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二四 今日も今日とて鍛錬鍛錬

翌日からワシの魔法の先生は完全にタマキになった。


ヨーコさんは前夜のことはほとんど記憶になかったのだが、タマキに威力で負けた事は覚えており、『でしゃばりません、勝つまでは!』と妙に前世の戦時中を思い出させる名言と共に自室にこもり新たな研究を始めている。

なんの研究なのか尋ねたこともあったのだが、


「魔王討伐の際に魔王城で見つけた戦利品の研究よ。キミが成人して冒険者になるときにとても便利だと思うから使えるように研究しているの。ま、その時が来るまでにはなんとかするから期待して待ってて」


とややぼかした感じで、そのものが何かは分からない。

まぁ、元冒険者だったヨーコさんが、『冒険者にとても便利』と言っているのだ。

経験者が言っているのだから間違いなく役立つ何かなんだろう。

とはいえワシが成人するまで少なくとも四年以上。

気長に待って、楽しみにしておこう。


さて、タマキが先生になったと言っても特に教わることは無かった。


必ず外出の際は二人で行くというのは不文律で決まってしまったみたいなんだけど、体を動かすことについては一緒にやっている。


「ウチもお主と同じくらいの見た目になっているわけぢゃしもしかしたらステータス、伸びしろができたかもしれないのぢゃ」


そんなことをいつだったか言っていた。

しかし結果としてタマキのこの推測は正しかった。

鑑定で視たときにレベル1になっていたタマキは、百年以上生きた魔物であり死んでこそいないが、ワシの固有技能でモンスター娘になってしまったことで扱いは転生者になっている。

今のワシでは視れないし見れるようになるのかは知らないけど、おそらく年齢も見た目と同じくワシと一緒か、もしかしたら下なのかもしれない。

そうなってくると成人までに体を鍛えるとステータスの上がり率の高いこの世界ではやらなければ損である。

事実、ワシほどではないにしろタマキのステータスは日に日に成長していった。

たまに組手なんかすると本能で戦うスタイルのタマキはステータスの上りと共に強くなっていく。

一方のワシもタマキと同じように体を鍛えているのだからステータスは上がっている上に、加えて前世でかじったり修めたりした体術を使うものだからまだ負けた事は無い。

ただ勝った負けたで終わらないのがタマキのすごいところだ。

見た事のない動きを見せると、すぐに真似したり聞いてきたりで学習していくのだ。

そしてもって生まれた才能もあって次々取得していく。一本取られるのも時間の問題だなぁ。

運動に関してはどちらかと言えばワシのほうが先生であった。


さて、問題の魔法である。

しかしワシはヨーコさんが使う系統の魔法、つまり詠唱のある魔法を使うわけではない。

魔物が本能で使う魔法に近い、イメージで魔法を使うやり方なのだ。

したがって教えてもらうことは殆どないのだ。

イメージを広げたり絞ったり・・・その繰り返しである。

まぁ、それで魔力上がったり、いろんな技作ったり、威力変えてみたり、自由自在なので面白いし退屈することは無い。

たまに威力が強すぎて惨事になりかけたこともあるが、その場合はタマキがあせらずさわがず対処してくれてそののちにありがたい短い小言を頂くのが通例だ。

タマキはその時間はヨーコさんに借りた無魔法の本を読みふけっている。

かたっぱしから頭に入れていくらしい・・・どんな脳みそをしているんだろうか?

で、覚えるとお披露目となるのだが、ここには二人しかいないわけで・・・

自分にかける類の奴ならば自分にかけてくれるが、人にかけなければならない類の奴は当然ワシが実験台である。

ヨーコさんに使った『スリープ』は大変うまくできていたんだけど・・・

『カット』という魔法を喰らった時は頭を丸坊主にされたし、『スリップ』のときは滑った場所が悪く川に落ち、あやうくどざえもんになるところだったし・・・etc、etc・・・

要するに大概ろくなことにならないのだ。

だが止めるわけにもいかず、止まるわけもなく・・そしてこの状況を嫌いきれず、楽しんでいる自分がいるのもまた事実なわけで。

成功したり、こういうものだと分かったところで覚えてみるかの確認をとってくれて、覚えてみるといえば教えてくれるし、そうでなければタマキだけの無魔法となる。

思っていた通りイメージを大事とする無魔法はワシでも比較的簡単に覚えることができたのである。

こうしてタマキはすごい数の無魔法を覚えていき、ワシは気に入ったものだけを覚えていく。

教えてくれる辺りは先生っぽいんだけど、人を実験台にしたり、ワシが覚えないと言ったときの「え?本当にいいの?」ていう顔や、「それぢゃウチだけの魔法なのぢゃ」とお菓子を一人占めした時の子供のような顔は、先生っていうよりもいたずら好きの年の近い姉さんって感じだ。


そうした日常を送っていたある日、いつものように出かけようかとしていたところ、タマキが珍しくいない。

いつもならば、先に転送陣前に来ているんだが?

どうしたんだろう、朝飯にはいたんだけどなぁ?

頭にハテナをいくつか並べていると、トタトタと若干小走りに近づいてくる足音。

息をはずませ、タマキにしては珍しく顔をちょっと赤くしている。

恥ずかしいというよりは興奮しているって感じだけど、何かあったのか?

ワシの前に立つと、みた通り興奮気味にタマキが言う。



「例の本の翻訳がおわったのぢゃ!義母君のこの前の疑問を答えることができるのぢゃ!」

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