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幼すぎる領主様 ~領地が火龍の狩り場はキツいです~  作者: 夕綺柳


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第二十一話 精霊族の噂


 巡回中の精霊族が何者かに殺された。


 しかも、額の宝石を盗まれているという。


「わかった、時間を戻そう」


「ありがとうございます。領主様」


 ゴードンは慣れない馬に乗って来たけど、時間を戻すなら一番の適任者だと判断されたんだろう。


 これから、みんなが何も知らない時間に戻って、頑張ってもらわなくちゃいけない。


「殺された人が出かけたのはいつ?」


「朝出かけて、戻らないので探しに出たら平原で殺されていました……」


「そうなんですね」


 新しい領民は精霊族のことを知らない。


 いや、湖の対岸にゴードン達がいることは知っている者がいるかも知れない。


 だから、狙われるならゴードン達のはずなんだけど……。


「新しい領民は、森に精霊族が住んでいることを知らないんだ」


「そうなのですか?」


「でも、凶悪な犯罪者が混じっている可能性は……ある」


「お、恐ろしい」


 人殺しなどの凶悪犯罪者は牢に入れてある。


 でも、これから犯罪を犯すものを完璧に絞ることはできない。


「他には、山と湖で出会った冒険者がふたりか」


 クラリスが相づちを打つ。


「火龍の狩り場に、外から人が来ることは無いのではないでしょうか?」


「クラリスは、新しい領民がやったと思う?」


 少し考えてから、クラリスは答える。


「現状、一番怪しいという事しか言えません」


「そうだよね」


 考えていても仕方が無い。


 とりあえず時間を戻そう。


「じゃあ、時間を巻き戻すよ」


「お願いします」


 ゴードンが頷く。


 クラリスも頷いた。


「ロード」


 …………。


 ………………。


「うっ……」


 今朝に戻ったので、へとへとだ。


 徹夜して家を建てていたから辛い。


 しかし、頑張らねば。


「オーウェル様」


 クラリスがやってくる。


「うん、精霊族の村に行こう」


「お疲れかと思いますが、頑張ってください」


「大丈夫だよ、ちょっと徹夜したくらいだし」


 でも、クラリスは心配そうだ。


 まぁ、あまり肉体的な苦労はしたことがなかったから、少し辛いけど。


 僕は、クラリスと精霊族の居る森に出発した。


 川をさかのぼるように進んでいく。


 そして、森では、ゴードンが殺される者を引き留めていた。


 今日は、村にいたんだな。


「オーウェル様、精霊族は独特の魔術を使うために強いです」


「うん」


「相手は複数人の可能性が高いかと」


「わかった」


 被害にあった人に、今日はどこへ行くのか確認する。


「これからどこに行く予定でしたか?」


「領主様、西の山に調査にいく予定でした」


「わかった、ゴードンに説明は聞いていると思うけど、僕とクラリスも同行するよ」


「お願いいたします」


 ここでセーブしておこう。


 心配そうな精霊族に見送られながら、僕らは出発した。


 囮みたいになっちゃったけど、精霊族の若者を連れて山へ向かう。


 気持ちのいい朝で、これから殺人が起きるなんて想像できなかった。


 一時間ほど馬を走らせただろうか。


 突然、馬ごと電撃に貫かれた。


「ぐわっ!」


 なんだ!?


 身体が痺れて動けない。


 こんな晴れの日に落雷?


「痺れ罠です……時間を」


 クラリスもぐったりしている。


 痺れ罠……? そんなこと領民にできるわけが……。


「かかったぜぃ、精霊族がいるって噂は本当だったんだな」


「子供と女は売っぱらうか。ケケケ」


 外部からの人間!


 遠巻きに人が現れる。


 完全武装したごろつきだ。


 近づかれる前にロードしなくちゃ!


「……ロード」


 …………。


 …………………。


「……い、今のは」


 朝の精霊族の村に戻っている。


「危ないところでした」


 クラリスが青ざめている。


 いくら腕が立つと言っても、罠を仕掛けられていたら対応出来ないんだろう。


「ラウスス、犯人は外部の人間だった」


 今出かける寸前でそんなことを言われて、ラウススは一瞬戸惑った顔をしたが、すぐに理解してくれる。


「時間を!? そうですか……でも、どうしてここがわかったのですじゃ……」


「火龍の狩り場に精霊族がいるという噂が出ているみたいです……」


 ごろつきは確かにそう言っていた。


 火龍の狩り場に精霊族がいると。


「ということは、仲間を探しに行っている者がならず者を呼び寄せてしまったということですな……」


「ラウスス」


 申し訳ないような、悲しそうな顔をしている。


 最悪、その者はもう生きていないかも知れない。


「隠れている精霊族を探している仲間が、口を滑らせたのでしょう」


 あり得る話だ。


 精霊族を探すには、闇雲に歩いたって駄目だ。


 なにか情報を得なくちゃならない。


 そうなると、街は危険としても村などに額の宝石を隠して情報を聞きに行った可能性はある。


「仲間はもうこの世にはいないかも知れませぬが……」


「捕まって拷問を受けて、仲間の居場所を吐いたにしては、半信半疑という感じでしたが……」


 クラリスの疑問もわかる。


 確かにそれだと、噂とは言わなそうだけど、今のところ真実はわからない。


「とにかく、どこで襲われるかわかりました。今度は撃退できるでしょう」


 クラリスも精霊族の若者も自信がありそうだ。


 僕は、戦力にならないから頼るしかない。


「じゃあ、もう一度出かけよう、くれぐれも油断の無いように」


「かしこまりました」


 起こることがなるべく変わらないように、同じ三人で出発する。


 今度は、ちょっと緊張しながら馬を走らせた。


 一時間くらい走ると、精霊族の若者が僕の側に寄ってくる。


「居ました、賊です」


 探知する魔術があるんだろう。


 便利なことで良い。


「倒せるか?」


「賊など問題になりません」


 クラリスは自信ありげだ。


 精霊族の若者も頷いてみせた。


「私が先導します」


 クラリスにも敵が見えているのか、馬を速く走らせた。


「痺れ罠を設置しているでしょう、迂回して賊を討ちます!」


 僕は、クラリスに着いていく。


「見つかったぞ! 武器を抜け!」


 ならず者の方から声が聞こえる。


 罠を迂回して、自分たちの方に来たからわかったんだろう。


「遅いです!」


 痺れ罠を回避して、クラリスが賊に襲いかかる。


 罠の周囲を囲っていた賊は十人ほどだ。


 僕たちが何もしなくても、火龍に殺されていただろう。


「はああぁぁっ!」


 クラリスが馬上から一人を斬る。


「腕が立つぞ! 気をつけろ!」


 ならず者は、ひるまずに襲いかかってくる。


 腕に自信があるんだろう。


 クラリスは大丈夫だろうか?


「精霊族だ! やったぜ!」


 ならず者のやる気が上がっている。


「ガキと女は売り飛ばすぞ!」


「精霊族の魔術に気をつけろ!」


 僕は戦力にならないと思ったんだろう、剣を抜いているクラリスに向かって行く。


「甘いですっ!」


 クラリスが馬を走らせて殺し回る。


 ならず者も腕に自信があるようだったけど、ものが違った。


 まったくのレベル違いだ。


 さすが、騎士団でやっかみに合っていただけはある。


「ひとり捕らえます!」


「雷精よ!」


 この晴れの日に雷が落ちてきてひとりが倒れる。


 精霊族の魔術だろう。


 痺れ罠の仕返しだろうか。


「女が手強いぞ! 弓を使え!」


「遅いです!」


 ならず者は残り三人になると逃げ出すが、馬の速さにはかなわず、クラリスに背中から斬られた。


 辺りが静かになると、雷で痺れて動けないならず者のところにみんなが集まる。


 僕は馬から下りると、手錠をクリエイトした。


 ならず者の手足にカチリとはめる。


「いいですね、それは」


「そうか、手錠なんて無いのか」


「…………?」


 クラリスは不思議そうだ。


 まぁ、いずれクラリスには話そう。


 精霊族の若者が、ならず者を締め上げる。


「精霊族のことをどこで聞いた?」


「な、仲間が火龍の狩り場の入口まで来ている、俺たちが戻らなかったら攻めてくるぞ」


 そんな大人数を火龍が放置するはずはない。


 僕たちが何もしなくても死ぬだろう。


 早朝だったから、今はまだ寝ていたのかも知れない。


 精霊族の若者がならず者の指を切り落とす。


「ぎゃー!」


「うっ……」


 生々しい。


 でも、仲間も同じ目に遭ったかも知れないから、憤りはわかる。


「精霊族のことをどこで知った?」


「し、知らねぇ、俺は仲間になっただけだ」


 精霊族の若者は、全く躊躇無く、もう一本指を落とした。


「ぎゃー!」


「指が残っているうちに話した方が得だぞ」


「盗賊ギルドだ! 火龍の狩り場に精霊族の集団が向かっていると情報があった!」


 なるほど、それはずいぶん昔の話だ。


 100人からの移動だから、誰かに見られていたんだろう。


「他には?」


「せ、精霊族のことを嗅ぎ回っている奴が他にも居る、急に精霊族の噂が増えたんで、確かめに来たんだ!」


「他には?」


「トグサの冒険者ギルドが人を集めている、火龍の狩り場にダンジョンがあるとか何とか」


 情報が複合して、確かめに来たという感じか。


「仲間は何人だ?」


「残り十人だ、腕っ節は俺たちよりある、俺を逃がしてくれたら取りなしてやる」


 でも、クラリスは冷たかった。


 ならず者にかける情など無い感じだ。


「この男たちが戻らなかったら、入口の賊は帰るでしょう」


 精霊族の若者が答える。


「そうですね、そしてやはり火龍の狩り場は危険だという噂も出るかも知れない」


 ふたりは意気投合していた。


 殺すのかな……見たく無いな……。


「ま、待て、情報は話したぞ?」


「ここから出られたら好きにするといい」


 クラリスは手錠をかけたまま放置しようとするけど、精霊族の若者はあっさり殺してしまった。


「ぐえっ……」


「わずかでも、危険は取り除いておかねば」


 それもそうか。


 長年隠れ住んでいるだけある。


「私は入口を確認しに行ってきます」


 精霊族の若者が立ち上がる。


「ひとりで大丈夫ですか?」


「遠くから魔術で確認するだけですので」


「そうですか」


 入って来たら火龍に殺されるだろうし、帰ればやっぱり火龍の狩り場は危険だという噂を流してくれるだろう。


「我々は戻りましょう」


 もう一度、騎士団の建物や冒険者ギルドの作り直しだ。


 僕は、湖の村に戻って寝た。



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