四六 疑惑の性別
ミケさんの衝撃的な発言に絶句する。
それって・・・女の子の月のモノじゃないの?
でも、さっきから付いている発言しているし、ギルドカードにもクエスチョンが付いているとはいえ男ってかいてあったよな?
混乱する頭でタマキのほうを向くとタマキも衝撃の発言に絶句している。
絶句しているワシら夫婦をよそにミケさんは、
「あ、お茶菓子がきれたにゃ。お茶のおかわりとお茶菓子持ってきますにゃ」
そう言って席を立った。
チャンスとばかりに夫婦会議を開始する。
「な、なあ、タマキ。ワシは前世も今も男だから詳しくは知らないけどあれって・・」
「う、うむ。ウチにも月に一度くるオンナノコの日ぢゃと思うんぢゃが・・」
「だよね。下半身からの血だと本当に不治の病とか痔とかの可能性もあるけど、月に一度訪れるとなるとそうなるよね」
「しかし・・・付いておるのぢゃろう?う~む、不可解ぢゃのう・・」
「・・・いや、そうか。おそらくミケさんはふたなりさんじゃないかな?」
「ふたなり?なんぢゃそれは?」
「あれ?タマキは知らない?つまり男性器も女性器もある両性具有の非常に稀な人だよ。前世でも本物は見た事ないけど、確か妊娠・出産した記録もあるとかないとか」
「そんな話聞いたことがないのぢゃ」
まあワシも眉唾モノだなって思っているよ。
たしか平安時代ぐらいの話にでてきたのがはじまりだったっけ。
「男性のシンボルを持つ女性、と理解してくれればいいかな。そう考えればミケさんは妊娠も出産もできるのだからオンナノコの日があっても不思議じゃ無い」
「全てを見渡すとされているギルドの水晶玉が男と示したのはどう説明するのぢゃ?」
「物知りのタマキでさえ知らなかったんだ。この世界でも稀、というかそういうのが存在しているというのが認知されてなかったんじゃないの?男性器ついてるから男と認識、でもなんか違う気もするからクエスチョンつけとこ、みたいな。ワシの世界でも歴史は古いけど認知されるようになったのは死ぬ数年前ぐらいからだし」
「なるほどの。たしかに多少強引ぢゃが辻褄は合わん事ないのう」
「ま、もうちょっとミケさん本人に確認したいところだけどね」
夫婦会議が一段落した所でミケさんが戻ってきた。
どう話を持っていったものかと考えていると、そういうのをズバッと聞いちゃうタマキが核心ギリギリから切り込んでいった。
「さっきの話の続きなのぢゃが、その、出血する前後で体調悪くなったりせんか?」
「良く分かりましたにゃ。確かに出血の起こる一、ニ日前後でお腹いたくにゃったり、しんどくにゃったりするにゃ」
「・・どこから出血とかは見たことあるか?」
「・・お尻付近だと思いますにゃ。怖くて考えにゃいようにしてますから」
「ちなみに付いているって言ってたけど、根元部分になんかあるかな?」
タマキだけに質問させるのは悪いのでワシも思い切って核心ギリギリを攻めてみる。
「?にゃんかとはにゃんですか?」
「ええっとなんというか・・袋みたいなのも付いていたりしないかなと思って・・」
「それは付いてにゃいですにゃ」
・・・これはもう確定だな。
ワシの知ってるふたなりさんだよ。
「さっきからどうしたのですかにゃ?真剣に考えてくれているのは嬉しいんですが・・」
「なあ、ミケさん。ちょっといいかな」
「にゃんですか?」
「誰にも言わないで欲しいんだけど・・」
「言いふらそうにも、人との交流がありませんにゃ」
「モリーが言っておるのは、お主報告書とか本部に送るぢゃろ?そういう時にも書いちゃだめという意味も入っておるのぢゃ」
「・・にゃ、にゃんか分かりませんが、口外禁止、情報の持出禁止ですかにゃ?」
「そういうこと。実はワシはとある事情であの水晶玉より詳しくその人のなりを視ることが出来るんだけど」
「・・・・」
「ちょっと、気になるのでミケさんを視てもいいかな?」
「・・それって、服脱いだりしますかにゃ?男の人の前で脱ぐのは恥ずかしいのですが・・」
思いっきり誤解されてしまっているな。
ワシは医者じゃないし、女の子の可能性がある人にストリップを強制するような趣味は無い。
「いや、服は着てていいよ。あくまでキミを視るのであって体を見るのではないからね」
「よく分からにゃいんだけど、にゃらいいですよ」
なし崩し的ではあるけど了承を得たところで、では、早速―――
◆ ◇ ◆ ◇
名前:ミケ
レベル:2
状態:普通
職業:ギルド職員(嘱託職員)
性別:女
攻撃:24
魔力:53 (魔法適性:風・聖・魔)
耐久:32
俊敏:127
装備:ギルド支給の服 鈴の髪留め
スキル:二面性
称号:ふたなりさん
ほらね、やっぱり女の子だよ。
水晶玉では分からなかったのに、称号にきちんとふたなりさんって出ているのをみると、ワシのこの世界眼はこの世界を視るモノではあるんだけど、データベースは地球なのかもしれないな。
それにしても・・これが普通の人のステータスなんだなぁ・・。
早さが高いのはおそらく猫人族の特性なんだろうな。
しかし・・ワシ、タマキ、ヨーコさん・・いかに常識外れかがよく分かるわ。
確認したところでワシはタマキに目配せをする。
タマキはこっちの言いたいことをその視線で感じたようで、小さくコクリとうなずく。
昔、目と目で通じあう~なんて歌があったけど、ワシら夫婦はもうそういう仲になっている。
さらにタマキが『言いにくいようならウチから』みたいな事を目で訴えてきたが、さすがにそれは首を横に振って断った。
これは視てしまったワシの責任と感じたからである。
ワシはミケさんを真っ直ぐに見据えると、小細工なしに結論だけ言い放つ。
「ミケさん、あなたは女の子です」




