一 時空のはざまのおっちょこちょい
目覚めると白い空間が広がっていた。
ただただ白い。何も無い空間。
未だに状況がわからないわけだが・・これはもしやあれか?
いやワシだっていい歳だったから、それなりに覚悟はしてたけど。
だがおもってたのとちょっと違うなぁ。
キレイな花畑やら三途の川やらはどこだ?
天使に会いたいのだが・・。
地獄行きならば鬼でもいいが・・。
そんなことを考えていると頭の中に少女の声が聞こえてきた。
[森三太さん。あなたはお亡くなりになりました。ご愁傷様です。早速ですがこの世界の魂の数がいっぱいなので異世界に行って貰いますね]
・・色々突っ込みたいのだが、そうかやはりワシは死んだか・・。
まぁ、そういう歳だわな。
それより後半の言葉じゃ!
ま、まさかとは思うけどこれは長年憧れていた異世界への転生というやつなのか!?
[そうですよぅ。異世界転生です。もちろん能力もあげます。どんな世界がいいか希望はありますかぁ?]
おおぅ、思っただけで伝わるのか・・。
能力も貰える・・まさに夢のような展開だな!
しかも希望も聞いてもらえるとか、今まで読んだ異世界ものの物語よりかなり優遇されておるようじゃな。
ならばもちろん、モンスター娘達がたくさんいる世界を希望するぞ!男の精が大好物的な!
[う~ん。そういう異世界は私が知る限りないです。獣人族がいてモンスターがいる世界ならば色々あるんですがねぇ]
・・あっさりと、ワシの望みは打ち砕かれた・・。
そ、そうか。モン娘が流行りだして世間に認知されはじめたのは最近何年かの事だからなぁ・・。
くそっ!あと数年ここに来るのが遅ければあったかもしれない。無念・・
ではせめて元いた世界のような場所もありつつの剣と魔法の世界なんてのはどうかな?
[それならありますねぇ。ではそこに行って貰います。後は・・欲しい能力とかってありますかぁ?]
来た!それじゃあ・・・
[あっ、待ってください!いかにもな能力は適当にこっちでつけますからぁ。実は用意してたデータもあるんですよぅ。これに君の前世のデータを繰りこんで・・・よし。ほかのなんか君ならではの能力というか、おもしろいの・・・・なんかあるでしょ!]
・・つっこみどころしかない。聞いて来ておいてやっぱりいいとか、そもそもデータってなんだ?しかも最後には逆ギレって・・。
しかしワシ独自の能力かぁ・・
じゃあ、最初に出会うモンスター位擬人化できる能力とか、モンスターを倒した際、通常ドロップの他にそのモンスターを美少女フィギュア化させる能力とか・・・
いや、そんな趣味丸出しの能力で異世界生きて行けるとは思えんしなぁ・・う~ん・・
[それ面白いじゃない!ではそれを付けて・・・ハイ完成!じゃ異世界で二度目の人生にいってらっしゃい]
・・・・・・・・・・・・
・・ん?・・え?
今思ってた事、通しちゃったの!?
いってらっしゃいって、どんなステータスか教えてくれないの!?
[そんなの事前にわかったら面白くないでしょ?では、ポチッと・・・って、あ!]
意識が遠くなっていく・・・
最後のちいさな悲鳴はなんじゃ?
[転生先母体じゃなくて降臨にしちゃったぁ。ゆるしてね。てへぺろ☆]
それは許される事じゃないだろ!!
そんなツッコミは届くともなく白かったワシの目の前は黒くなるのであった・・・
母体・・・両親がいて母親から生まれる通常の出産
降臨・・・天から産み落とされるため両親なし