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プロローグ
先輩は、時にカエルで、時に魔導師で、いつも私の中の王子様である。
1年生になったある春の日に、私は演劇部に勧誘をうけた。
そうそうあれは、とても春といえるような日ではなくて。
美しく咲いた桜の花を大雨が見事に散らしていった・・・・私が雨女なのが悪いんだけど。
いつもより寒い帰り道をとぼとぼと歩き、今日も1日学校長かったななんて正門の前で思っていたとき、
「こんにちわ、演劇部です。」
爽やかな笑顔と真のある声。さすが演劇部なんて合点を打ったのは内緒のことで。
「ここの3階で定期演劇やってるので、お時間があればどうぞー。」
渡されたビラを見てみると、美しい女の人に綺麗な男の人が傅いていて、『夢の世界へ』と印字されている。
「あ・・・・・あの・・」
私の小さく消え入りそうな声は、後ろを歩いていた女の子と話している先輩にはもう届かないのはなんだか少し寂しい感じがした。
しかし結局のところ『部活動加入申し込み』を片手に3階の教室前で立ち止まる。
ここから始まる、私たちの青春。
ここから始まる、先輩との恋。