プロローグ ~ある歴史学者と友の会話~
お読みいただきありがとうございます。
今までROM専でしたが、書き始めました。
ゆっくり更新していきます。
よろしくお願いします。
やあ!友よ、久しぶりだな。会えてとても嬉しいぞ!
ん?今まで何をしていたのかって?いやなに、ちょっと調べ物をね。
どうせ、冒険譚についてだろうって?勿論だとも!
私は歴史学者で専攻は冒険者の歴史を辿り考察する冒険史だぞ?
そうだな、せっかくだ、1つ話そうか。
ふむ、そうだな……なあ、我が友は勿論「ダンジョン事変」を知っているだろう?
そうさ、あの「ダンジョン事変」さ!
今から約200年前、大陸中のダンジョンに起こった大異変。
いないはずの魔物が出現する、ダンジョンから止めどなく魔物が溢れ続ける、近くにいるものをダンジョンの中に引きずり込む、ダンジョンが村を飲み込むなど通常ではあり得ないことが様々起こったという。
当時の各国が対処に追われる中、多くの活躍を見せたのが冒険者であったのは様々な記録から明らかだ。
ダンジョンは異変が起きる前から多くの国が冒険者ギルドに管理を委託し、冒険者の狩場となっていたため、彼らが異変時に活躍するのは当然の流れといえた。
その中で名を上げた冒険者の中でも、英雄といえば彼らだろう!
カドゥラース国「剛剣ランバート」
パンケットル共和国「探知者パッセル」
ルルス首長国連邦「魔の探究者リナエラ」
彼らはダンジョン事変の前から優秀な冒険者として地元冒険者の中では名が通っていたそうだが、このダンジョン事変によって彼らの名は国中に広まり、当時の国王にすら覚えめでたかったという。
200年経った今でも吟遊詩人の美しい歌や旅芸人たちの劇によって彼らの冒険譚は活き活きと描かれ、民衆の心をとらえて離さない。
現在の冒険者の中にも彼らの冒険譚によって冒険者を目指した者もいるのではないだろうか。
かくいう私も彼らの冒険譚によって、冒険者の歴史に興味を持った口だ。
それほどまでに彼らの当時の活躍は凄まじく素晴らしいものだった。
しかし、私には1つ腑に落ちない点があった。
彼らは有名な冒険者だが当時お互いに認識はなかったというのは多くの文献から明らかになっている。
しかし、ダンジョン事変後からの行動が同じなのだ。
当時、彼らのダンジョン事変での大きな功績を各国の王や首相、首長は多大な褒賞によって報いようとした。
しかし彼らはそれを一切受け取ることはせず、ダンジョン事変という災害に見舞われた民たちへ使ってほしいと願い出たらしい。
そう、3人ともだ。
国が違えども同じように願い出ているのだ。
英雄らしいと言えばそうだけども、この中でも「魔の探究者リナエラ」は、魔力、魔素、魔法、魔術といった魔の研究しか興味を持たず、人に興味を持たない人間かつ魔の研究には金がいくらあっても余ることなどないため、周囲からは守銭奴などと呼ばれていたという。
そのような女性が、ダンジョン事変での功績による多大な褒賞を断り、あまつさえ民のために使うようになど進言するものだろうか。
しかも彼女はこれを機に行動を大きく変えているのだ。
魔の研究は続けるものの自分のための研究から人々のための研究へと変えていき、彼女はそちらでも大きな功績をあげている。
友よ、私は考えたんだ。
これは偶然だろうか?
ダンジョン事変で大きな活躍をした冒険者がみな同じ行動をとっている。
それも行動をとらないだろうと思われる冒険者すら……。
偶然かもしれない。
でも、偶然ではないかもしれない。
私は、どうしてもこの偶然が気になり、調べてみることにした!
長い調査の末、面白い可能性が出てきたんだよ!
彼らは皆、流れの冒険者と知り合い行動を共にしているのだ。
冒険者である以上、臨時パーティを組むことがあるのも当然のことだろうと君はいうかもしれない。
しかし、流れの冒険者と共にいた期間が、彼らの拠点の近くのダンジョンで異変が起きた前後から異変の解決までの間、異変が起きたダンジョンにも一緒に潜っているとなれば話は変わってくるというものだろう?
つまり本来であればこの流れの冒険者も功績を称えられる側の彼、あ、性別は判然としないが便宜上「彼」とするよ、彼は公式の場にいた記録がない。
つまり、彼は意図的に隠されたのかもしれない。
いや、実に歴史学者として、冒険譚好きとしてはこのような人物の登場はわくわくせずにはいられないというものだ!
いや、まて、友が言いたいことはわかっている。
3人が出会った流れの冒険者が同一人物である確証はあるのか。
本当にダンジョンに潜ったのか。
潜ったとして彼らのような功績を上げていない可能性の方が高い。
まあ、こんなところだろう?
その辺も調べたとも!
聞いて驚くがいい我が友よ!
彼らが出会った流れの冒険者は同一人物の可能性が非常に高い。
国の書庫室にある文献とかにはそんな記載は1つもないんだけどね、町の本屋とか村に伝わる口伝とかにも、情報は落ちているものなのさ。
有名な名があるわけでもない、ただの冒険者の手記や小さな村に伝わるおとぎ話にね、あるんだよ。
流れの冒険者が英雄たちと関わっていたと思われる内容が!
そして、それらには流れの冒険者の外見について書かれていたり、口伝されているんだけどもね……。
いやこれが不思議なんだけれどね、どの国もね、こうやって表現されているんだよ。
黒髪で10歳くらいの少年、少女どちらにも見える子どもって。
あとはそうだな、青い髪の青年と一緒だとか、従魔をつれているとか書いている手記や口伝があったりなかったりかな。
しかも、とある村ではこの流れの冒険者、魔物群の行進から村を守ったとも伝わっているんだ。それも、その村だけでなく、他にも似たような口伝が伝わっているから驚きだろう?
この話が本当であれば、この冒険者はダンジョンに潜り、異変についての功績を上げていてもなんら不思議はないというものだよ。
わかったかい、友よ!
私は今とてもわくわくしているんだ。
「ダンジョン事変」の英雄たち3人の裏には幼い見た目の冒険者あり!
私はね、これからもこのことについて調査しようと思うんだ!
もっと調べればもっと面白いことが出てくるんじゃないかと思うんだよ!
さあ、私はまた調べに行かなければ!
では、友よ、また会おう!
ん?ああ、この流れの冒険者の名前?
あれ、言ってなかったかい?それは失礼した。
彼の名前はね「冒険者アルカ」だよ。
では、今度こそ、友よ、さらばだ!
お読み頂きありがとうございました。




