以外はここの給仕はヒマなのです。モリーさんたちは外だし、ヨーコ様もほとんど部屋の中。給仕とはいえ掃除洗濯はしなくていいし、来客もないです。今のところは闖入者もいませんから警備もヒマ。やることないからやってましたが、いつの間にか出来あがっていました」
「それって、今からでも見れる?」
「全く問題ありません。早速行きますか?こちらです」
そういうと階段のわきにある扉に入って行くメイ。
え・・・たしかあそこは地下牢への入り口・・だったよな・・。
たしかに、何処にとかそういうのは言ってなかったけど、おい、もしや牢屋につくったんじゃないだろうな・・!?
その心配は杞憂におわった。地下牢への長い階段の途中に部屋が出来ていたのである。
たしか踊り場もドアも何も無くただただ螺旋のような階段が続いているだけだったはずなんだがね。
聞けば、元々ここには隠し部屋があったのだとか。
「ご要望通り広く日差しを受けない明るい部屋をご用意しました」
ドアをくぐるとそこは広い空間だった。
ねぇおかしいよねこの空間?上から見た屋敷の広さと同じぐらいあるだろ、これ?
「お察しの通りここは住居と地下牢の間です。魔力によって常時明るいですが日光ではありませんので。そしてこれ以上広いスペースはありません。屋敷の輪切りの広さですので。それと言われていた通り展示できるように四方八方いいようにしていますし、中央にはじっくりゆっくり眺められるように机や椅子、ソファーなんかも用意しました」
まるでどこかの美術館である。
展示スペースはガラスのような透明な板で中がちゃんと見えるようになっているし、そのスペースもちゃんと言った通りフィギュアの大きさに合うように可変で、空間が空きすぎないように5段の棚になっている。
部屋の状態も、地下と思えない明るさだし、空調もいい。
たしかにこんなスペースをいっぱいにできたら、コレクターとしては本望だし壮観だし用意してくれているソファーに座って何日でも眺めていられるだろう。
しかし、広すぎる。これいっぱいにするにはどれだけ時間がかかるんだろうか・・・。
頑張りすぎだとおもうんだけど、メイが会心の出来ですと胸をはっているからなにも言わないでおこう。
ひとまず感謝の意を伝えておいた。
部屋が出来たなら早速並べて行こう。
タマキとメイのフィギュアを中央のソファからよく見える円柱のケースに置き、それから壁側のケースに他のを散らばせておいていく。
なんだかんだで、この二人のフィギュアはワシにとって特別だからな。
嫁と、はじめて倒した魔物だからね。
その他のはほとんどタマキが倒して行ったものだから、そこまで愛着もない。ただどいつもこいつも精巧にできているので飾る価値はある。おそらく前世で買っていたら一体につき1~2万ぐらいはしただろう。そうかんがえるとここにある分だけでかるく100万円以上かかる計算になる。
・・・前世のものさしだととんでもない趣味だな、これ。
世の嫁さんがいい顔をしないわけだ。
メイに手伝って貰ってとりあえずケースに収めておく。
「とりあえず収めただけだから、メイがこっちの方がいいとか思ったら配置を変えて貰って全然構わないから。ただあの円柱のだけは変えないようにね」
「かしこまりました。ヒマな私にすることを与えて頂きありがとうございます」
「それと引き続きこの部屋のレイアウトもお願いね。いまのままでも十分だけど、もっとこういう風にした方がとかあったら遠慮なくやってくれていいから。さすがにあまりにもな場合は注意するけど・・。それと次回からは人形を手に入れたら特別な奴以外は渡すから好きに飾ってくれ」
「そちらもかしこまりました。では今後もこの部屋をよりよいコレクションルームにするべく頑張ります。ヒマな私にすることを与えて頂きありがとうございます」
大事なことなのか二度同じ事をいったメイはさっそくフィギュアの配置転換をするらしく、あーでもないこーでもないと楽しそうにやっている。
・・・給仕というのはそんなにヒマなのかな?




