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二六 久々の魔法は災害クラス

半ば連行のように、引きずられながらやってきたのはいつもの広場だ。

口は災いの元とはよく言ったものである。

あのあとの二人の行動はまさに電光石火であった。

ヨーコさんは分かる。毎度おなじみの知的好奇心の暴走なんだろう。

意外だったのはタマキである。

いつも年長者らしく落ち着いているタマキがヨーコさんと同じように暴走したのは正直驚いた。

無魔法を知って以来、人の魔法に興味があることはなんとなく分かっていたのだがまさかここまで入れ込んでいるとは思いもしなかったよ。


「・・で、ワシどうすればいい?」


もう、半分やけくそである。

イメージと詠唱の合体。興味が無いわけではないが、二人ほどの情熱は無い。


「とりあえずこれからはアタシが詠唱教えようと思ってる。知らないんでしょ?詠唱。たしか水と氷だったわね」


「残念ぢゃが、ウチではおしえられんからのぅ」


・・そうね。実験するにしてもまず詠唱覚えにゃいかんのね。


「でも、その前にキミが今、どれほどの魔法使えるのかを見ておきたいのよ」


「そうぢゃの、初めて使った時以降、魔力切れにならないように制限しながら使っておったようぢゃし、最近ぢゃイメージの鍛錬はしておってもあんまり発現まではしておらんぢゃろ。今日はウチら二人おるから全力でやってみるがいいのぢゃ」


「いざというときには魔力回復薬も持って来ているから、心配いらないわ」


言われてみれば、最初の時以来全力で魔法発現したことは無いな。

それにタマキの魔法見てから、イメージで魔法使うのちょっと怖くて発現まではしてないんだよな。

まぁ2人とも魔法使いとしては凄い方の方々なのでワシが万が一しでかしてしまっても、なんとかしてくれるだろう。


「じゃあ、やってみるよ。全力のイメージで」


そう言うとワシは水のイメージを始める・・・

ワシの知る限りの水害っていったら・・・鉄砲水、洪水、豪雨・・・いやあれだ!

アトランティスを襲ったという伝説の大津波だ!

絵とかの参考文献でしか知らないが、あの絵は凄まじかった。

よし、あれでいこう。

イメージするものが決まったところで、そのイメージを練って練って・・・っと。

・・・よしっ、これで・・


「ほいっ!!」


イメージを吐き出すイメージで虚空に向けて両手を突き出す。

・・・あれ?手から出ない・・失敗か?

なんて考えていた時間がわずかだけどワシにもありました。

考えている時間に背中から轟音が聞こえてくる。

後ろを確認する時間の余裕もなく目のまえの景色が水の流れで消されていく!

それと同時にワシの目の前は真っ暗になった―――。


・ ・ ・ ・


・・・・っはっ!?

目を覚ますと、初めて魔法を使った時と同じく目のまえに青空が広がっていた。

違っていたのは頭の感触。前の草の感じと違う。

なにこれ、やわらかい・・・


「大丈夫かの?」


ワシが目を覚ましたことに気付いたかタマキの声がする。

同時に目の前にタマキの顔が・・・って!

もしかしてワシ、タマキに膝枕されてるの!?


「とりあえずこのまえと同じ魔力切れぢゃな。使った魔力が段違いぢゃったから倒れたんぢゃろ。義母君が回復薬を無理やり飲ませておったが、もう暫くこのまま休むかの?」


「い、いやもう大丈夫だと思う。あ、ありがとなタマキ」


恥ずかしいのもあったが、手足に力は入るし、薬のおかげか知らないけど魔力も回復しているんだろう。頭を浮かせ上半身を起こす。

それにしても・・・膝枕・・・あんなに嬉し恥ずかしのイベントだったとは知らなかった。

それもなんか幸せな気分だったなぁ・・・

そんなことを思いながら目の前を見ると、広場が広がっていた。

あれ?おかしいな?たしかこの広場、こんなに広くなかったはずなんだけど・・・もっとこう木々が近くに茂っていたと思うんだが・・?

そんな事を考えているとちょっと離れた所からヨーコさんが近づいてきた。


「目が覚めた?大丈夫だとおもうけど具合悪い所とかない?」


「大丈夫みたい。ちょっとだるいけど」


「そう。ま、魔力全部使い切っての奴だったししょうがないわね。それよりごめんなさい。アタシたちが全力で~とか言ったからよね、それ」


「いや、それはいいんだけど・・・ワシも全力でやった場合どんなものか知りたかったし。それよりこの広場こんなに広くなかったよね?」


わしの質問にヨーコさんはこめかみを押さえ溜め息の後にこうこぼす。


「キミの魔法でこうなったのよ・・・これだけの威力、予想外だったわ・・・すでにアタシの使う詠唱の魔法のウォーターⅤレベルの威力はあるわね。ヘタすればそれ以上あるかもしれないわ・・タマキさんの時もだったけどいやになるわねぇ・・イメージの魔法って・・」


「ウチもびっくりしたのぢゃ。案外モリーは本能的にも使ってるんぢゃないかと思う程ぢゃ」


この言葉にワシはやっぱり人じゃないのかもと疑わざるをえなくなった。

魔法を使うようになって一年まだ経っていないのに、人の最高威力を超えてしまっているのだ。

疑ってもしょうがないんだけどね。


「おそらく氷の魔法・アイスも全力でやればこれぐらいの威力なんでしょうけど、今日のところは帰りましょう。薬で回復したとはいえこれ以上の負担はあまり体にいいとは思えないし・・・あ、キミが流した木々の部分はタマキさんがリカバリーっていう無魔法かけておいたみたいで数日すれば元に戻るらしいから気にしないでいいって」


「のぢゃ!」


そっか、またタマキは新しい無魔法おぼえたのか。熱心だなぁ。

そんな感想を持ちつつ三人そろって家路につくことになった。

またしてもイメージの魔法の威力に落ち込むのではないかとヨーコさんを心配したが、来る時とおなじく目がらんらんと輝いている。

そして帰り路輝く期待した目でヨーコさんがこれからの方針を打ち出したのだった。



「とりあえずは詠唱教えるわ。教えた後でまた今回みたいにお披露目してもらうからその時は宜しくね。あ、そのときは色々注文つけるかもしれないけどあしからず」


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