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一〇二 妖刀の仕組み

たしかにおかしい状況である。

人が数えるほどしか存在しない空間とはいえ、野外露出に興奮を覚える痴女ならばともかく、屋敷の前で太陽の下全裸である。

ましてムラマサさんは人の姿になったことにまで疑問を持っている。

ということは人の姿になった事があるメイとは違い、本来は人の姿になりえないのである。


「モリーさん、多分ですが鞘を彼女に渡せば服が出ると思います」


「その根拠は?」


わたくしの場合は核だけなので、核が覚醒した際にこの服まで出現したと考えます。ですが彼女は鞘まであって妖刀村正なのでしょう。鞘は体の一部だと思います」


メイの妙に説得力のある助言を受けて、手の中にあった鞘をムラマサさんに渡す。

鞘がムラマサさんの手に渡ると鞘は黒い霧となり、ムラマサさんの体を覆っていく。

霧が晴れるとそこには喪服のように真っ黒な着物を着たムラマサさんが。

ちょっとはだけでいるけどその姿はあれだね。喪服姿の未亡人か花魁だ。


「見た事ない服ですね。モリーさんは知っている服ですか?」


「ん?ああ。着物だね」


「そうですか。聞いた事ない服ですがモリーさんがそう言うのならばそういう服なのでしょう。彼女がどうして人化したかですが、わたくしを人化させた時と同じようにモリーさんの力が働いたからと推測します。おそらくこの玉内限定の変化だと思います」


「・・と言う事なんだそうだけど、納得できたかな?」


おそるおそる聞いてみる。

簡単には納得できそうにはないが・・実際ワシだっていろいろ納得いかない部分があるんだけど・・。

ほんと・・ワシの体ってどうなってんだろう。多分・・いや絶対あのてへぺろ女神の作ったというデータ体にあってはならない部分が組み込まれていたに違いない。


「にわかには信じられないが信じざるをえまい。私はこうして人化してしまっているわけだし、渡された鞘が私の服になると言う信じられないものも確認してしまったしな」


しかしムラマサさんは納得してしまった。

やはり人ではないというのが大きいのだろうか。現実を受け入れるのが早すぎる。


「では契約といこう。契約すれば何処にいようと私が呼び出せるようになるはずだ。どのような扱いをされようが異論はないが、出来れば末永くよろしく頼むぞマスター」


言うや否やムラマサさんはひざまずき、上を向き口を開けている。

これは血の一滴を垂らせと言う事だろう。

指先から血を垂らし口に入れる。何が変わったということはないが、これでメイの時と同様にワシが所有者になったようだ。


・ ・ ・ ・


ひとまずムラマサさんのことをタマキたちに紹介するところから始めた。

見た事のない黒髪美人をいきなり紹介したもんだから、


「い、いつの間にそんな美女と知り合っておったのぢゃ!?」


と、凄い剣幕でタマキに詰め寄られる場面があったけど、話せばわかると言う事でなんとか納得してもらった。


紹介もそこそこに解散して、ムラマサさんが言ったことを検証するために、玉の外に出てムラマサさんをよんでみた所、なんの問題もなく呼び出すことが出来た。

しかし残念ながら人の姿はとれず、元の黒鞘の妖刀での姿での召喚だ。

メイの予想通りあの姿は玉内限定の格好らしい。

となれば・・ムラマサさんには普段は玉内に居て貰ってそこで生活して貰って必要な時だけ召喚して頑張って貰う事にしよう。

メイにその旨を話すと二つ返事で了承を出すと同時に部屋の準備に取り掛かってくれた。相変わらず出来た給仕である。


後は試し切りとかしてみたいとこなんだけど、残念ながらこの廃村周辺には魔物が少なすぎる。そうそう魔物に出会えない。

どうしたもんかと考えを巡らせる。

・・目の前には廃墟・・・いっぱいあるし少しぐらい壊しても大丈夫だよね?

その悪魔のささやきに屈したワシは刀を抜き、村の入り口付近にあった廃屋に斬り込む。

普通であれば刀の方が負けるんだろうけど、廃屋の壁が一刀のもとに両断される。

・・なんだこれ・・なんて切れ味だよ・・これ一応三百年程度崩れずに残っていたんだし頑丈なものだよな・・?

なんか豆腐切ってるみたいなんだけど。こう手ごたえはないんだけど快感、みたいな。

その普段料理以外であまり味わう事が無かった快感に酔いしれたワシは気がつけば廃墟の破壊神になっていた。

周りを見れば、なかったはずの広場が出来てしまっている。

え?ワシこんな破壊行為を楽しむような人だったっけ?

もちろんこんな破壊行為をしておいて刀自体も無事では済んでいない。

若干ではあるが刃こぼれしている。

やばいなぁ・・と思ったものの後悔先に立たず。とりあえず人の姿のムラマサさんのことが気になり急いで玉に戻り、同時に人化したムラマサさんを見る。

ムラマサさんは上気した顔で息が荒い。のぼせたみたいになっていた。


「マスター・・・あんな荒々しく物を斬ったのは初めてだ。すごく気持ちよかった」


「そ、そう?よろこんでもらえたようで・・・と、ところでちょっと刃こぼれしちゃったんだけどなんか体に異変はないかな?」


「ん?ああ、そういえば腕が痛いか・・・ん?ちょっと傷になっているな。血が出ている」


刃こぼれするとそう言う事になるか・・。

メイは血は出さなかった(煙は出していたが)けどムラマサさんは血がでるのか・・。いよいよ生物と変わらんなぁ・・。

取り敢えず効果があるかは分からないけどミケに頼んで、回復魔法を使って貰った。

みるみる傷はふさがって行く。どうやら本当に人と変わらないらしいな。この玉内限定だけど・・。

痕の残らないレベルで治癒してくれたミケに礼を言い、傷が消えたと言う事は、ということでもういちど玉の外に出て刀身を確認するとなんと、鍛冶し直していないにも関わらず刃こぼれは消えていた。

なんだこれ・・。つまりなにか。錆びたり、刃こぼれしたり、折れたりしても玉内で人化したのを治療すれば復活するって言う代物ということなのか。


鍛冶屋の商売あがったりだな。

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