プロローグ
新作を始めたいと思います。
これから、よろしくお願いします。
木々がうっそうと生い茂る深い森。
俺達はただひたすら、その場から離れる為にひた走る。
「いたぞーーー!!」
突然、俺達が走る側面から叫び声が上がったと思うと、筋肉命とか言い出しそうなマッチョな男達が走りこんでくる。
「げ、あれって『ぶん殴り同好会』のやつらじゃない! 結構数がいたはずよ! ヒロ、群がられる前に丸焼きにしちゃって!」
一緒に逃げているサキ。
禍々しい漆黒の弓を手にした、エルフのアバターの少女だ。
彼女が嫌そうな顔で肉ダルマ達を指差してる。
「く、魔法は位置がばれるからあんまり撃ちたくないんだが、しょうがない! 『ダークネスフレア』!!」
漆黒の炎が膨れ上がっていき、森の木々ごと肉ダルマ達をまとめて焼き尽くす。
男達のアバターは、光の粒に分解されていき、残ったのは蘇生待ちの魂の様な姿。
範囲の増幅とかしてないから半径50m程度を焼き払った感じか?
魔法で焼き尽くした円形の焼け跡には、50個くらいの魂が残っている。
「数は、53。あいつら確か60人前後だったわね。ちっ、数人撃ち漏らしてるかも」
サキは、一つ舌打ちをすると、駆け抜けていく傍ら索敵する。
即座に放てる様に、弓を手にしながらだ。
「あ、魔法が来ます! 『マジックシールド』」
お姫様が着る様な豪華なドレスを着たアバターの少女、ラナが、慌てて防御魔法を発動させる。
飛んでくるのは、火の玉、氷の礫、電撃に、風の刃などなど、各種属性てんてこもりだ。
「射程延長の重ね掛けで、数撃ちゃ当たるでやってきてるわね」
確かに、大量の魔法が飛んできてはいるが、直撃コースなのは10個に1つあればいい方だ。
その直撃コースのやつもラナの『マジックシールド』に防がれている。
「ラナさん、ダブルスペルで射程延長頼む」
俺が反撃しようとしたところで、サキが止める。
「まって、あの距離に当てるとなると、詠唱で足を止めなきゃダメでしょ! そんなことしてたら囲まれるわよ!」
確かに……。
くぅ……地味に嫌な攻撃してくるな。
「『スピードアップ』掛けなおします」
魔法の雨が降りしきる中、ラナさんが一瞬立ち止まり切れそうなバフを掛けなおす。
その一瞬に数本の矢が彼女を襲う。
「ちっ! 隠蔽スキル!」
いち早くそれに気がついたサキが腰のスローイングダガーで迎撃する。
「大丈夫か二人とも」
「サキさんのお陰で……」
「ダメージはともかく、今度はアサシンとか斥候系がわんさか居るみたいよ!」
うわ……めんどうそうだ。
「サキ、探して片っ端から狙撃頼む。防御は何とかする」
「了解。でも、移動しながらだから百発百中とは行かないわよ!」
「しょうがないだろ。今はとにかく逃げないと!」
「支援は任せてください」
「一体何匹居るのよ!」
サキが弓を次々と休む間もなく矢を放ち続けながら、ぼやく。
「俺達3人 対 他全部なんだから」
そう、PvPで3人 対 残りのサーバーのプレイヤーなんて状況になっているのだ。
プレイヤー以外にあっちはNPCまで協力してるから手に負えない。
圧倒的な数の暴力にあっているのだ。
「ヒロさんならきっと何とか出来ます!」
それでも、俺たちが3人だけで戦えている理由は……。
「見つけたぞ! 魔王! 今日こそは、その命貰い受ける!」
そう、なにを隠そう……俺の職業は魔王!
世界を征服する魔物達の王と言う事になっているからだ。
今日は、あと3話投稿予定です。
よろしくお願いします。