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九九 惨劇と忘却の村

その村はもはや人が住める場所ではなくなっていた。

考えても見ればここに人がいたという記録があるのが約三百年前・・・平成の時代から遡れば江戸の時代だ。そりゃ立派に朽ちるわな。手入れもされていないんだし。

しかしその廃墟と化している村は栄華を誇った名残なのか、この世界の建築技術が堅城なのか、ツタに巻きつかれていたり穴が空いていたりひび割れたりはしているものの建物自体は残っている。


村のメイン道路と思われる道を進むが、当然人っ子一人いない。むしろこんなゴーストタウンで人に出会ってしまったらそのほうが驚いてしまうだろう。


「う~ん・・噂通りの酷い有様だな・・」


「この様子ぢゃと・・・吸血鬼ヴァンパイアに襲われて全滅してから本当に誰も入っておらんな・・」


「ここは冒険者でも立ち寄らないところですので。あ、見えてきました。古い文献によるとあれが元・ギルドのようです」


道の終わりに鎮座するその建物はなかなかのでかさ。ワシらの玉の家ほどではないけど、いかにもおおきなギルドですっていう威光をはなっている。

今は何の意味もなしていない穴だらけのドアに触ると、そのかすかな衝撃でドアは外れ倒れてしまった。


「・・・こんにゃに老朽化進んで・・・中に入って大丈夫にゃのかにゃ・・?」


もっともなミケの独り言を聞きながらも、建物内に入ってみる。

中は・・・廃墟の名にふさわしい乱雑さだ。埃もすごいぞ。

カウンターやら待合の場所だったらしい所の机には刀傷もみられ、吸血鬼と対峙したときなのかそれとも普段からだったのか、腕に自信のある冒険者達がいたことを物語る痕跡が残っている。

併設されていたらしい武器屋に陳列されていた剣や槍、鎧はみごとに錆びてしまっているし、ぼろぼろだ。

盾も埃まみれで、朽ちたり錆びたりしている。

同じく服もあちこち虫食いされている。

反対側に併設されていた道具屋も、瓶に詰めてあったなにかの薬は蒸発してしまいなにか塊のようなものが底にこびり付いているだけ。

何本かはなんとか無事に三百年という年月を耐えたようだが、みかけだけだ。一応液体であるだけで、今までに嗅いだ事のない腐臭を放っている。間違いなく飲んだらヤバイやつだろう。

それでもなにか使えそうなものが無いか一応世界眼で調べてみたけど・・・何個か使えそうなものが奇跡的に残っているみたい。まあ、錆びをとったり、打ち直したりしたらつかえるか。

そういった加工しないで使えるのは・・・この二つぐらいだな。


[呪槍じゅそう]・・・使用者の生命力を奪いながら血を求める槍。神話級。

[妖刀村正]・・・いにしえの時代から数多の権力者を葬ってきた刀。夢幻級。


うん。なんでこんなトコにって感じだな。

しかし・・・ついに出てきたな夢幻級。存在自体があるかないか疑わしいものじゃなかったのかよ。しかも名前に覚えもある。

しかし村正かぁ・・・一度は見たかった刀だし、ちょっと使ってみたいかも・・・。


「ちなみにユーミさん。ここにあるのって持って帰ったりしたら犯罪になったりしますか?」


「いえ。ここはもう遺跡と変わらないですから、見つけた者に所有権が移ります。なので、いるものがあるなら持って行って構いませんよ」


国の上の方であらせられるユーミさんに確認して、この二つを持って行くことにする。

村正の方はワシの腰にかけ、槍はとりあえず道具箱へ。つぎにライムさんに会った時に渡そう。これは転送じゃない方がいい。クラスもヤバいし。


「その二つだけでいいのかの?たしかに使えそうにないものばかりぢゃが・・」


「そうですにゃ。荷物ににゃるわけじゃにゃいのだから、もっと持って行けばいいのに・・」


「いやね。さっきユーミさんに聞いたんだけど、ここのダンジョンの危険度とかを調べた後にこの村を復興させる計画があるらしいんだよ。ならばあんまりなんでもかんでも持って行くのも悪いだろう。盗賊じゃあるまいし。そもそもあんな傷んだ武器や道具を換金しなくてはならんほど、ワシら貧乏してないだろ」


この説明に二人はそれもそうかと納得してくれた。


「それにな・・・」


ワシはユーミさんに聞こえないように小声で二人に伝える。


「さっき道具箱にしまった槍は神話級、ワシがこれから使おうかと思っているこの刀は夢幻級・・・おなかいっぱいだとは思わない?」


「「・・・・・・」」


固まる二人。

あれ?ワシがおかしいのかな?そこまでショック受けなくてもいいんじゃないかな?


「お主・・・よく普通でいられるのう。夢幻級なんてものそうほいほい出るもんじゃないんぢゃぞ。しかも、ここはダンジョンでもないでもないのぢゃ・・普通に置いてある夢幻級なんてきいたことないのぢゃ・・」


「・・・(プルプルコクコク)」


震えながら説明してくれるタマキと声が出なくなっているミケ。

ワシは世界眼でどんなものか分かっちゃうから感動が少ないんだろうか。どちらにしてもワシの感覚がおかしいというのが証明されちゃったな。


気をとりなおして、ギルドの奥まで探索するとそこには扉があった。

大分使われたらしいその扉の向こうからは、ミケがプレッシャーを強くかんじたみたい。

一応注意しながら扉を開けると、そこには大きな穴が。十中八九ダンジョン入り口だな。


「どうするユーミさん。ワシらはこれから中に入ろうと思うけど付いてくる?」


「そうぢゃのう・・・ここまで来るまでが約束ぢゃったが、こんな所に一人置いて行くのも心配ぢゃし」


「せっかくのお誘い嬉しいんですが、一旦戻らないとまずいんです。村の報告がありますし、陛下とも二週間と言う約束なので・・・」


「それは残念ぢゃのう・・では、ここでお別れかの?」


「また一月後ぐらいには報告も終わりさらなる調査も兼ねてここに戻ってくる予定ではあります。その時までここにいらっしゃれるんならばまた会えるかもしれません」


「そうか・・・じゃ、頑張って一月後ここで会えるようダンジョン攻略しないとな」


新たな決意をし再会を約束して、緊急用と言う事と色々教えて貰った礼として帰還の羽を束で置いてユーミさんは転送石で転移していった。


ユーミさんがついてくるんならもう少し我慢しようと思ったけど状況が変わったな。

とりあえずダンジョンに入る前に玉に戻ってみるかね。

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