二九 その声に響くはツッコミの音
いきなりの事にアナウンスが流れたばかりの頭の中が白くなる。
え?まだなんかあるの?この体・・・
制限って・・・制限されていていまのワシの体なの?もう十分おかしい身体だよ!?
これ以上どこにいこうとおっしゃられるんで??
黙って自身の心でつっこみやら疑問を入れていると、その心ここにあらずな姿に不安になったのかタマキが声をかけてくれる。
「ど、どうしたかの?なんかあったか?また目がいたむかの?」
「・・・いや・・大丈夫だよ。心配してくれてありがとう・・」
「いや・・だいじょばないぢゃろ、その様子・・・」
もっともである。
抜けがらみたいになっているのに大丈夫といえる根拠などこれっぽっちも存在してはいない。
「いやね、タマキ・・・ワシってほら、人離れしてるじゃん、色々と・・」
「・・うむ、そうぢゃな。正直言ってお主を普通の人としては見れんのぅ・・」
タマキからの評価がつらい。
わかっていたさ・・・わかっちゃいたんだよ・・・
でも、ちょっとはそんなことないとかお世辞でもいいからフォローみたいなのが欲しかった・・
「・・・なんかね、今回の成長痛でワシら体は大人になったじゃない・・」
「うむ。痛かったけど、その甲斐あって大きくはなれたのぢゃ」
「・・そしたらこの体ね・・・また人から離れちゃったみたいなの・・・」
「・・・・」
たどたどしく説明したら、タマキは絶句してしまった。
当然である。
将来夫になるであろう人から、再び人やめましたってどんな宣言なのか。
「会社やめました、明日から無職です」って宣言された妻よりショックが大きいんじゃないかな。
「・・・あの~、タマキ大丈夫?」
「・・大丈夫、大丈夫じゃ。直接そうなっちゃうモリーに比べればウチのショックなんてな・・」
タマキはタマキでだいじょばない感じに見えるんだけど・・
さすがに今回の件はいかにタマキといえどもすぐには受け入れられなかったみたいだな。
当たり前だ。女神と出会って転生してきたワシだって信じられないよ。
「・・ちなみに、もうその内容は分かっておるのかの?」
「いや。これからアナウンスの続き聞こうと思ってるから」
「・・それなら、多分後で聞きたがるだろうし義母君にも報告しとかんかの?」
タマキがもっともな事を言う。
そうだな。知らない事を見つけると目をらんらんとさせるような人だ。
今回の事だって知られればまた面倒くさいぐらい絡まれるだろうし、どうせなら早い段階で知っておいてもらおう。
ワシが首を縦に振るとタマキはヨーコさんを呼びに行った。
・ ・ ・ ・
「・・・それじゃあ、聞こうと思う」
あれからたっぷり三十分。ようやく腹を決めたワシはアナウンスの続きを聞くことにした。
目の前にはらんらんと目を輝かせるヨーコさんと心配そうにしているタマキ。
2人もいればあまりのことでワシが発狂しても大丈夫だろう。
しかし案の定ヨーコさんは凄まじかったな。
普段運動なんてしないから息を切らせているにも関わらず、全速力で駆けよってくるその様は出産にどうにか立ち会おうと病院を駆ける旦那さんだ。
しかもタマキを小脇に抱えて・・・どこにそんな体力を隠していたんだろう・・?
[健康体を取得しました]
???なんだこれ??
健康体・・・?ワシの状態は普通のハズだけど・・特に怪我も病気もしてないし・・?
しょっぱなからわかんないなぁ。
[左目に魔眼が宿りました]
・・ぶっ!?
ま、まがん!?あの異能バトルものによく出てくるアレ!?
神祖とかいう非常に高位な方々が使うといわれているアレですか!?
いいの、これ?ワシ一応人だよ!?
え、なに。本当に人やめさせられちゃうの?
しかも片方って・・・どこの中二病だよ。
ワシこれから片方の目だけで生活するの?眼帯とか嫌だぞ。
というか何の為の魔眼ですか?
[魔眼が宿ったことによりスキル・鑑定が進化しました]
ははは、スキルって進化するんだなぁ・・・
しかも合わせ技なのね。
何が視えるようになったんだろうね・・
今のままでも十分なんだけどねぇ。
[スキル・アイテムボックスが進化しました]
魔眼とは関係なく進化したんだよな、これ。
関連性が全く分からんし・・・でもこれ進化させる必要あるの?
と言うか、いまでさえ願っただけで取り出すことのできる便利さがあるのにどこをどう進化させたのだろうか?
[職業:子供が終わりました。今の職業は無職です]
これは普通だ!!
逆になんか怖くなる。
というかこの流れで職業アナウンスは違わないか?
しかし・・そうかぁ、無職かぁ。せめて料理してるんだから料理人とかさぁ。そこまでいかなくてもせめて料理当番とかになんないかなぁ。
え?当番は職業じゃないって?それでも無職って書かれるよりはマシな気も・・いや違うな。
自宅警備員って書かれるよりは無職の方がマシだな、うん。
職業変更のアナウンスで今回の解除された能力紹介が終わったみたいだ。
終始ツッコミどころ溢れる内容だったんだけど。ツッコミのいらない安全地帯をくれよ。
そんな激しい脳内での攻防を知らない二人は聞く前と全く変わらない表情でワシを見ている。
さて、どこから説明しようかなぁ・・




