第七話 星降る火山
湖をぐるっと回ると、反対岸に川があった。
「この川を下れば、海に出るはずです」
「よし、行ってみよう」
東から流れてきた川が湖に流れ込み、湖から南の海に川が流れている。
そんなイメージだろう。
馬をしばらく走らせると、そこは砂浜と岩場の土地だった。
眼前に海が広がっている。
「海は大きいなぁ」
「やはり湖とは違いますね、荒々しいです」
遠くで白波が立っている。
ちょっと荒れ模様だ。
「船は停泊できるかな?」
「岩場の辺りなら、水深がありそうですが」
ある程度深さがないと、船が泊められない。
もしも、交易を始めるなんてことになったら、ここは重要な海になるはずだった。
「港は作れそうかな」
「火龍がいなければ、できたかも知れませんね」
水深を見ないとわからないが、ここは大きな入り江になっている。
遠くで白波が立っているけれど、入り江の中は波も穏やかだ。
悪くない地形だと思う。
「モンスターも、凶悪なものは出なさそうだ」
「穏やかな海ですが、そういう環境を好むモンスターもいるかも知れません、調査次第ですね」
何もかも未調査。
人跡未踏とはこのことか。
そういえば、湖が汽水湖だってわかってたってことは、この海を確認に来た騎士がいたのかも知れない。
それとも、湖の水を舐めたのかな?
「よし、後は山だな」
「西から北にかけての山脈に火山があります、その火山に火龍が住んでいます」
深い山脈だ。
隣国と接してはいるけど、そこから兵を送り込むことはできない。
「ちょっと危険だけど、触りだけ見ておこう」
「そうですね、実際に見るとまた違った物が見られるかも知れません」
海から離れるように馬を走らせる。
様々な動物が群れを成して生活していた。
火龍という絶対的な主の元、いけにえが必要だけど、種として繁栄しているんだろう。
日が傾いてきた頃に、西の山の裾野についた。
「岩山か」
「そうですね、火山の辺りには植物は少ないです」
続いている山脈には、木々が生えているので、この辺りだけなんだろう。
セーブしておこうか。
火龍が出てきても良いように、一時的なセーブだけど。
「あなた達、何をしているのかしら!」
「え?」
突然声をかけられて振り向くと、そこに冒険者らしき女性が立っていた。
クラリスよりは年上だけど、若い。
9歳の僕よりも、4つ5つ上だろうか。
「ここは危険よ、すぐに立ち去りなさい!」
「冒険者の方ですか? 火龍の関係で?」
「そうよ、ギルドからクエストをウケテイルワ!」
あまり大声で話さないで欲しい。
火龍に聞こえ……ることはないのかな?
それは、この人も困るだろうし。
「僕は、オーウェルと申します、こちらはクラリス、アマルガン王よりこの火龍の狩り場を拝領しました」
「領地? 何を勝手なことを言っているの!」
「いえ、そう言われましても……」
女性は怒っているようだった。
僕のような子供と、メイドのクラリスがうろついて良い場所じゃないだろう。
「それに、ここには人は住んでいないわよ?」
「それでもです、今は、領地の調査をしています」
「はぁ、死んでも知らないわよ、領地のことは忘れて家に帰りなさい」
「そういうわけにはいきません、僕はこの領地を発展させたいので」
いや、発展させたいんじゃなくて、発展させなくちゃいけないんだ。
母のため、復讐のため。
「そう、忠告はしたわよ」
そう言うと、女性は山の中に消えていった。
「あの人、かなりやります、勝てるかどうか五分といったところです」
「クラリスと五分か、まぁ、そのくらい強くないと火龍関係のクエストなんて引き受けないよな」
仲間もきっといるだろう。
火龍を倒してくれれば一番良いんだけど、そう上手くはいかないな。
「じゃあ、日が落ちる前に森に戻ろう」
「はい、北は山脈と火龍の狩り場への入口があるだけですので、おおざっぱな地図は作れそうです」
「そうか、良かったよ」
「この火山の名前ですが、なにかご希望はありますか?」
「え、さすがに名前はあるんじゃないのかな」
「いえ、今住んでいる森を『きらきらの森』湖を『アヒルの湖』海を『希望の入り江』としています」
勝手に決めちゃったのか。
まぁ、別にいいんだけど。
「じゃあ、火山は火龍の山でいいんじゃないかな」
クラリスは不服そうだ。
僕は、芸術が苦手だけど、名前を決めるとかも凄く苦手なんだ。
そういうセンス的なものは、壊滅的な男だった。
「もっとかわいいのが希望です」
「クラリスが決めてよ」
「では、星降る火山でどうでしょうか!」
煙を吐いている火山だけど、夜になったらバックに星が流れたりするわけか。
正式な名前じゃないし、それでいいか。
僕は、簡易的とはいえ地図を見る。
これが僕の領地か。
まだ領民はいないけど、感慨深くはある。
どこから手を付ければいいのか、じっくり考える必要がありそうだった。
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