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一五 会話が増えても自由が増えない

タマキがここで一緒に暮らすことが了承されてから半年余り。


ワシはタマキを召喚する前にヨーコさんから言われていた通り5歳にしてはじめて家の外に出て、モンスターとの実戦を―――と息巻いていたのだが・・・

現実はやっぱりずっと家の中・・・

タマキに人の生活を教えたり、ヨーコさんの好奇心を満たすための話し相手になったりと、外に出られないうえに忙しかったのだ。


タマキの方はいい。

のみ込みの早いタマキに物を教えるのは楽しかったし、一度教えた事を教えた以上のクオリティでしてくれるので教えがいもあるというものだ。

教えてあげることがだんだんと少なくなっていき、それどころか食事関係以外の洗濯・掃除・繕い物などを全てやってくれるようになった。

とても魔物だったとは思えない。

良く出来た婚約者である。

ワシらが着ている服も、この家にある服もいまやほとんどタマキが作ったり、カスタムしたりした服だ。

ちなみにタマキの格好は動きやすいと自作のチューブトップにデニム風の短パンの、つば広帽子を被ればカウガールを思わせる格好を好んでしている。

めっちゃ似合ってて、すごく可愛い。


それにひきかえヨーコさん・・・

ヨーコさんは自分からワシに積極的に話しかけてくるようになった。

以前とは大違いである。

親子の会話が増えることはいいことだと何かの本で読んだし、確かにそうだと思うのだが、ヨーコさんのは異常だ。

初めて自分のことを告白したあの時ほどの勢いではないとはいえ、マシンガンのような質問攻めは健在で、目が合えばその質疑応答が始まってしまう。

十分で済むむこともあれば(主に専門的すぎてワシが良く知らない場合)、半日ぐらいかけてのこともある。

十分で済むとは言っても、すぐ次の話題でマシンガンなので結局半日かかることもしばしばあったのだが・・・。

風俗とか流行とか、この世界では無意味なことも聞いてくるあたり本当に好奇心というか知識欲の深さがおかしい。

あれはもう病気だね・・・

おかげで料理を作る時、タマキに物を教える時、寝てる時にしか安息の時間が無い。

ちょっとした拷問であった・・・


・ ・ ・ ・


「そういえば外に出て魔物と戦うっていうのはどうしたの?全く外に出てないようだけど・・・?」


昼飯時の雑談でそんなことをいきなり言ってくるヨーコさん。

・・・あなたがそれを言うかい!?

もっとはやく気付いてよ!半年たって今それを言うかね!?

というか、ワシが外に出れていない状況、自分が原因の一端だってこと気付いてない?!


「いや、まあ・・この半年間いろいろ忙しかったし・・・」


まさか面とむかって、アンタのせいと言えるわけもなく濁してみたんだが・・・

やっぱり自分のせいという考えが出てこないのか、何か忙しかったっけというような顔だ。

おおぅ・・あれだけの時間、ワシを拘束しておいて無自覚なのかよ!

ヨーコさんに若干ジト目を向けていたら、タマキの方から声が上がった。


「なんと、そうであったか。スマンのぅ、ウチに色々教えてくれておったから時間が取れなかったのぢゃな」


丁寧に頭を下げながらの素直な謝罪である。

タマキに関してはたしかに時間はくったがそこまで面倒かけられたわけではなく、むしろ教えたことを実践して生活に生かしてくれて今の生活が楽になっているのだ。

報われる苦労というやつだから謝る必要などない。

本当によく出来た婚約者である。

タマキが謝っているのとその文言からようやく自分のせいでもあることを理解したらしい。

いろいろ思考を巡らせてバツの悪そうな顔になるヨーコさん。


「い、いや!言ってくれればその時間は作ったわよ!そ、その・・少しは・・」


弁明を始めるもだんだんと声が小さくなっていく。

あれやこれや言い訳やら、責任転嫁やらしているんだが、考えれば考えるほど悪いのは自分という事実を認めざるを得なくなったのだろう。


「・・・ゴメン。やっぱムリだったと思う。アタシの好奇心勝っちゃって、言われても時間作らなかったとおもう。本当にゴメンナサイ・・・」


結局最後は息子に向かって頭を下げるヨーコさんなのだった。


その後家族会議が開かれ、質問は一日一個というどこぞのゲーム名人の格言のようなものが取りきめられ、ようやくタマキが来る前と同じように自分の時間を確保できる生活に戻ったのだった。

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