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二二 世界一うけたい授業(実技編)

「ま、教える事ってこの位ね。そろそろ実技かしら」


そういってヨーコさんは座学を上機嫌に切り上げる。

そんなにワシに魔法を見せて尊敬されたいのだろうか?それとも単に久しぶりに放つ魔法に心躍っているだけなんだろうか?

結局、魔法の種類と強さをひととおり教えてもらいました。

学校で習えば魔法の成り立ちから構成まで事細かにみっちり教えられて数年かかるであろう事がらを、要点だけまとめて分かりやすく一時間程度で終わらせるあたりさすが常軌を逸した賢者様である。

長々学校みたいにやられると、いくらワシとはいえ飽きるだろうからな。

サクッと教えてもらえれば、そしてそれが役に立つならばそれに越したことは無い。


話の中でずっと横で聞いていたタマキは属性の無い魔法=無魔法というのに興味を持ったみたいだ。

攻撃につかう無属性ではなく、『攻撃にも使いようによっては使えるけど攻撃をするために作られたものではない魔法』の事らしい。

攻撃とか防衛にしか魔法を使ってこなかったタマキには新鮮だったみたい。

一度行ったところに行ける『ゲート』とか、一時的に高く跳べる『ジャンピング』、瞬間移動『テレポート』といった旅に便利なものから、魔力で掃除する『クリーン』や洗濯する『ウォッシュ』など生活に役立つもの、更にはどこで必要なの?というようなものまで様々あるようだ。

まぁ、ヨーコさんの話では使える人はあまりいないみたいだけど・・・

詠唱は無くイメージで創るということになるという類の魔法であるらしいし、詠唱が魔法の必須条件と思われていてイメージから魔法を創る発想の無いこの世界ではしょうがないか・・。

しかし、どれだけイメージできるかの魔法みたいだし、イメージだけで魔法を撃てたワシやイメージと本能で魔法を使う元(?)魔物のタマキはある程度頑張ればできるのかもしれんなぁ・・。


過去に使った者がいるとされる無魔法たちは一覧化されて、どういう魔法でどういう原理・効果か書物に纏められているらしくて、さらにその書物の写しをヨーコさんは持っているらしい。

家にある書物は全部見たはずだったんだけど、まだ隠してあるのがあったのかな?

ぜひ、読みたいというタマキにヨーコさんは、今度見つかったら良いですよみたいな返事を言っていた。

・・・なるほど。ヨーコさんの部屋はお世辞含めても綺麗じゃないし整理されているとは言えない。読んだままどこかに置いてそのまま放置したな、これは・・・。


・ ・ ・ ・


「とりあえず分かりやすく火でいいかしら?Ⅰの段階から徐々にⅤにしていくわ」


そういうとヨーコさんは無詠唱で火を発現する。

その火はだんだんと大きくなり火柱に、さらに大きくなっていく。

マグマがヨーコさんを起点に噴出しているみたいだ・・


「久々に使うけども、これがアタシのⅤのファイアよ。危ないから空に放つわね、煉獄インフェルノ!!」


流石にⅤレベルの魔法はきついのか名だけを言い放つ。と、見渡せる一面の青空が夕焼けに染まったみたいに真っ赤になる。

すごい・・・すごいんだけど・・・

ここまでやる必要はあったかね!?森がなんかざわめいている気がするんだけど!?

子供にいいとこ見せようとしすぎでしょ、これ!!

ワシはただ呆然とこの夕焼けを眺めるしかなかった。

数秒かかって炎の夕焼けはようやく元の青空に戻るのだった。


「どう?魔法のレベルの違いわかったんじゃないかしら?」


ドヤ顔でヨーコさんは言う。うわぁ・・満足そうだなぁ・・

すごくよく分かったさ・・ヨーコさんが本気をだすとヤバいってことも含めてね・・・。


「この位が人のファイアⅤなのかの?ちょっと驚いたのぢゃ」


言葉がちょっと出てこないワシのとなりでタマキがポツリとこぼす。

その口調はスゴイというよりはちょっとガッカリといった感じなのだが・・・?


「モリーは知っておると思うんぢゃが、ウチは初級つまりファイアであればⅠしか使えんらしいが、それでも、ホレ」


そういうと当たり前のように無詠唱で火を発現する。

みるみる火は大きくなり空を覆う。

さきほどヨーコさんが最後に言い放った仰々しい魔法名のファイアと同じかそれ以上の規模の夕焼けを出現させる。


「・・・なぁ・・タマキさんや・・これがファイアⅠか・・・」


「そうなるのぢゃろ?よくわからんが」


たしかにタマキは初級、つまりⅠしか魔法を覚えることができないはず。それはステータスを視て確認済だ。

なのにこの威力である。魔法って奥が深いなぁ・・

ようするにあれだろ?使う者の才能やら熟練によって個人差が出たということだろ、これ。

それとも詠唱とイメージ、魔法の源流が違うと差が出ちゃうことになるとか?

とても同じ名前の魔法とは思えないし思いたくなくなる。ここまで差があるともはや別物と言っていいと思うんだが・・・


そんな事を考えているとふとヨーコさんが気になった。

タマキの魔法発現から一言も発していないのだ。

これだけの物を目の前で見せられているのに、いやに静かなのである。

おそるおそる見てみると・・・そこには茫然自失といった感じのヨーコさんが・・!

先ほどまでのトヤ顔はどこへやら。あり得ない物をみてしまったみたいな顔をしている。

・・あれ、少し魂出てるんじゃないよね!?

気持ちも分からんでもないけど・・・そりゃあ長年鍛えてきた自分の最大出力の最上級魔法を初級で超えられてしまったら、自分が信じていたものとかが崩れ去ったみたいになるよねぇ・・

・・・あ~あ、ついに膝を抱えて座っちゃったよ。

思った通り、タマキを召喚した時と同じようにどんでん返しを喰らってしまったかぁ・・



ひそかにベソまでかいていたヨーコさんをなんとかなだめ、本日は家に帰るしかなくなったのだった。

・・・帰ってからしっかりフォローしとかないといけないなぁ・・

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