一二 料理上手というのはある意味最強スキルだったりする
・・・・・・・
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・・
・・・っはっ!!?
またもや時が止まってしまっていたよ!!?
な、なんで!?どうして!?
今日出会ったばかりだよね!?しかもそんなに話もしていない・・。
ヨーコさんとはかなり今日は質疑応答してたけど、美幼女はうなずいたりしてただけで、せいぜい相槌がいいところだったと思ったんだけど・・!?
返事というか反応する事さえ忘れているワシに、美幼女は赤らめた顔のまま、
「い、いきなりすぎたかの?ぢ、ぢゃがウチの偽りのない気持ちぢゃからの。ほ、ほれどうなのぢゃ、お主・・」
先ほどの発言についての答えを迫って来る。
顔を赤らめながら、若干不安そうに聞いてくるその様、抱き締めてあげたいぐらい可愛いんだけど・・!!
しかしそんなことを軽々しくできる間柄ではなだろう!と結婚を迫って来る相手に対して思ってしまう。
「・・・な、なんでいきなりそうなった?そ、そういうのってお互いよく知り合ってからのことじゃないの?ワシら出会ったばっかりだよね?」
こんなこと言われたこと無いワシは軽くテンパって疑問を投げかけた。
はっきり言って、ワシの恋愛偏差値はゼロだ。
だから前世も結婚できなかった。しなかったじゃなくできなかった。
だから契約と聞いた際に頭に浮かんできたもののなかにも婚姻の契約は浮かばなかった。
考えたことも無かったし、いまだに恋に落ちるだの、溺れるだのいう感情は理解できない。
ギャルゲーとかでそういうのが出てきても一切共感もできなく、ただ選択肢を選ぶ作業・攻略する為の作業だったしなぁ・・。
「いくつか理由はあるが、まず出会ったのはたしかに先刻ぢゃが・・興味が出てもっと知りたいと思ってしまった。知る為には近くにいるのが一番てっとり早かろう?」
それはそうだろうけど、結婚する必要まであるのか?
近くにいるっていうけど、これから一緒に暮らすことになるんだし別に、なぁ・・
「お主はウチのしらない事をたくさん知っておる。前世の記憶とか言ったか・・・あの知識はすごいのぢゃ!ウチはこう見えても物知りなのぢゃが、先ほどのあの母君の質問攻めの内容と返答をウチは半分も理解できなかった。多分、一生かかっても理解できない物、出会わないものもあるぢゃろうが、それでも人生において知識を集めるというのは楽しみになるのぢゃ。それが例えこの世界においてムダな知識でも・・ぢゃ。お主の知識全てを楽しもうと思うたら、一生添い遂げるぐらいせんといかんと思ったのぢゃ」
某TV番組のなんとかの泉みたいなことをいいだしたが、なるほど一理ある。
確かに知識は楽しみだと思うし、ワシの知識を楽しもうと思うならば常に近くに居ないといかんわな。
「さらにお主は夕餉前の話で世界を回るようなことを申しておった。ウチは物知りぢゃが全てを知っておるわけぢゃあない。あくまでウチが聞いたり、体験したり、読んだりしたものなのぢゃ。お主について行けばおのずと新しい知識もふえるであろう?それにウチは自分で言うのもなんだが、結構強いんぢゃ。お主も心強かろ?」
まあ、別に一人旅を熱望していたわけではない。
前世と同じく独り旅にならなければいいなぁと思ったこともある。
「まあ・・それを今言うてもしょうがないのぢゃ。五年後を楽しみにしてほしいし、楽しみに待っているということぢゃ。世界を回る云々というのは」
そうだった。
今はなぜ結婚という結論なのかを聞いているところだった。
あまりに熱心に語ってくれるので忘れるところだった。
知識欲だけで一生を左右するようなことを決めるとはあんまりないだろう。
別の何かも美幼女の琴線に触れたということなのだろう。
・・・ちなみに『絶対ない』とキッパリと言えないのにはすぐ身近に知識欲だけで独身をつらぬいてきた美人の女傑がいるからにほかならない。
「ち、知識を得たいというのはあるのぢゃが、もちろん他にもあるぞ!ウチだってそんなことぐらいで一生を決めるような結論にはいたらないのぢゃ!知識を得る、世界を巡る、その時のウチのとなりにお主がおる―――そう考えたら、楽しそうぢゃし、なぜか幸せな気持ちになったのぢゃ。本当になぜかは分からんのぢゃがのぅ・・それにお主の顔、ウチ好みの細い目ぢゃし」
なぜか、か。
こういうのを運命の出会いというのだろうか?
たぶん前世で新たなヒトガタ都市伝説が発生した時のワシのような感じなんだろう。
体中に電気が走るような衝撃みたいな。
というか細い目が好みとは・・・流石、狐様だ。
ワシ自体は狐人族というわけではないので、この目に若干不満もあったのだが、美幼女にとってはこれがいいらしい。
「・・そしてなにより、お主の作る料理、見たことも聞いたこともないものぢゃったが、ようかん・りょくちゃそしてあぶらあげ・・どれも素晴らしくうまいのぢゃ!お主を逃したら一生食えんかもしれんし・・人生の目的もできて人生を豊かにするおいしい食があるのぢゃ、お主と契ってもウチ自身が不幸にはならない気がするのぢゃ」
なるほど。
たしかにワシの料理は広めなければ、ワシ以外つくる奴はいないだろう。
どこかのだれかが新しい料理をといきまいて研究すれば似たなにかはできるだろうけども、今時点では食べることはほぼ無理だ。
ワシの前世料理は伝説の神魔といわれている九尾の狐の胃袋をつかんじゃったかぁ。
昭和の時代によく使われていたフレーズ『男をつかむなら胃袋をつかめ』は本当だったんだなぁ・・・男ワシだけど・・つかんじゃったのは元魔物で現狐人族に似た美幼女の胃袋だけど・・・
そんなことを思っていると、とどめにこれまた昭和のフレーズによく似た言葉を真っすぐワシの目を見て放つのだった。
「ぢゃからの、モリー!ウチのために毎日ご飯をつくってくれ!!!」




