無価値王女6歳
「んー、これは……たべられる!」
ゼロリアド王国、王宮所有の薬草園の近くで雑草を抜く少女が一人。
少女は手の中の雑草に目を向ける。葉や茎に少量の土がついていることを確認すると、歩き出した。
「このままじゃ……たべられない」
少女が向かったのはとある元妃の宮の庭。
そこにある忘れらた噴水が彼女の目的地だ。
ジャブジャブ
少女は持っていた雑草を噴水の水で洗うと、そのまま口に入れた。
ムシャッ、ムグムグッ
「ん!」
(きょうはざんぱん、すくなかったけど、これでなんとかなる)
少女は雑草の根まで、余すところなく食べると満足そうに笑っていたが、すぐに何かに気が付いたような顔で周りを見渡したかと思うと、すぐに近くの元妃の宮の裏手にある物置……の近くのゴミ場に体が汚れるのも厭わずに潜り込んだ。
少女がゴミの間で息を潜めていると複数の足音と男二人の声が聞こえてきた。
「おい、いたか?」
「いや、いないな」
「ちっ、近頃は隠れるのがうまくなりやがって」
「魔術で探せないのか?」
「それが、うまくいかないんだよな」
「おいおい、腕が落ちたんじゃないか?」
「ばか言ってんじゃねえよ」
「じゃあなんで見つからないんだ」
「知るかよ!あーくそ、今日はあいつをぶっ飛ばしてスカッとしようと思ってたのによ」
「お前な、殺すことは許されていないんだからな?」
「殺さなければいいんだろ?わかってるって」
使用人の姿をした男たちは話しながらキョロキョロと辺りを見回すが、お目当てのものが見つけられず苛立ちながら去っていく。
少女は男たちの足音が聞こえなくなるまで、ゴミに埋もれながら微動だにしなかった。
足音が聞こえなくなり、男たちが去ったことを確信した少女は、四つ這いになりながらゴミ場から出てくると安心したように息を吐いた。
「……よかった」
(あの人たちよごれるのきらいだから、ごみさわらないとおもったんだ)
ふふんっ
自身の考えが間違っていなかったことが嬉しくて、つい鼻を鳴らしてしまったこの少女こそ、この宮の元主、元第四側妃アラミと国王グオロスとの間に生まれた王女、アルカリア=ゼロリアド、6歳である。
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