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一〇三 人としての経験値が足りない

あまりにも常識を逸した刀に戸惑いながら玉に戻る。

するともう腰にあったはずの妖刀村正はなく後ろにムラマサさんが控えているという状態だ。

どうもメイと同様に一度人化したらこの玉内では人の姿しかとれないっぽいな。

そのムラマサさんが不意にワシになにかを手渡してきた。


「治療される前に渡そうと思っていたんだが、時期を逃してしまっていた。いつの間にか私の手の中にあった。何かは分からんが一応渡しておく」


手渡されたのは一体のフィギュア。

おや?おかしいな・・。何処かにおとしていたかな?

なんて思いながら見てみると、名札にはムラマサと書かれている。

え?い、いつ?いつイカセタ!?

ま、まさか・・最初に廃墟を斬りまくって帰ってきた時のあの顔って・・。

いや深くは追求すまい・・この仮説は誰も幸せにはならない・・。


屋敷に入るや否やタマキがムラマサさんを連れて行ってしまった。

ちょっと聞きたい事があるということなんだけど、なんだろうね。

ミケはヨーコさんと中庭で・・あれはチェスか?に勤しんでいるらしい。

一人玄関で佇んでいても仕方が無いしコレクションルームでも行くか・・新しいのが手に入った事だしな。


コレクションルームには先客がいた。メイだ。


「おや、モリーさん。また何か新たな物でも手に入りましたか?」


「うん。ほらムラマサさんのが手に入ったんでね。どうせなら中央円柱にでも飾ろうと思ってね」


「あのディスプレイはわたくし以来の増員ですね。おめでとうございます」


メイに祝福されながら、手早くフィギュアを設置する。

・・・・よし、こんなもんだろう。

暫く眺めていると、ふと思った。そういえばムラマサさんは確かメイとの血の契約をしていないはずだ。

と言う事は三日間の期限が適応されてしまうんじゃ・・?


「なあメイ。ムラマサさん確かメイと住居契約やってないよね?大丈夫なの?三日後いきなりいなくなりましたなんてならないよね?」


「ああ。それは大丈夫ですよ。彼女はあくまで“物”の扱いですので。所有者たるモリーさんが既にわたくしと契約しているので問題ありません」


そうなのか。


「ちなみになんだがこの玉にムラマサさんだけを返したい時ってどうすればいい」


「と言いますと?」


「つまり呼び出すときは念じれば玉内だろうが何処にいようが来るらしいんだけど、用事が終わった後にどうしたもんかと・・」


道具箱があるのだから中に入れておけばいいという考え方もあるけど、折角人の形してるんだしちょっとかわいそうでもある。・・・と人が住んでいる家を道具箱に入れて持ち運んでいるワシが思っちゃったりする。


「ああ、そう言う事ですね。どうしようも何も玉にムラマサさん触れさせればいいですよ。前にも言ったかもしれませんが、この玉自体がアイテムボックの上位互換品みたいなものなので」


なるほどねぇ~。そういえば聞いたことがあるような・・。

じゃああれだな。仮にムラマサさんが風呂に入っていたりしてた時に呼び出して抜き身状態で召喚してしまったとしても、よく斬れる危ない刀身を気にしながら進軍しなくていいってことだな。一安心だ。


ひとまずムラマサさん関連のあれやこれやが一段落したところでエントランスにメイと二人戻ってきたわけだが、そこにはまさに今までの話の中心たるムラマサさんがふらふらしていた。

それ自体はさして問題はないんだけど、格好が変わっていた。といっても簡単なTシャツとズボン(おそらくヨーコさんの古着)なので別に変と言う事ではない。

しかしあの着物は確か鞘のはずだろう。何処に置いてきたのか。


「どうしたのムラマサさん。着物は?」


「・・・マスターの奥方というタマキさんに身ぐるみはがされて、代わりにこの服をあてがわれた」


犯人は我が嫁でした。何やってんだタマキ・・・。

この後の展開もなんとなく分かるぞ・・・今晩は覚悟しておこう・・。


「・・それは・・嫁が迷惑をかけた。申し訳ない。そ、それでこんなところをふらふらしてどうかした?」


「いえ。幾分人になったのは初めてなのでどうしたもんか・・」


そうだった。ワシの力(仮)で人になったんだったな。


「えっと。前所有者に付いて宿屋とかに行った事はある?」


「うん?それはあるが・・あ、ちなみにだが私の所有者というのはマスターが初めてだ。今までは国に管理されていたからな。血の契約も道具としての知識としてあっただけだからな」


「あ、そうなの・・。じゃあその宿屋に持って行った人の行動とかは・・」


「知らん。私が箱から出されるのは戦場、そして最後に飾られた武器屋の壁。その小さな範囲での情景しか見た事が無い」


なるほど。人としての生活を知らないか・・。

どうする・・・あ。いるじゃないか暇な人がこの玉内に二人ほど。


「あ~・・。じゃあ悪いけどメイ。人の生活のあれこれ教えてあげてくれる?メイで手に余るようだったら母さんにも手伝ってもらって・・」


「・・いいのか?」


「まあ・・人にしちゃった責任もあるし・・そのわりには人任せで申し訳ないんだけど・・」


「感謝する」


短く礼を言ったムラマサさんはどこか嬉しそう。そして用事を言いつけられたメイもまた嬉しそうだ。あとでヨーコさんにも確認しとかないと・・。


その後はいつも通り、飯作って食べて、ゲームで遊んで、風呂入ってで一日が終わって行った。

もちろんヨーコさんに了解も取ったし、ダンジョン攻略の為の料理の下ごしらえもバッチリやってと、やることはやっている。

そして夜―――。


寝る時間になってあらわれたタマキの格好は予想通りはだけた着物だった。

やはり・・あの追剥行為は新たなコスチュームの研究だったみたいだな。

しかし・・着こなしが全く違うよな。これ。


「・・残念ながらの・・服自体は再現できたんぢゃが、着方きかたまでは分からないのぢゃ・・」


「それならワシ知ってるし明日にでも教えてあげるけど・・」


お岩さんや皿屋敷を調べた時になんとなく着物のことも調べたしね。

結局着る方も脱がす方も知識として役には立たなかったんだけど、今ここで役に立つんなら無駄ではなかったよ。


「ほ、ほんとかの!じゃあ明日の!約束ぢゃ!」


興奮気味のタマキ。しかし当然約束だけで終わるわけが無い。


「それはともかく・・・せっかくこの格好ぢゃし、また明日からはダンジョンぢゃ。前夜祭ってことで一発景気よくいこうぢゃないか!」


花魁プレイで夜が更けて行った・・・・。




◆今回のフィギュア収穫◇

ムラマサ

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