2 チュートリアルはスキップで!
本日3話目!
草原にぽつんと立っていた。
草の匂い、吹き抜ける風、太陽の日差し、ゲームとは思えないほどリアルだけど……。
ゲーム開始したってことでいいんだよな?
あまりにリアルで現実と見分けが付かないほどだったけど、一つ現実ではありえないものがあった。
今いる場所を中心として200mほど場所をライトグリーンのオーロラみたいな幕がぐるりと囲っていたのだ。
明らかに現実ではありえない!
まあ、ゲームだと確信できる分いいのだが……さて……何を――。
「ようこそ、ヒロ様。異世界からの来訪歓迎します」
後ろから声が聞こえてきたと振り向くとそこには、いつの間にか綺麗な女性が現れていた。
長い金髪に、整った顔立ち、真っ白い肌、何か神秘的な鎧をつけている。
「だれだ?」
「私は、チュートリアルの女神(仮)です。これから――」
うん、何となく分かった。
当然……。
「パスで」
チュートリアルとかめんどくさい。
説明書とかそういう類は困った時に見ればいいんだよ、最初から見る必要なんて無いさ!
それに、初期設定で大分時間くってるしな~。
「ようこそ、ヒロ様。異世界からの来訪歓迎します。私は、チュートリアル――」
言い直しても同じだ!
「スキップで!」
「あの……」
オロオロしたって無駄だ!
「チュートリアルは、スキップで!」
「受けておいたほうがいいと思いますよ~」
「パスで! どうせヘルプに載ってるでしょ!」
「それはそうですが……ほんの少しお得ですよ!」
物でつるな!
「いりません! さっさとスキップしてください!」
「色々困りますよ~」
今度は脅しか……でも……。
「必要ありませんから!」
「本当にですか?」
「本当にです!」
「後悔しませんか?」
「しません!」
ていうか……まさか、俺がYESと言うまで永遠続くのかこれ?
「本当に本当ですか?」
「本当に本当です!」
「本当に、本当に、本当ですか!」
「だぁぁぁぁ~~~いい加減にしろ!」
「うううう……どうなっても知りませんからね!」
「はいはい、困ったらヘルプ見るよ!」
「はぁ……知りませんからね……」
チュートリアルの女神(笑)は、なにやら地面の方に手を向けてボソボソと唱えている。
すると、俺の足元に魔法陣が描かれていく。
おお~魔法か!
「本当にいいんですね!」
「しつこい!」
「はぁ……ま、がんばってください」
最後にぞんざいな女神の言葉を聞いたあと、まわりが光に包まれる。
………………。
…………。
……。
目をつぶっていた時間は数十秒ぐらいだろうか、次に目を開けた時……そこには……。
「はぁ? さっきの草原?」
先ほどの場所から全然変わった様子の無い草原が……いや、ライトグリーンのオーロラが無くなって向こうに城壁みたいなものが見えるな。
他の方角は……見える範囲はさっきと変わらず草原だが、少し上り坂になってるのか? 遠くの方は見通せないな。
う~ん、先ずは城壁の方に行って見るか。
『あ、渡すの忘れてたわ。これ受け取りなさい』
さっきの残念女神の声が空(?)から聞こえてくる。
そっちを見ると……。
虹色に輝く光の玉がゆっくりと降りてくる?
手元まで落ちてきたそれをキャッチすると……。
『 ギフト:Gアタック を入手しました 』
なにやら目の前にウィンドウが現れ、システムメッセージのようなモノが表示される。
『あ、ついでにこれも!』
今度は何だ?
もう一度空を仰ぎ見た所で、すごい速度で落ちてくるものが……。
「アレは……痛てぇ!」
顔面に宝箱が直撃する。
てか、リアルに痛い!
我慢できないほど酷くはないけど……地味にきつい。
あの女神め!
次あったら覚えてろよ!
ガチャ
『 宝箱からアイテムを入手した
50G
初心者のナイフ × 1
初心者の服 × 1
初心者ポーション × 10
初心者マジックポーション × 10 』
地面に落ちた宝箱が、勝手に開いた?
あ、またウィンドウにメッセージが表示されてる。
う~ん、これは、初心者セットって所かな?
まあ、今はいいや!
それよりも……。
まわりを見渡し、広がる世界を感じながら……。
「いざ、冒険の旅へ出~~発~~~~」
今日は、あと1話投稿予定。
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女神(仮)「チュートリアルの――」
ヒロ「パスで」
女神(仮)「チュート――」
ヒロ「スキップで!」
女神(仮)「え!?」
ヒロ「チェンジで!」
女神(2Pカラー)「それでは、わたくしが……」
ヒロ「色違いが増えた!?」