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四八 一件落着とこれからのこと

結構な時間が経ちようやく風呂場から戻ってきた二人は対照的な顔色だった。

赤く染まったミケさんは分かる。

きっと上から下まで脱いで確認してもらったのだろうから、恥ずかしかったのだろう。

猫耳まで若干赤い気がする。

問題はなぜか青ざめているタマキのほうだ。

なにかショックなモノでもみたのだろうか。

先ほどまでのミケさんと同様、見るからに尻尾が垂れ下がって元気がない。

それとなく聞いてみたら、


「・・・・ウチより胸が大きかったのぢゃ・・・」


・・あんまり気にしていなさそうだったけど、同年代が近くにいなかったからだったのか。

やっぱり気にはしてたのね。

そ服着てるとタマキと変わらんぐらいなのに、ミケさん着痩せするタイプなのか。

でもワシはタマキの胸好きだよ。


「・・・ボク、やっぱり、女の子でした。疑ってごめんにゃさい・・」


部屋に戻って座ると同時に、謝罪してくるミケさん。


「い、いや。別に謝るようなことじゃ・・」


こっちが恐縮してしまう。


「・・でも、ありがとうございますにゃ。尻尾の事はどうしようもにゃいけど、心のほうは間違ってにゃいのがわかったので、これから向き合っていこうと思いますにゃ。それから、タマキさん色々教えていただいてありがとうですにゃ・・」


もしかしておせっかいなことしてるかなとも思いはじめていたので、向き合うという前向きな言葉に救われた気がする。

それとは別に気になったのが、タマキに礼を言ったあたりで元々赤かった顔が更に赤みを増したことだ。

そのときは赤くなった理由が分からなかったが、あとでそれとなくタマキに聞いてみたら、風呂場でみっちり保健体育の授業を行ったんだそうだ。

そりゃあもう、出血の場所から、子供の作り方、さらには男の悦ばせ方まで自分の知っている性知識を余すことなく教えたらしい。

知識の出所は自分の経験と残りの大半は例の本の知識らしい。

女かどうかの確認をして貰う筈が、そんなことまで教えてもらうとはミケさんも思わなかっただろう。そりゃ赤くもなるわ。


ミケさんが女というのが判明して、本人にも納得してもらったところでさすがに遅い時間ということでお開きになった。

ミケさんは自室に戻り、ワシらはリビングに雑魚寝である。

泊めてもらっている以上なんの文句もないけど、すごい久しぶりだな、雑魚寝。


「なあ、モリー」


二つ布団を敷いてもらっているのに当然のようにワシの布団にもぐりこんでいるタマキ。


「ちょっと考えたんぢゃがの。しばらくこのミケの所を拠点にしてはどうかの?」


「ん?急ぐ旅じゃないし問題ないけど、どうして?」


「人生を変えるかもしれな重大な事を結論だけ告げて、すぐに居なくなるというのもちと心苦しくての。ウチらがいれば取りあえず一人ぼっちにはならないしの。なんだかんだ言っても、どんな理由があっても一人はさびしいのぢゃ」


たしかに一理ある。

爆弾落して逃げるようなモノだしな。

それに一人ぼっちはたしかに・・・な。理由を知ってしまったらなおさらだ。


「あのタイガとかいう義母君の幼なじみも話の最中にここから一週間もかからない範囲に他のダンジョン、つまりは村みたいなのがあると言っておったぢゃないか」


「そういえば言っていたな」


タイガさんはそれらの村を素通りで突っ切るとも言っていたけどな。


「一個攻略しては戻りを繰り返せばいいのぢゃ。体力と魔力をすごく消耗するけど、便利な無魔法『リターン』を使えばそれも簡単ぢゃろ。戻った先はここぢゃし安全ぢゃ」


タマキの無魔法『リターン』は一度行った場所に行ける便利な魔法だ。

だがその分消耗も激しい。

最大体力の1/3、最大魔力の半分をごっそり消耗する。

タマキだからこれで済むのである。

ミケさんのステータス程度、つまり一般的な人が使えばまちがいなく使えない上に倒れるだろう。


「ま、ミケさんの様子が気にかかるっていうのは分かるし、こんな辺境だけどワシらはやっと島から出てきたおのぼりさんだしね。いきなりどんどん行くっていうのも不安があるしいいんじゃないの」


「よし、決まりぢゃの」


うれしそうにそう言うとタマキが抱きついて頬にキスしてくる。

その流れで足を絡ませてくるのだが・・これは・・


「お、おいタマキ!き、今日はダメだぞ!ここは人の家だからな!」


「ふぇ!?ち、違う!か、勘違いするでないわ!さ、流石にウチだってその辺は分かっておるのぢゃ!ち、ちょっと寒かったから抱きついただけぢゃ!」


あからさまに目を泳がせながらそんな弁明をするタマキ。

嘘つけ!隙あらばワシを襲おうとしとっただろ!


その後すぐ、タマキの体温が暖かかったのも手伝って夢の世界に旅立った。

ちゃんとタマキが寝息を立てているのを確認して、だ。

だから知らなかった。この状態を見られていたことに。


「・・いいにゃあ・・うらやましいにゃあ・・」


たまたま水を飲みに台所に行く道すがらこぼしたその言葉は、男女の関係に対してなのか、それとも単に二人が仲良くしていることに対してなのか。

女であることを教えられ、女であることを受け入れようとするその少女の声に反応する人はいなかった。

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