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幼すぎる領主様 ~領地が火龍の狩り場はキツいです~  作者: 夕綺柳


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第一話 始まりの日

ちょっと短くなってしまいましたが、毎日更新で26話アップします。

さくさくゆるゆると行きますので、良ければ読んでいってください。

それでは、スタートです!


 それはクリティカルヒットだった。


 静かな中庭に、平手打ちの音が響き渡る。


 クリティカルヒットって何だ?


 ゲーム?


 ゲームって……。


 ここはアルスノヴァ王国の王宮、薔薇の庭園と言われる中庭だ。


 執事やメイドが驚いた様子で僕たちを見ている。


 僕の名前はオーウェル。


 この国の王子の一人だけど、母親が平民の出で、しかも既に他界してしまっているために、大変肩身の狭い思いをしていた。


 王子は他に二人。


 王は男系男子の決まりがある国なので、多少生まれが卑賤でも生かされている。


 他の王子にもしものことがあったら、僕に出番が来るわけだ。


 継承権何位とか言うらしい。


 そして、泣きながら僕をビンタしたのは腹違いの妹である王女様。


 強気だけど健気でかわいい、シャロン。


 わがままで卑屈に育った僕は、シャロンに酷いことを言った。


 なにかと僕に気を使ってくれるシャロンに、ブサイクが女王になりたかったら、僕らを殺すしかないもんなとかそんなことを……。


 これまでもずっと我慢して僕に付き合ってくれていたシャロンは、とうとう爆発した。


 それで、さっきのクリティカルというわけだ。


 クリティカルは即死だったのが昔のゲームなのに、今はただの強い攻撃だ。


 HPは回避力という意味だったのに、生命力に変わってしまったのと同じだな。


「ごめんシャロン、僕は酷いことを言った。謝らせて欲しい」


 僕は、しおらしく頭を下げる。


「え?」


 でも、謝られたシャロンは戸惑っているようだった。


 一緒にいたメイドやら執事やらも驚いている。


 それくらい、僕はワガママで馬鹿だった。


「君に叩かれて、目が覚めたよ。今までの僕は間違っていた」


「え? え?」


 ビンタした格好はそのままで、シャロンが困惑している。


 僕が謝るなんて、思いもしなかったんだろう。


「君は素敵な女性だ、それは容姿だけじゃなくて人格や品格まで、8歳とは思えないくらい大人で自立している」


 王女だから自立はしてないか? いや、彼女もあまり生い立ちが良くないから、王宮の中で自立しているだろう。


 隣国のバトルプス王国から嫁いできた王妃の妹。


 その妹と父王アマルガンの間にできた子供なのだ。


「ん?」


 ふと、シャロンにタブが付いていることに気が付いた。


 なんだか、タップ? できそうな気がする。


 僕はそれを指でタップしてみる。


 すると……そこにシャロンのステータスが現れた。


「…………」


 初めてステータスというものを見たけれども、優秀なんじゃないだろうか。


 近くのメイドと比べてみると……まずレベルが違う。


 フィジカル面は当然負けているはずなのに、レベルが違うから、全ての面でシャロンが勝っていた。


 8歳でこれは努力しているんだろう。


「ど、どうしたのですかオーウェル、まるで別人のように……」


 戸惑っていたシャロンがようやく口を開く。


「いえ、目が覚めただけです、これが本当の僕ですから」


「そ、そうなの?」


 振り切っていた手をやっと下ろすと、所在なげにモジモジとした。


「謝罪を、シャロンのために」


 祈りを込めて手を組むと、僕の身体からエネルギーが天に昇っていく。


 我ながら、ものすごい量だ。


「わ、わたしも、オーウェルのために」


 シャロンの祈りは、小さなエネルギーだった。


 僕は、この祈りが得意で、エネルギーの充填速度も早い。


 祈りの量だけで、僕を次期国王に推す派閥もあるくらいだ。


「では、僕は考えたいことがあるので自室に戻ります」


「あ、ちょっとオーウェル」


 シャロンが僕を引き留めようとする。


 でも、僕は失礼しますと言ってその場を後にした。






「すまないが一人にして欲しい」


「かしこまりました、扉の外におりますので御用があればなんなりと」


 お付きのメイドが部屋から出ていく。


「ふむ」


 部屋に戻った僕は、鏡の前に立って自分を睨め付けた。


 これはつまり、異世界転生というものかな?


 元の僕とは似ても似付かない、美形の男の子を見てそう思う。


 シャロンと同じ8歳だけど、僕の方が生まれが早い。


 ちょっと高貴さすら感じるのは服のせいなのか。


「…………」


 どういう形で元の僕が終わったのかは覚えていないけれども、これは思い出した。


 転生特典だ。


「セーブ!」


 すると、セーブ画面が現れた。


 試しにセーブしてみる。


 間違って消さないように、最後の100番目の項目にセーブした。


 これで、何があってもここには戻ってこられるというわけだ。


 オートセーブの欄は空欄だけど、これは自動でセーブされるんだろう。


 ロード!


 ロード画面が出る。


 100番目に、僕の名前とセーブ時の日時が記されている。


 ん? オートロード?


 ロード画面に見慣れない文字があった。


 オートでロードされたらかなわない。


 どういうタイミングで使われるんだろうか?


 まぁ、普通に考えれば死んだとき……なんだろうな。


 ロードも間に合わず、不意に殺されたときなんかに使われるんだろう。


 試すことはできないから、そう思っておくしかない。


 後は、実際オートロードしたときにわかることだ。


「はぁ……」


 セーブとロードは実験しないといけない。


 まずは、ロードしても僕が記憶を保っていられるかだ。


 もしも、セーブ時の記憶しかないんだったら、永久にセーブとロードの実験を繰り返してしまうかもしれない。


 まぁ、そうなったら神様が何とかしてくれるんじゃないかと思っておく。


「ロード」


 100番目のセーブデータをロードする。


 そして……。


「…………」


 僕は100番目のセーブデータをロードした記憶がある。


 記憶は引き継がれるみたいだ。


 とりあえずホッとする。


 もし記憶が引き継がれないんだったら、とんでもない欠陥転生特典だ。


「さて……」


 王族の努め。


 僕は先ほど、シャロンの前で使った祈りを確認する。


 手を組んで祈りを込めた。


「祈りよ」


 エネルギーが天井をすり抜けて立ち上っていく。


 天井にぶつかるんだったら、エネルギー波として使えるかも知れないけど、実用性は無さそうだ。


 王族は、その血を引いている証として、祈りができる。


 この祈りは、世界のために使われるエネルギーとして天に送られるらしい。


 どうやって使われているのかはわからないけど、祈る度に世界は良くなるそうだ。


 でも、こうなった今、僕はその使い道に考えがあった。


 それも実験だ。


「セーブ」


 1番目にセーブをする。


 現在の日時が書かれたセーブデータが作られた。


 僕は部屋を出る。


 メイドが立っていたけど、着いて来なくて良いというと頭を下げた。


 そして、誰か居ないか王宮の中を歩き回る。


「あ……」


 すると、廊下で嫌な奴にあった。


「やあオーウェル、シャロンを泣かせたらしいですね」


 腹違いの兄で、ふたつ年上のキニスンだ。


「私のシャロンを泣かせるのは頂けませんね、お仕置きしてあげましょう」


 得意そうな顔でそう言う。


 僕の方が、力も立場も継承権も、何もかも下だと思って見下しているんだ。


「申し訳ありません兄上、シャロンにはしっかりと謝罪しましたので」


「ほう!」


 キニスンが面白そうな顔をする。


 上等な獲物を見つけたような、そんな顔だ。


「シャロンに躾けられたというのは本当らしいですね、あのオーウェルが、クククク、でもお仕置きはお仕置きですよ!」


「ぐわああぁぁぁぁっ!」


 身体に電流が走る。


 突如、王宮の中に落雷が発生して僕の身体を貫いていた。


 これが、王族のもうひとつの力、世界にエネルギーを供給していると、不意にスキルを得る事ができる。


 人それぞれ得られるスキルは違うけど、キニスンが今持っているスキルは電撃。


 武人にでもなるなら有用だろう。


「これに懲りて、シャロンを泣かせないことです、ホーッホッホッホ」


 満足したのか、キニスンが立ち去っていく。


 それが十歳の笑い方かよ。


 床に膝をついていた僕は、周囲に人が居ないことを確認してロードした。


「…………」


 部屋に戻っている。


 セーブ欄には、ガイアス歴172年、5月12日、13時46分30秒、オーウェルの寝室とある。


 時計を見ると13時46分30秒だった。


「…………」


 セーブロードの実験は、まだ終わらない。


 僕は祈りを込める。


「祈りよ」


 天にエネルギーが昇った。


 これで良い。


 部屋の外に出ると、お付きのメイドがいた。


「今はガイアス歴何年何月何日ですか?」


「ガイアス歴172年、5月12日でございます」


 よし、しっかりロードされている。


 そして、僕はさっきキニスンに出会った廊下にいく。


 すると……。


「やあ、オーウェル」


「兄上」


 そこには、キニスンではなく、こんな僕にも強く優しく接してくれていた長男のセルジュがいた。


「シャロンを泣かせたらしいね」


 仕方が無いなという顔をする。


 みんな妹思いなことだ。


「シャロンに叱ってもらって心を入れ替えました、これからは誠心誠意、王族の勤めを果たす所存です」


 そして、セルジュは驚きの表情の後、微笑んだ。


「噂は本当だったみたいだね、シャロンにこんな特技があるとは、いや、オーウェルの資質なのかな」


 僕の変わりように驚いているみたいだ。


 ワガママでクソ憎たらしい子供だった僕が、しおらしいことを言っているのが嬉しいんだろう。


「ありがとうございます、兄上にもこれから色々教えて頂ければ」


「うん、僕が教えられることならなんでも教えるよ、良かった」


 そう言ってセルジュは去っていく。


「…………」


 僕は、自然に顔が笑っていることに気が付いた。


 もう一度ロードする必要はないだろう。


 実験は成功だ。


 セーブロードした後、また同じ事が起こるのでは困ることもあるだろう。


 そのときに乱数調整、と言う表現が正しいかはわからないけれども、祈りを込めて世界を良くするんだ。


 そうすると、バタフライエフェクトのような効果を出せるんじゃないかと思ったのだ。


 結果は見ての通り、同じセーブデータから違う結果が出た。


「ククク、使える。復讐してやるぞ」


 最愛の母を捨て、殺した父王、アマルガン。


 その身体と心に後悔を刻み込んでやる。


 この力をもって!



【大切なお願い】


もし少しでも、


『ちょっと面白いかな?』

『つづきを読みたい可能性もあるかも?』

『オーウェル頑張れ』


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