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第一の試験  VS.ドラゴニックソルジャー

 視線の外さず呼吸を整え正眼に剣を構え、相手を見据える。

 それに反応したのかその二足歩行で立つトカゲの化け物はこちらを見つけるや否や、駆けだしてきた。


 流石はモンスターだ。その強力な脚力で彼我の距離が一気に詰まる。

 間合いに入るとすぐさまドラゴニックソルジャーはその右手に持つ剣(騎士団が用意したものなのか両刃の頑丈そうな剣だ)を勢いそのままにこちらに乱雑に振りかぶってきた。


「ゴシャァァア!!」

 唸るように声を上げ斬りかかってくるモンスター。

 だが、慌てることは何一つなかった。


 ジェシカさんの太刀筋の方が余程速く、そして鋭い。


 まるで棍棒でも振っているかのように雑なその剣戟を冷静に受け流す。

 これを真っ向から受けてしまうような馬鹿な真似はしない。相手はレベル二十相当の力を持つモンスター。力の比べ合いはレベルでも劣る俺には分が悪すぎる。


 自信をもって一撃一撃を捌いていく。そして隙を見つけてはこちらも斬りかかり返していく。

 狙いは腹部。人間でいうところの腹筋に当たる部分だ。そこだけは頑丈な鱗で覆われてはいない。

 こちらのレベルが十分に相手より高ければ鱗などもろともせず切り伏せることが出来るが、俺の実力ではそれは出来ないだろう。というのがジェシカさんの判断だった。

 しかし、相手が左手に構えた盾に邪魔をされて中々うまくはいかなかった。


 しばらく不規則なリズムで金属同士がぶつかり合う音だけが闘技場の中に響き渡り、俺の耳を刺し続けた。

 


「でも、このままじゃマズイ……」


 拮抗状態に陥っていることに焦りを感じ始めてしまう。

 時間制限がなく、今回はレベル差があることは加味されてるはずとは言え、本来こいつは受験者に対する軽い腕試し程度の扱いのモンスターだ。時間をかけ過ぎるようでは試験を打ち切られてしまう可能性がある。

 とはいえ盾をどうにかしなければ攻撃は通らない。


 そんな時、やつも一向に当たらない攻撃に苛立ち始めたのか。今までよりさらに大振りで力を込めた一撃を繰り出してきた。


「っ!! 貰った!!!」

 力の乗ったその一撃をあえて半身で躱し、剣を相手の左腕めがけて突き出しすかさず剣を払って間合いを取った。


 無論、俺の一撃では鱗に覆われた腕にはうっすらと傷跡を付ける程度のことしかできていなかったが、狙いはそこじゃぁない。

「ぐりゅ?」

 ドラゴニックソルジャーは「なんだ?」と言わんばかりに小さな声をあげる。それと同時に剣を腰だめに構え俺は駆けだしていた。

 俺の突撃に反応して盾を構えようとした奴は一瞬驚いたような顔を作った。

 何故ならあるべき盾がそこになかったから。その時には既にカランと小さく音を立てて盾は地面に転がっていた。


 そう、俺の狙いは腕ではなく、その腕に盾をつけていたベルトだったのだ!


「グギャァアアアアアア!!!!」


 腹にズブリと剣が沈み、緑色の鮮血を飛び散らせながら、しばし痙攣した後、ドラゴニックソルジャーは事切れた。




「アインくーん! 悪くなかったよぉー!!」

「次も頑張れぇ! アイン!」

「ナイスファイトです! ところで、そのお肉、後でいただけるのか係員の方に聞いてもらえますかぁ?」


 ジェシカさん達からの敢闘を讃える声を聴きながら、俺はポーションを呷り、呼吸を整える。

 まだこれは一戦目。気を引き締めてかからなくっちゃ。


  

 



 

 

 


 

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