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幼すぎる領主様 ~領地が火龍の狩り場はキツいです~  作者: 夕綺柳


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第三話 専属メイド


 午後になると、中庭でシャロンに会った。


「オーウェル、話は聞いたわ」


 シャロンは、不憫そうな顔をしている。


「家令を立てて、火龍の狩り場は人に任せればいいわ、また違う領地をもらえるかも知れないし」


 王宮は刺激に飢えているのか、噂が広まるのが早かった。


 儀式の間にいた人間で、そんな噂をバラ蒔きそうなのは……キニスンしかいないか。


 きっと、得意そうにシャロンに語ったんだろう。


 平民の子とか、昔はワガママだったとか、だから火龍の狩り場なんて与えられたんだとか。


「次に領地をもらえる可能性があるのは、16の成人の時ですよ」


「少し長いかも知れないけれど、仕方が無いわ」


 16歳の領地は、9歳のときに与えられた領地の発展具合を見て決められる。


 どのみち、僕に様子見をするという活路はなかった。


 セルジュもキニスンも、王宮で暮らしていて、領地には年に数回訪れるだけだ。


 基本的には家令に任せている。


 でも、僕は、16歳になっても領地をもらえないだろう。


 アマルガンは、なにか僕に感じたから、火龍の狩り場なんて与えたんだ。


 その誤解を解くか?


 いや、誤解じゃないんだからボロが出るだけだ。


「準備が出来次第、領地へ出発します」


「えっ!? 火龍の狩り場にいくの!?」


 シャロンが驚いている。


 まさか、という感じだ。


「もちろん、僕の領地ですから、立派に発展させて見せますよ」


「やめて、死んでしまうわ」


 僕の腕にシャロンがすがりつく。


 無謀な挑戦に思えるんだろう。


 それはそうだ、火龍を倒そうと騎士団が向かって行っても無理だったのに、僕にできるはずがない。


 でも……。


「死にませんよ、こうなったらやるだけです」


「お父様への当てつけ? 死んでしまったら何もならないわ」


「心配してくれてありがとう、シャロン、でも、できることがないか試してみたいんです」


「そう……わかったわ、それなら……クラリス」


「はい、シャロン様」


 シャロンの後ろに控えていたメイド達のうち、一番背の低い子が前に出た。


 9歳の僕よりは背が高いけれども、同世代と思われるメイド達より一回り小さい。


 でも、出るところは出ていて……ロリ巨乳? そんな感じの子だった。


「クラリス、あなたは今日からオーウェルの専属メイドになりなさい」


「かしこまりました、シャロン様」


 クラリスが頭を下げる。


「ちょ、ちょっと待って、メイドが居ても火龍の狩り場では仕方が無いよ」


「いいえ、クラリスは元騎士団の副団長で、野外活動も行っていた優秀な子なの、是非連れて行って」


「そうなの?」


 騎士団の副団長?


 何歳なの?


 僕は、クラリスをタップしてみる。


 すると……そこには、すごい戦闘能力とサバイバル能力が記されていた。


 本当に何歳なの?


「どうしてメイドを?」


「優秀すぎて、騎士団で疎まれてしまったの、でも、ここでメイドをしているよりも、きっと自分を生かせるわ」


 シャロンは、自信ありげだ。


 それはそうだろう、見た目からは想像もできない能力だ。


「いいのか、クラリス、火龍の狩り場だぞ?」


「この命、王家に捧げたものです。ご命令とあれば、火龍の狩り場でもなんでも、同行させて頂きます」


「そうか……」


 騎士団で野外活動の知識があるというのいは良いかも知れない、ここはありがたく受け取らせて貰おう。


「では、よろしく頼むよ、クラリス」


「オーウェル様、あなた様にこの命捧げます」


 幼い顔に笑顔満面でそう答えた。


 死に場所を探してるとかじゃないよね。


 なんか不安な笑顔だ。


「出発はいつなの?」


「明日にでも出ようと思う」


「明日!? 早過ぎよ!」


 9歳の儀式の翌日に領地に行く。


 火龍の狩り場じゃなければ、立派だとか言われたんだろうか。


「王宮にいても、キニスンに馬鹿にされるだけですし、早く行った方がいいですよ、クラリスは大丈夫かい?」


「はい、問題ありません」


 それから僕は、諸々挨拶をして回った。


 明日出立しますと。


 キニスンには笑われた。


「あはははははははは、正気ですかオーウェル、家令を立てるんじゃなくて、自分が領地に行くんですか?」


「兄上には、お世話になりました」


「クククク、平民の子はこんなものだよな、長い付き合いだったが、息災でな、プッ、くははははっ」


 セルジュには諭された。


「オーウェル、死にに行くようなものだぞ、考え直さないか?」


「いえ、もう決めたことです、お世話になりました」


 セルジュはため息をつくと、僕の目を真っ直ぐ見据えた。


「自暴自棄になっているのではないな?」


「はい、当てつけでも自棄になっているわけでもありません」


 納得したのか、セルジュはひとつ頷く。


「わかった、困ったことがあったら連絡をくれ、できることはしよう」


「ありがとうございます」


 そして、父王アマルガンには……。


「父上、明日旅立ちます」


「そうか、息災でな」


「ありがとうございます」


 それだけだった。


 まさか、僕が領地に行くとは思っていなかっただろうに、素知らぬ顔だ。


 でも、去り際にぽつりと言葉を漏らす。


「マリアのこと、恨んでいるか?」


「とんでもございません、恨むなどと」


 恨んでいるさ。


 お前が殺したも同然なんだ。


 当たり前だろう!


「そうか、お前は何事かを為す、私はそう予感している」


「ありがとうございます、それでは、また」


 用意して貰った馬車は、華美な物ではなく、頑丈な物だった。


 乗り心地は悪いが、食糧も半月分のせている。


「気をつけて、オーウェル」


「ありがとう、シャロン」


 心配そうなシャロンの顔は、晴れることがない。


「無理はするなよ。生きていればこそだ」


 セルジュが励ましてくれる。


「はい、ありがとうございます」


「クラリス、オーウェルをよろしくね」


「かしこまりました、全身全霊をもってお守りいたします」


「それでは、皆様も息災で」


 御者台にはクラリスが乗り、僕達は出発した。


 一週間半ほど馬車に揺られ、街で休息をとりながら進むと、火龍の狩り場に着いた。



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