アルカリア=ゼロリアド誕生
オリーティア大陸に属する国がひとつ、ゼロリアド王国の王宮で一人の赤子が産声をあげた。
ゼロリアド国王グオロスの第五王女、アルカリア=ゼロリアドである。
黄金色の美しい瞳を持つ赤子であったが、彼女を産んだ女、グオロス王の第四側妃アラミはその瞳を見た瞬間に金切り声をあげた。
「いや!嫌よ!こんな忌々しい瞳を持つ子を産むなんて!」
髪を振り乱し、赤子を抱える産婆から赤子を奪ったアラミは血走った目で赤子を見下ろす。
「どうして……どうして……こんな子が生まれたの……なんて、なんて忌々しい」
彼女の体から黒い靄のようなものが立ち上り、そのまま赤子の瞳に吸い込まれていく。
「な、なにをなさっているのです?!アラミさ」
産婆は瞠目し声をあげるが、途中で口をつぐみ倒れこんだ。
産婆の後ろに控えていたメイドは倒れた産婆に驚いた様子を見せることもなく、冷ややかな目で見ろしている。
「状況も理解できない愚かな産婆しかご用意できず申し訳ありません、アラミ様」
「どうでもよいわ」
アラミは倒れた産婆に目を向けることなく、腕の中にいる赤子を今にも殺しそうな目で見下ろしている。そして、赤子の瞳に黒い靄がすべて吸い込まれた瞬間、赤子の泣き声が部屋中を満たした。
「アギャーーーーーーーーーーーーー!!!!アッ、ギャッ、アーーーーーーーーーーーーー!!!!」
それは赤子の泣き声というには、あまりにも痛々しく、まるで激痛を訴えるような泣き声だったのだが、母親であるアラミも近くのメイドもその姿をただ恍惚の眼差しで見ろしていた。
「そうよ、その色でいいのよ」
アラミはとても嬉しそうに呟くと、赤子の黒い瞳から流れる涙を掬った。
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