四一 お風呂とメイド服
所有権を得た所で夜もふけてきたということで解散となった。
メイドが寝ずの番をするとか言いだしたので、あわてて止めるという一幕はあったが。
このメイドは一度具現化すると所有者(不本意ながらワシ)が死ぬまで消えることはないのだそうだ。
もちろん眠ることはできるが眠らなくてもこの玉にいる間は全く問題ないらしい。
それでも、見た目女の子に寝ずの番とかまかすのは少々気が乗らない。
そんなわけで、寝ずの番はしなくてよし、エントランスの脇にある部屋を自身の部屋として使って貰う、ただし物音とかすれば対処してくれということで落ち着いた。
寝る前に風呂にでも入るかと思い、部屋から出ようとするとなぜかタマキがついてきた。
タマキ曰く、『夫婦になったのぢゃから風呂を一緒しても問題ないよね』ということらしい。
断ろうとすると、またいつもの必殺・上目遣いがくるので了承しか選択肢が無いわけなんだけど。
まあ、もっと恥ずかしいとこ見たり見られたりしてるし、恥ずかしい事をしてるわけだし、いいか。
「のう、モリー。あのメイドのことぢゃがの・・」
「ん~~・・?」
丁度いい温度の湯船で左隣に座るタマキが話しかけてくる。
「あやつにも名前付けたらどうぢゃ?メイドと呼んでもいいとは思うがの、結構長い付き合いになりそうなのぢゃ」
「あ~~、それもそうだね」
「あやつ自身が魔物みたいなものとはいえの、この玉に世話になる間は家族も同然なのぢゃ。それにあやつの作られた時代は違ったかもしれんが、今はメイドというのは給仕が魔物化した際の魔物名ぢゃからの。とはいえ給仕といちいち言うのはなんかの・・」
そうだったな。この世界職業は漢字表記で表示され、魔物名になるとカタカナ表示だった。
なるほど、初めて見たヨーコさんが給仕さんと言っていたのはそういうことか。
なんでわざわざ難しいように言うのかと不思議だったんだよ。
「じゃあ、タマキ。どんな名前がいいと思う?」
「お主が事実上主人ぢゃろ。お主が決めたらどうぢゃ」
ワシが決めたらビジュアルからまた東の鳩からキャラ名を拝借してしまいそうだから、タマキに知恵を借りたかったんだけど。
長湯は体に悪いと知りながら湯船の中でうーん、うーん、と悩む。
すると、懐かしい感触がこめかみに・・・っはっ!?
「だ・か・ら・のぅ~。ウチの時もそうぢゃったが名前を付けるのにいちいち悩み過ぎなのぢゃ!!」
久方ぶりのアイアンクローである。
タマキが成長した分、威力もアップして・・イタタタタタ!!
「で、でもね、タマキ!も、もしワシらに子供が出来て名前をつけることになったら悩むだろう!?」
「あやつはウチらの子ではないわ!」
そりゃそうだ。ワシだってあんな大きな子供、初婚で新婚数日でいらない。
・・あ、あーヤバイ。ミシミシいってるよ・・・
とはいえ、今回はあの時と違って状況で名前付けれるわけでもないし・・・でももう、考える時間はなさそう・・・あ、頭が・・・限界・・・。
「・・・メ、メイって、ど、どう?」
結局口から出たのはメイドからドが取れただけの名前だった。
いいかげんにも程がある。
だが、タマキは満足したようだ。アイアンクローの力が抜ける。
「やればできるぢゃないか。メイドと言わなければわからんのぢゃから一文字なくせば立派な名前ぢゃ。最初からそう言えばよかろう?なんで時間をかけるかのう」
いい感じに湯だったワシらは名前を決まったところで風呂からあがった。
タマキに『先に帰っていて欲しいのぢゃ』といわれたワシは脱衣所で別れ、先に部屋に帰ってきた。
ここまで一緒にいたがって、このタイミングで先に帰ってというあたり気まぐれなのかなんなのか。
さて、明日からこそ探索したいなぁ・・結局今日は出来んかったしなぁ・・。
その前に人形の収集部屋の件とか、メイの名前の件、ヨーコさんの話相手になってほしい等々細かい事をちゃんとメイに報告とか連絡しとかないとな。
うん、こっちでも報連相は大事だな。
そんな風に明日からの予定を立てていると、不意にドアが開く。
入ってきたのは、案の定タマキだったのだが、その服装が違った。
普段寝るときはヨーコさんの大きめの古着を着ていたのだが、今の姿はメイド服である。
金髪ロリメイドである。
「ど、どうかの?メイの服装を参考に今日作ってみたんぢゃがの・・」
クルリとまわりながら、見せてくるタマキ。
昼間の別行動のときこれを作っていたのか。
「いや、ものすごく似合ってはいるけど・・」
率直な感想を言っただけなんだけど、タマキはすごく嬉しそうである。
どうかと聞かれれば、似合っているとしか言えないんだけど、それより気になったのはなぜメイド服なのかということである。
「・・・なんでメイド服?」
「・・昼間、メイを看病?してた時おぬしの目がなんか興味あるものを見るときの目に見えたのでの。ちょっとカッとなって作ってしもうたのぢゃが、そ、そうか似合っておるか!」
・・・ワシあの時そんな目をしていたのか。
特にワシにはメイド属性無いはずだし、萌えも感じないんだが。
前世でメイドカフェに行っていたけど、本物に出会うのは初めてだったのでついつい真剣に見てしまっていたのかな?
あ、今思えば・・タマキがメイに必要以上に興味を示さなかったのはその目に嫉妬してたのか?そう考えれば辻褄も合う。
「では褒めて貰ったことぢゃし、今宵はお主にたっぷり奉仕しようかの。給仕と言えば奉仕ぢゃからの」
その夜、タマキに言葉通り奉仕してもらってからの合体という運びとなった。
どうも行為としての奉仕も例の本に書いてあったらしいんだが、ちゃんとこういうのも勉強しているんだな。
というか二度目の合体からコスチュームプレイとかどんなスキモノ夫婦なのだろうか。




