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一一 プロポーズは突然に

突然の申し出にワシの時間は止まった。


え?なんでそうなるの?

召喚したのヨーコさんだろ?なんでワシと契約?

頭の中が疑問符でいっぱいになる。

そんな混乱中のワシの内心を知ってか知らずか、美幼女は頬を掻きながら説明を始めた。


「・・実はの、さっきお主が母君をベットに連れていっておる間に、帰ろうと試みてみたんぢゃが・・どうも姿が変わったせいか、人として認識されたらしく帰れなくての・・」


一応帰ろうとはしたのか・・

黙って居なくなるというのはどうかと思うが、まあ居なくなれなかったのだから、細かい事はいいか。


「帰れないとなるとウチは行く所が無いのぢゃ。しかもこの姿ぢゃからの・・今までどおりに野外で暮らすというわけにはいかんぢゃろ?なので、用もないのに呼び出したお主の母君のせいということでここにおいて貰おうかとおもっておるのぢゃ」


「それは・・そうかも・・。そういうことならヨーコさんも断らないだろうなぁ・・」


なにせワシを拾って育ててくれるような人だからな。

この家に一人二人増えようとあんまり気にしないだろう。

自分のせいというのが根底にあればなおさらだ。

ただその相手が畏怖を感じている自分の先祖種なので、それなりにすったもんだがありそうな気もしないではないが・・・。


美幼女がここで住むのは、別に問題は無い。

ワシにとっては目の保養になるしね。

食材と本以外のものだってたまには見たいのである。

さらに目のまえにいる美幼女は同年代のように見える。

遊び相手というか話相手ができるのは単純にうれしい。

実際は多分かなり年上なんだろうけど。

ヨーコさん以外の人と話した事・触れ合った事がないので、最初は戸惑う事があるかもしれないが、その内慣れるだろう。

問題は契約という所だ。


「・・ワシと契約っていうのは、どういう事ですか?召喚したのは母さんなんだから、契約するのは母さんになるのでは・・?」


そうなのだ。本によれば召喚契約とは召喚術にて召喚した者とされた者との契約だ。代理を立てたり、譲渡したりするのは不可能とされている。

だから、ワシとこの美幼女が召喚契約により結ばれることは不可能なのだ。


「・・話をつづける前にちょっといいかの?敬語は不要で頼む。以前の神魔の姿であれば、その容姿自体が信仰の対象になるぐらいこの世界に影響するから我慢していたのぢゃが、今のウチはどう見ても尻尾の多い狐人族の子供ぢゃ。普通に同年代の子供と接するようにして欲しいのぢゃ」


「あっ、それもそうです・・・そうか。じゃ、改めて。契約するのって母さんとじゃないの?」


言葉を崩すワシに満足したのか、先ほどよりも柔らかな笑顔に似た表情でワシの質問に答えてくれる。


「うむ。先程言ったと思うが、人としてみなされておるのぢゃ。もう召喚契約はできん。あれは人と魔を繋ぎとめる契約ぢゃからのぅ。むしろウチも母君と同じように召喚魔法を使う側になってしまったのぢゃ」


「え?じゃあワシと何の契約を?」


契約いらないじゃん。

ワシの頭にはクエスチョンマークしか浮かばない。

召喚・従魔・主従・売買・賃貸・・・前世の記憶を駆使してみても今のワシと美幼女の間に成立しそうな契約は思い浮かばない。

首をかしげるワシに美幼女は補足説明を始める。


「ああ、違う違う。今すぐにというわけではないのぢゃ。将来的に・・ぢゃな。お主、今日五歳になったばかりであろう?あと五年は無理なことなのぢゃ。ま、それまで一緒に暮らしていくことになるのぢゃし、イヤといわれても何度でもアタックするぢゃろうがの」


五年後のこと?十歳と言えばこの世界で成人とみなされる歳だが・・・?

いまだクエスチョンマークを頭に浮かべるワシ。

そんなワシをよそに、美幼女が顔を若干赤くしながら、先程より小さくしかし先程よりはっきりとワシの目を見て言い放った。




「モリー、お主。ウチと契らんかの?」


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