第二十二話 商人の戦い
精霊族の若者が殺されるという事件が解決した後、僕は寝て起きて、騎士団の詰め所と冒険者ギルドを建て終えた。
二度目なので、要領よくやれたと思う。
「領主様」
「ん?」
そこに、商人のひとりが話し掛けてきた。
店は建て終えたと思うけど……。
「領主様、通貨はどうされますか? 商人としては皆が通貨を持っている状態が好ましいのですが」
「そうだね」
物々交換だと、商人の出る幕がない。
でも、村長とその話は既にしていた。
「今日にでも、囚人以外の全員に通貨を配給します」
「おお、それはありがたい」
「とりあえず一月分ですね」
「一月分ですか……」
ちょっと渋い顔をしている。
お金に余裕がないと、使い渋りをすると思っているのか。
「その後は様子を見て行いますので、助言を頂ければ」
「かしこまりました。それとなのですが……」
軽く目を光らせる。
商売人の目だ。
「湖の反対側で家畜を飼っているのですか?」
目ざといな。
僕の反応を見て、商人は申し訳なさそうな顔をした。
「湖の周りがどうなっているのか調べた者がおります」
「詳しい説明が必要なのですが……」
「はい、精霊族でした」
当然気が付くだろう。
「領主様の奴隷だと説明はしましたが、怖がっておいででした」
悪いことをしたな。
ゴードンが森の方にいるから、余計に怖い思いをさせたかも知れない。
「他にも居る、森で食糧や飼料として作物を育てている」
「なんと、仕入れることは可能なのでしょうか?」
「運ぶとしたら夜になりますよ?」
「それがこの地のルールでしょうから」
商人は、心得ているという顔をした。
そうすると、馬と馬車を用意しないといけないかな。
「しかし、契約魔術師が来たらどうする? 故郷に帰りたいでしょう?」
「いえ、皆、故郷を追われた者、ほとんどの者は残るでしょう」
そうなのか。
犯罪者はそうだろうけど、借金とかも帰りづらいか。
冤罪で掴まった者とか、事情がある人が帰りたいくらいかな?
「もちろん、よほど、復讐かなにかなければですが」
復讐か。
それにしても、ここでお金を稼いでからになるのかな。
「肉と作物は商売ができるということで、助かります」
「酒場を作ったから、そこで酒は売れますよ」
「酒も造れるのですか?」
「ああ、酒は僕が造る」
「それはありがたいです」
将来的には、仕入れるか何かして欲しいけど、今は無理だ。
でも、この世界のお酒を飲んだことがないから、地球のお酒になってしまうけどいいよね。
「他にも、湖で漁をしている者がいるから、魚も売れるぞ」
「なるほど」
「もうすぐ冒険者ギルドが来るから、冒険者の客は増えるはずだ」
「鍛冶師に武具職人が居ましたな」
目ざとい、本当に色々調べてる。
「薬剤師と錬金術士も商売になりそうです」
「そうですね、狩りをするから、皮や牙なんかも商売になるでしょう」
そう考えると、やっぱり商人はいてくれて良かったと思う。
全部、物々交換では混乱が起きていただろう。
「商人が二十人からおりますので、ありがたい話です」
「できるところから始めたいと思いますので、なにかやりにくいことがあったら言ってください」
「ありがとうございます。領主様はお若いのに聡明であられますな」
「持ち上げないでくれ、自分が聡明でないことは自分が一番よく知っている」
「いえ、本心からです。厳しい環境ですが、やっていけると思わせているのは、領主様を信頼しているからです」
信頼してもらえるのはありがたいけど……。
いや、弱気になってどうする。
僕は、そこでうんと頷いた。
「そうですか……そう言えば、商人を取り仕切る者はいますか?」
「みなで投票して決めます」
そこは駆け引きとかあるんだろうけど、首は突っ込まないでおこう。
商人と言っても色々いるだろうから、みんながみんな、大手志向で仕切り屋とも限らない。
「投票ですか、そうしてください」
「それでは、これで失礼いたします」
商人は行ってしまった。
これはみんなの話を聞いた方が良いかな。
「クラリス、色々回ってみよう」
「かしこまりました、困っていることなどは、村長のところに話が行くようにしたいですね」
「そうだね、そういう窓口は必要かな」
村長の役所と、騎士団の詰め所の二ヶ所あれば良いだろう。
そこで話が済まなければ、僕のところに来るようにすればいい。
僕は、職人の様子を見に行くことにした。
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