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三〇 驚きの減った発表会

「まず、ワシ左目が魔眼になったらしい」


悩んだあげく一番重大そうな事から話してみた。

二人が特にワシの顔を見て何も言わないから外見的には変わっていないのかもしれないけど、一番分かりやすいであろう事から発表しよう。

そう切り出すと二人がワシの顔をのぞき込む。

ワシの目、糸目まではいかないけど細目だし近づいてよく見ないと分かんないよね。

とはいえ美女二人の顔が近付くとほぼ身内とはいえさすがにてれる。


「・・・本当?確かに目の感じは変わったのかなって気はするけど・・なんというか黒目に若干赤みがかかったような・・」


「・・魔眼・・・現在もごく少数持つ者がいるとされる稀少な奴ぢゃの・・しかし、あれは生まれつきのものぢゃろ?途中からなるような代物ぢゃあないんぢゃが・・」


「そのあたりは気にしちゃダメよ、タマキさん。だってモリーだし・・」


「それはまぁ、そうなんぢゃがの・・」


自分たちの常識から外れたものを全て「だってワシだし」ですませるのは止めてほしいのだが。

しかしそれ以上の的確な感想も思い浮かばない。


「それで?どんな魔眼なの?」


おっと、そうだった。

魔眼になったことは知っていたが、それがどんなものかはまだだった。

あわてて鑑定を試みると・・・


「・・・えっと、『弱視の魔眼』って書いてある」


2人とも首をかしげる。読んでるワシも首をかしげる。

首をかしげても仕様がないんだが・・


「説明を読むに・・・ようするに相手の弱いところが分かるってことらしい。生物だけじゃなくて石とかの無生物にも有効だってさ」


「・・説明聞いても、ぴんとこないわね。弱点が視えるってことなんだろうけど・・ま、無いより有った方がいいんだろうけど、それキミに必要?わざわざこのタイミングで」


「そうぢゃよなぁ・・だいたい今のモリーぢゃと、弱点とか関係なくゲンコツで大抵の魔物倒せるぢゃろうに・・」


そうなんだよなぁ。

まだ魔物には会ったこともないんだけど、ステータス視たりタマキから言われたりしてきたのを総合するといまのワシの破壊力ってそのへんにいる魔物では過剰なんだよなぁ。


「ま、ほかに何か使い道があるのかもしれないわ。今はわからないから仕様がないけどね。で他には?」


「えーと、スキルのアイテムボックスと鑑定が進化してるね。あ、鑑定は目が魔眼になったことによるものらしいんだけど」


再び2人は首をかしげる。

え?今おかしいこと言わなかったよね?


「・・スキルが進化とか聞いたことがないのぢゃ・・」


「・・それ以前に今のモリーのアイテムボックスってアタシのよりいいやつでしょ。鑑定にいたってはロストスキルなわけだし・・それ進化の必要あった?」


魔眼のときもそうだったけど、必要とかそういうの関係ないです。

ワシだって狙って習得したものではないので。


「・・・ちなみに名前も変わってますね。アイテムボックスが道具箱に変わって、鑑定が・・・っ!!」


「ど、どうしたのぢゃっ!?」


突然詰まるワシに驚きの声を上げるタマキ。

いや、大丈夫・・・なんでもない・・なんでもないんだ。


「い、いや・・ちょっと名前にびっくりしただけ・・・鑑定も変わってます・・・世界眼に・・」


その場の時が止まる。

なんだこの仰々しい名前のスキルは・・・!?


「・・・それで何が変わったのかな。まさか、名前だけじゃないんでしょ?」


名前のインパクトからいち早く抜け出したのはヨーコさんだ。

さすが好奇心の塊は伊達じゃない。


「えーと、魔法箱の方はお金の両替機能が付いたみたいですね。あ、あと見た目もゴミ袋から肩掛けのカバンになったみたいです」


これは意外にありがたいぞ。

さすがにゴミ袋もって旅立ちとか絵面が悪すぎだからな。


「世界眼のほうはより詳しい鑑定が出来るようになるってことと、あとなんだろ周囲を見渡す力?が優れるって書いてある」


なにその力?


「おそらく後半のそれは周囲に生き物がいるとかが分かるとか、いままで鑑定で一個一個調べていたのが見渡す範囲で一気にできるとかそういうのでしょうね。・・ロストスキルの進化半端無いわね・・・これだけでも魔眼になった甲斐があったじゃない」


ヨーコさんが仮定を立ててくれる。

これについては今度また外で実験してみよう。

おそらくは仮定通りのとんでもないスキルなんだろうなぁ。


「詳しい鑑定っていうのは何ぢゃ?」


「何だろう?ちょっとタマキ視せてもらっていい?」


了承を得てタマキを視ると今まで通りステータスとか装備とか・・・ん?

ちょっとまって・・年齢やら身体情報やら出てますねぇ・・・あ、タマキの年齢ワシより一個上だ。

プライバシーという言葉はこのスキルの前には無いんだなぁ。

人につかてこれならおそらく薬草なんかにもプライバシーを認めないわけで。


「・・うん、多分この薬草はどういう効果があってどういう薬の材料になるかまで分かるような鑑定だね。人につかうと身体情報とかわかる位詳しくなっているね」


「・・あんまり知られたくない事もしられそうぢゃな」


「ちなみに謎だったタマキの年齢だけども、ワシの一個上ね」


「姉さん女房、ぢゃな♪」


そう言ってにぱっと笑顔。

ちくしょう、こんな時でも可愛いな!

というかその言葉こっちにもあるんだね。


「あとは健康体っていうスキルなんだけど・・書いてあるのはケガ・病気をしにくいとあるんだけど」


「あるけど?」


「さらにその後に状態異常にかかりにくい。かかったとしても数分で自動回復。例外なしって書いてあるねぇ・・」


「・・冒険者には殺してでも奪いたくなるようなスキルね」


最初の方は良かったのに、最後まで読めばやっぱりである。

健康にもほどがあるぜ、ワシのからだ。

つまりあれだろ?あるか知らないけど毒の沼とかにおちても助かっちゃうんだろ、ワシ。

毒とか薬を盛られても安心だな。


新たにこの身に備わったものをこうして半ばやけくそに発表していったわけだけど、最終的にはいつもの通り「まあ、モリーだし」で纏まってしまった。

最近この言葉で片付くモノがおおすぎて辛い・・・

あ、職業欄に関してはスルーしておいたよ。

別に珍しい物ではないし、これは能力云々の話じゃない。

後になってよく考えればワシの年頃って学生とかがしっくりくるんだろうし、誰かに弟子入りすれば弟子とか見習いとかになるんだろうけど、学校も師事づべき人も無いんだから無職でもしょうがないか。

冒険者になれば、人がいる世界に飛び込めば何かしらに変わるだろう。それまで辛抱さ。

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