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冒険者アルカの物語  作者: 輝谷
第一章 王女アルカリア
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チェッタとの出会い②

 アルカリアは奴隷たちと一緒に仕事を終えると少しだけ時間をもらって、いろいろなことを教えてもらっている。

 クットスから文字や薬学、レドからは体の鍛え方、他の奴隷からも必要になるかもしれないからと裁縫や泥棒の基礎テクニックなど本当に必要になるか怪しいものまで学んでいる。

 アルカリアは知的好奇心の塊だ。

 今まで覚えられなかったからこそ、知識がいつでも得られるわけではないことを知っている。

 故に貪欲に吸収する。


 奴隷たちはそんなアルカリアに付きあってしまうため、教室(教えること)が長い時間になることもある。

 この日は、電灯作業が想定外の出来事で長引いてしまったため、教室が終わるのも遅かった。


 アルカリアがその音を拾ったのは奴隷の住処からの帰り道だ。


 (ん?なんかきこえた?)

 

 聴こえたのは一瞬。

 気のせいかとも思ったアルカリアだが、念のためにと聴覚を研ぎ澄ませる。

 小さい小さい死にそうな鳴き声を拾ったアルカリアはそこへ向かった。


 そこはアリオスがよくアルカリアを魔術の的にする場所だった。


 そこに小さく死にそうなそれがいた。


 (これ、まものの、うぃーらっど……だよね?)


 体中に火傷を負っている小さな鼠型の魔物。


 (このやけど……もしかして、ありおすさま?)

 

 アルカリアは火傷を負うウィーラッドの姿に自分の姿を重ねた。

 そうなったら、放っておけなかった。

 アルカリアはウィーラッドをそっと持ち上げると、自分の寝床である物置に急いだ。


 ギィ……バタンッ


 物置のドアを開けてすぐに薬箱に向かったアルカリア。

 薬箱を開けると彼女は迷わず下級ポーションを取り出した。


 (……これでどれくらいなおるかな)


 不安そうにしながらもアルカリアはウィーラッドに下級ポーションを振りかけた。

 ウィーラッドの火傷は視覚で少し良くなったかなと感じる程度しか治らない。


 (やっぱりこれだけじゃだめ)


 アルカリアは薬箱から更に火傷用の最下級ポーションを取り出すとウィーラッドに振りかける。


 ヂゥ――ッ


 ウィーラッドを目を覚ましはなかったが、火傷にしみるのだろう、か細い声を上げた。

 アルカリアは今までの経験により、容易にその痛みを窺い知ることができたため、眉を潜めた。


 「いたいよね、でもがんばって、きっとよくなるよ」

 

 やはり火傷用であったのがよかったのか、ウィーラッドの火傷は視覚でわかる程度には効いていた。

 ウィーラッドの様子も死にそうなそれではなくなり、火傷ポーションの痛みも引いたのか呼吸も穏やかになった。


 (よかった……あとはこれで)


 アルカリアは安心でほっと息を吐くと、自分の腰に結び付けている布袋から薬草を取り出し、口に抜くむ。

 薬草を噛みながら拾ったウィーラッドのことを考える。


 (たすけたいのちにはせきにんをもつ)


 ムグムグムグムグ


 (とりあえずくっとすたちにみせよう)


 ムグムグムグムグ


 (……このこはおうきゅうをでれるのかな?)


 ムグムグムグムグ


 (もし、でられないならわたしのところにすんでもらって)


 ムグムグムグムグ


 (…………わたしのかぞくになってくれないかな)


 アルカリアは十分に噛んだ薬草をウィーラッドに巻き付けた。


 「これでよし」


 アルカリアは自分の寝床の横に着られなくなった服を重ねて小さな寝床にすると薬草を巻き付けたウィーラッドをその上に寝かせ、自分も寝床に入り目を閉じる。


 「あしたは、あさいちばんにくっとすたちのところにいこう」

 (うぃーらっど(このこ)をみせたらおどろくかな?)

 (でも、くっとすはわらうかな?)

 (れどは……うぃーらっどのこといっぱいさわりそう)

 (くーざれは……ためいきつくかな。でも、わたしのはなしちゃんときいてくれる)

 (ほかのみんなもわたしのことたすけてくれる)


 奴隷たちが驚き呆れながらも自分に手を貸してくれる様子を思い浮かべてアルカリアはくすりと笑う。

 そして、隣で静かに眠るウィーラッドへ声をかけた。


 「だいじょうぶだからね」


 そう声をかけるとアルカリアは目を閉じて眠りに自身を委ねた。

お読み頂きありがとうございました。

ストックがなくなりましたので、これからは不定期更新となります。

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