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 正体不明のドラゴンに名指しされた俺は、ナミのサイキックで上空に飛ばしてもらいドラゴンと対峙した。

 

「貴・・・貴様? 貴様が・・・? レンツ? えっ、角無し? え?」

 

「俺がレンツだが・・・何かようか?」

 

「え、レアモンデステーシ倒したのって貴様なのか?」

 

「いや、俺じゃない。オーガたちだ」

 

「えっ・・・」

 

「下で見上げているオーガたちだ」

 

「え、レンツはレアモンデステーシを倒してない?」

 

「倒してない」

 

「そ、そうか・・・怒鳴って呼び出してすまなかった」

 

「いや、いい」

 

 俺はナミに合図を送ると、地面に降ろしてもらった。あのドラゴンと誤解が解けてよかったと思った。話が通じない巨大生物とはわけが違うと改めて実感した。やはり知能の差というのはすごいものだと思い、ドラゴンに対して不敬というのはその通りだと思った。

 

 どこかで侮っていた自分が愚かだったと反省した。

 

「オーガどもぉぉぉ! レアモンデステーシ打ち勝ったようだな! だが我はそうはいかんぞぉぉぉ! 我はミディアンデステーシ! お前らの新たな主だ!」

 

 新たに現れたドラゴンが名乗り終わるとオーガたちは示し合わせたように、降りて戦え! 降りて戦え! という叫び出した。

 

「ハーッハッハッハッハッハ! その意気は良し!」

 

 ドラゴンのミディアンデステーシが大き目の広場に降り立つと、マガツがそこに対峙するように出向いていた。俺はそれを遠目で見ていた、これから何が起きるのか、俺は知らされていなかった。

 

「貴様が、オーガの長か!」

 

 ドラゴンの声というのは大きいなと思いつつ動向を見張った。

 

「名はマガツと言う、ミディアンデステーシよ・・・去れ! さもなくば敗北を与えてやろう!」

 

「ほざいたな!」

 

 ミディアンデステーシはブレスをマガツに向けて吐き出した。放射型ではなく砲弾のようなブレスで高圧縮された魔力の塊がマガツめがけて発射された。マガツはそれを予期していたのか、側転で避けた。

 

 避け終えたと同時に、ブレスを放った瞬間に鎖付き鉄球が大量に投げ込まれ、投げたと同時に部隊が高速でドラゴンの懐に入り込んでいた。鎖付き鉄球が引っかかると、即座に懐に入っている部隊が地面に杭を打ち込み、建物の屋上から、投擲部隊が頭や鱗の隙間などにめがけて集中攻撃をしたのだった。

 

 ミディアンデステーシもまさか、即座に反撃されると思っておらず、突然の反撃にうろたえ、飛び立とうとするのだった。

 

 だが、悲しいかな・・・鎖は十全に杭によって打ち込まれいた。

 

 うまく身動きが取れず、反動で地面に頭が打ち付けられてしまう。

 

「グガァ!」

 

「今だ!」

 

 マガツの号令により、新たな鎖が口を覆い、ブレスすら打てなくなったドラゴンの貼り付けが出来上がったのだった。

 

 オーガたちは大喝采をした。もはや、ドラゴンはただの雑魚と化していた。俺は問答無用で空からブレスの焦土作戦を決行すればオーガたちに勝てるだろうと思ったが、都市を統治する場合は焦土にしたら意味をなさない。そうなるとドラゴンがとれる手段は、都市の外にオーガたちを誘い込むしかないだろうし、そういう作戦をドラゴンがとるか、となると一個体としての強さがある分、しないだろうと考えた。

 

 その日は、祭りとなり後日ある程度ボコボコにされたドラゴンのミディアンデステーシが賠償金と交換で送り返された。

 

「ドラゴンさまさまですな。おかげで都市の発展が早まりそうです」

 

 ホクホク顔のマガツが良い笑顔をしていた。

 

「ところで、あの巨大な銅像は・・・?」

 

 至る所にあったドラゴンの銅像が取り壊され、新たに銅像が建設中だった。俺はなんとなく嫌な予感をしていたが、オーガたちが成しえた事なので気のせいだろうと思った。

 

「レンツ殿の銅像です」

 

「ま、待て・・・ドラゴンに勝ったのはオーガたち・・・つまりお前たちの銅像でなきゃおかしいだろ」

 

「いえ、そんなことはありません。俺たちはレンツ殿によって変わりました。この御恩を子々孫々まで語り継ぎ、力を継承していくためにも銅像は必要です」

 

「よかったわね、また銅像が建って」

 

 ナミが飲み物を飲みながらほくそ笑んでいた。

 

 俺は頭を抱え、この都市を近日中に去ろうと決意した。



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