表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/354

二七 魔法(それ)を足すなんてとんでもない

それから二週間午前中はしっかりと詠唱を教えて貰った。

午後からは普段通り外で鍛錬とかしてたのでいつもどおりの生活が送れなくなったわけではなく、送りながら学ぶ時間がちょっと増えたというところか。

塾でいうところの長期休暇の集中講座である。

そんな短期間で何が変わるのか、というのは普通の人の考え方。

覚えるまでに数か月、鍛錬で数年、極めるには更に数年という話である。当然だ。

しかしあいにくとワシの体は普通の人ではない。教えている人も普通の人ではない。

スキルも手伝って、二週間でしっかりとウォーター・アイス両方のⅤまで覚える事が出来た。

教えたヨーコさんは唖然としながらも、「まあ、キミだし」と納得していた。


覚えたのならばおまちかねのお披露目会である。

いつもの広場へと向かう。

ちなみに前の最大魔法で木々を流してしまった部分はタマキのリカバリーが効いて見事に以前と同じような森の一部に戻っている。


「では、やってみようか。前は最大出力だったから今回は最小出力でやりましょうか。とりあえずあの木を狙ってウォーターⅠを放ってみて」


ヨーコさんが指す方向には一本の立派な木がある。

言われた通りにワシは詠唱を頭で唱え発現すると、勢いよく水を噴射させる。

木を貫通するような破壊力は無いが、当たった個所が徐々に削れていく。


「もういいわよ。次は同じような威力をイメージしながら水魔法を放ってみて」


今度はいつものイメージの魔法。

あれぐらいのというと、水鉄砲?いや消防の放水のほうが近いか。

イメージして放つ。すると同じかちょっと強いぐらいの勢いで木に向かって水が噴射される。

こちらも貫通するほどの破壊力は無く、徐々に削れていく程度の威力だ。


「いいわね、ちゃんと手加減も出来るしイメージって本当にズルイわ・・・じゃ、その状態でウォーターⅠも詠唱してみて」


なるほど、二つの魔法をいっぺんに使ってどうなるか、か。

同じ属性なわけだし何も変わらないいんじゃないのかな?

そんなことを思いながら、このままの状態で言われた通りウォーターⅠを頭の中で詠唱する。

詠唱が終わると、なんと水の噴射の破壊力は上がりとうとう木を貫通。

一瞬、「えっ?」ってなったね。その場にいた3人ともが。

人魔両方の魔法をいっぺんにつかった生物なんていなかったのだから、どうなるかは誰も想像できなかったし分からなかったがまさか威力が変わるとは・・・

いや、待てよ。以前タマキが『人にとって魔法はあくまでブースター』とか言ってたな。

もしかしたら詠唱って魔法自体にもブースターってことになっちゃうの!?


「こ、これはどういうことなの?」


「う、うむ?威力が上がったようぢゃが?イメージ強めたか?」


頭中にハテナマークを浮かべている二人。

ワシは驚いたとは言ってもまだ魔法を見てから日が浅いので「ああ、こうなるんだな」で済むのだが、二人はそうではない。

かなりの年月魔法と共に生きてきた人達だ。「こうなるはずがない」という常識も備わっている。

人魔両方の魔法を使えるワシと出会わなければ混乱もしなかっただろう。

なんか、スンマセン!

とりあえず固まっていても仕様がないので、先ほど思い浮かんだ『ブースター理論(仮)』を二人に話してみる。


「・・・それは、あるかもしれないわね。確かに魔法を使うときその威力を一時的に高める魔法が存在していたと聞いたことがあるわ。あるけども・・・あれって御伽話の類なのよねぇ・・」


「・・・確かにのぅ。一理あるような気もするが・・あれは確か古代魔法かなんかで失われてた魔法ぢゃ・・目にしてもとても信じられるシロモノぢゃあない・・」


納得はするものの、やはり常識から抜け出せない二人。

埒が明かないし、それならばともう一度と、実技をしてみることにする。

さっき水だったので今度は氷だ。

アイスⅠで氷のつぶてのようなもの、アイスⅡでつららのようなものが木に刺さる。

つぶてはめりこみ、つららは貫通して先端が向こう側に見えている。

確認後イメージで氷のつぶてを放つ。アイスⅠよりやや強いがまあ許容範囲だろう。

それぞれの威力を確認したところで、イメージしつつのアイスⅠを詠唱する。

すると、つぶてが少し大きくなり木に風穴が空いてしまった。

この時点で先ほどの説はなんとなく証明された感があるのだが、続けてイメージしつつアイスⅡを詠唱。

つぶてはつららに変わることは無かったが、大きさとスピードは大幅にあがり木を貫通したどころか、そのうしろの木二、三本巻き添えに風穴を空ける。

さすがに今回はぐうの音も出まい。完全な証明だな。

そんな風に思いつつ振り向くと唖然呆然愕然の二人の姿があった。

信じていたものが崩れてしまったからなのか、目の前で見たものが未だ信じられていないのか、それとも見たいものが見れての燃え尽きなのか・・

しばらく後、ようやく戻ってきた二人から一言一言頂いたのだが、


「ま、まあそうぢゃの。お主に常識を求めてものぅ」


「・・そうね、まぁキミだしね」


二人のワシに対する評価が常識外れになった気がする。

まあ、分からんでもない。そう思うのももっともだと思う・・。でも!それでも!!

・・・二人の為のお披露目会だったのに、だから頑張ったのに・・ひどいや・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ