1 初めてのVRMMORPG
2話目です。
どんどん行きます~。
※2014/08/12
一部追記
「――さん、お届け物です!」
ドアホン越しに来客を伝えてくる。
待ちに待ってた、物がやっと来たようだ。
俺は、慌てて玄関に向かった。
「この辺りでよろしいでしょうか?」
ベッドぐらいの大きさのソレを2人の配達員が部屋に運び込む。
う~ん、知り合いの言う通り注文したんだが、思った以上にでかいな。
「はい、ありがとうございます」
「では、受領印は此方に」
ここだな……ポンっと。
「「ありがとうございました!!」」
彼らは、気持ちのいい挨拶を残して帰っていく。
さてと……。
さっそく届いた物を確認する。
カプセル状の本体。
大きさはベッドぐらいで、中でゆったりと横になれる。
あとは、説明書とコードとかの類か。
説明書は面倒だからパス。
まあ、適当につないでも出来るようになっているだろう。
「こんなもんかな?」
付属品のコードを全部つなぎ終わったあと、さっそく使ってみる事にする。
電源スイッチを入れ、カプセルのふたの開閉ボタンを……。
「あ、その前に……」
机の上に置いてある『ONLY GIFT ONLINE』の箱。
VRで作った異世界ってモノに興味を引かれて色々探してた時、知り合いに紹介されたのがこのゲームだったのだ。
その箱から、封筒大のカートリッジを取り出す。
「たぶんここだな……」
カプセル状の本体の差込口に挿入。カチリと音がして読み込みを始める。
準備はこれでいいはずだ。
改めて、カプセルの開閉ボタンを押して、カプセルの中に横になる。
そして、手元にあるスタートボタンっぽいのを押してみる。
『服を着たままでは使用できません。服を脱いでからもう一度お願いします』
なんてメッセージが。
「そっか、服を着たままじゃダメなんだ」
服を脱いで改めて、スタートボタンを押す。
すると、カプセルの中を首辺りまでジェル状の液体が満たしていく。
その後、頭をおおう装置が降りてきて装着さる。そのまましばらく何かの読み込みをしてる動作音がしていた。
そのまま、なにやら目の前に大量のメッセージが現れる。
まるで契約書のような……。
一番上に、『利用規約』と……ああ、同意すれば良いな。
すぐにスクロールして一番下にあるであろう同意ボタンを押そうとしたのだが……一番最初の文章が目に留まった。
『ログアウトする場合、ログアウトの処理に実時間で30秒間必要になりますのでご了承ください』
う? 何でそんな文章が太字で一番最初に来てるんだ?
まあ、いいや。
同意ボタンっと……あったこれだ。よし、開始っと!
『ゲームを起動します』
そんなシステムメッセージと共に、突然七色の光が目の前を覆ったと思ったら……。
次の瞬間目を開けると、半径5mほどの丸い小部屋に居た。
床も壁も天井も、石で組まれた個室だ。
「う~ん、ここはどこだ?」
見回しても、何処かに扉がある様子も無い。
どうしたらいいんだ?
そんな事を考えていると……。
『ここでは、アバターの設定と動作誤差の調整を行います。
まずは、アバターを設定してください』
アバターってのは確か……キャラクターの姿とかそういったものだったはず。
う~ん、どんなのがいいだろう?
………………。
…………。
……。
設定ってどうやるんだ?
う~ん?
「黒髪黒目の黒ずくしのアバター」
声に出してみた。
すると、まわりに、それに該当するアバターがいっぱい出てくる。
あ、あんな感じがいいか?
1つのキャラクターを見ながらそんな事を考えると、そのアバターが目の前に表示される。
お、今、声に出さなかったよな。
考えただけで出来るのか!
もう少し肌の色を白く……。
そこは、少し、太く……。
やせすぎではなく、太りすぎでもない普通な感じで……。
などなど、このみの感じに設定していく。
「よし、こんな感じだな」
『このアバターでよろしいでしょうか?』
「OK」
すると、リアルのままだった俺の姿が、アバターの姿に変化した。
グーパーグーパと手を動かしてみる。
おお、ちゃんと動いてる。
『では、動作誤差の調整を行います
まずは、この部屋を何周か歩いてください』
そのまま、メッセージの指示のままに、歩いて、走って、ジャンプ、しゃがみ、ボールを投げて、木刀の素振りをし……。
他にも言われるまま色々な動作をしていった。
『これで、動作誤差の調整は終了です。
最後にゲームで使用する名前を設定してください』
名前か~。
なにがいいだろう?
う~ん……。
勇者……英雄……ヒーロー……よしヒロだ!
『名前:ヒロ でよろしいでしょうか?』
OK!
『それでは、ONLY GIFT ONLINEをお楽しみください』
今日はあと2話投稿予定です。