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三一 5年越しの返事

ワシの体がスキル的な意味で成長してまたしばらく長い時間が過ぎた。

人を止めろと言われているんではないかと疑いたくなるような事はあれ以来起きていない。

今思えば一年ごとにスキルが増えた時期が一次性徴、追加で増えたり進化したのが二次性徴にあたる時期だったのかもしれないな。

毎日毎日、ワシは食事作って、晴れれば外出、雨なら読書。

タマキの場合は食事作りの部分が料理以外の家事。

ヨーコさんは家の事をそっちのけで戦利品の研究。

判を押したようにこの繰り返しである。

しかし、それも今日で終わりなのだ。そうワシはようやく明日、厳密にいえばあと三十分もすれば十回目の誕生日を迎えるのだ。

一応良い時間なので自室に戻ってベッドの上にいることはいるんだけど、目が冴えて仕様がないので落ち着こうと座ってお茶をすすっている。

ようやくこの狭い世界から、まだ見ぬ世界へと旅立つ時が来たのだ!テンションが上がり過ぎて寝ていられない!


残り五分を切ったところで、ワシは大事なことを思い出す。

すでに長い間一緒に暮らしていたから忘れそうになっていたが、タマキからプロポーズを受けたあの日に決めた『結婚できる年齢までにタマキの心が変わらなかったら結婚』という約束を果たす日が来たということになるんだな。

隣りに座って同じく茶をすすっているタマキにそれとなく聞いてみる。


「・・なぁ、タマキ。あと数分で約束の日なんだけど・・その、心変わりとかは・・ない?」


これまで一緒に暮らしてきたんだ、ワシの嫌な所や情けないところも多少はこの年月で分かってもらえたと思う。

料理がうまいからとか、珍しいからという理由だけで引きとめるというのは出会ったころはともかく今では無理があるだろう。

それでも今のワシにタマキのいない日々は考えられない。

そこにいるのが当たり前の長年連れ添ってきた仲良し夫婦のレベルなのだ。

いつしかワシのほうがタマキがいなければダメになっているなぁ。

無いとは思うけど、もしタマキの口から心変わりした旨の言葉が出てきたら・・・考えただけで目眩がする。

そんなワシの想いを知ってか知らずか、茶を机に置くと実にあっけらかんとタマキは言い放った。


「ん?いまさらかの?言ったぢゃろ。ウチのキモチは変わらんと思う、と。もちろんあの時と同じぢゃ」


安堵した。戦争を生き抜いた位、安堵した。

もちろんそう言うだろうなとは思っていたけど、実際直接タマキの口から聞くと体の力がすべて抜けてしまった。


「というか、モリー。お主の方はどうなのぢゃ?今回期間を設けたのは常識や年齢の問題もあったが、お主の気持ちの問題も多少はあったと思うんぢゃが」


「・・それについてはもうなにも・・むしろタマキのいないこれからの人生が想像できないし・・」


「ぢ、ぢゃあ!」


期待に目を輝かせるタマキ。


「・・結婚しよう、タマキ。これからの人生もワシと共に歩んでくれ!」


ワシの口から五年越しの返事をもらったタマキは、隣りに座るワシの胸にダイブしてきた。

タマキはワシの頭に正面から腕を伸ばし、その勢いのまま口づけを交わす。

・・・や、やわらか~ぃ・・。

あ、そういえばコレ、ワシのファーストキスだわ。

ドラマのような怒涛のシーンを演じながらタマキは先ほどの返事とばかり若干の涙声で耳元で囁く。


「もちろんぢゃ。もちろんなのぢゃっ!死が二人を分かつまで共に歩もうぞ!!」


時計の針はすでに日付変更を伝えていた。


・ ・ ・ ・


そこからのタマキの行動は早かった。

この世界ではプロポーズ=結婚っていう簡略された数式でもあるのだろうか?

気が付いたら、すぐに結婚初夜というはこびになってしまっていた。具体的にぼかすと合体である。

いや、別に嫌じゃないよ。嫌じゃないんだけど・・・こんなにスムーズに迅速に進むものなの?

それよりなにより心配なのは、知識があってもワシ初めてなんだけど・・・

恥ずかしながらその旨をタマキに伝えると帰ってきた答えが、「心配するでない。ウチも初めてぢゃ」である。

お互い初めてなのかぁ。お互い百を超える年月を生きてきたのになぁ。今は成人したてだけど。

二人で試行錯誤するのかと思ったのだが、予想に反してタマキのリードが素晴らしかった。

どこでそんな技をと思って後日聞くことになるのだが、なんと人魔の魔法の違いについて書かれていたあの本を読んで勉強したと言われたのだ。

確かに異種族夫婦の生活について書かれてあったといっていたが、異種族の夜の夫婦生活についても書かれていたのか。

何書き遺してんですか!?サイクロプスのヒトミさん!

その後、タマキのリードで何とか初合体を終えることが出来た。

待たされた分ぢゃとか言って、待たせていた年数分搾り取られたけどな。

満足して隣りでかわいく寝息を立てているタマキの顔を見て幸せを感じつつ、心地よい疲労感につつまれながら眠りにつくワシだった。



翌朝起きると、枕元に一体の前世でよく見た美少女フィギュアが落ちていた。

どことなくタマキに似ているんだけど・・・

・・・・なに、コレ?

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