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「~♪」

 

 ナミが鼻歌を助手席で歌っていた。俺は恥ずかしさから顔をしかめてしまう。

 

「ふふ」

 

「なんだよ・・・」

 

「別に~」

 

 ナミはわかって俺をからかっていた。運転をしながら、次の目的地のことを無理やり考え、歌のことを忘れようとした。都市レヴァイアサンで自分がハーピー、セイレーン、人魚たちに歌って踊って教えた記憶を追いやることにした。

 

 次に向かっている都市はサタン卿が治める都市の一つでオーガと呼ばれる屈強な種族が多くいる。それらを束ねるドラゴンという存在がいて、どちらも種族特有の強さが特徴的だと聴いたことを思い出し、楽しみにしていた。

 

 きっと素晴らしい筋肉がそこにはあるのだろうと思った。

 

 オーガについては、ゴブリンと似たようなものだと思ったが体格的にもっと大きく、戦闘能力がそもそも違うと聞いた。ドラゴンに関しては、全身が美しくどんな攻撃も通さない鱗で覆われており、翼が生えて自由に空を飛び、口からはブレスという特殊な広範囲にも局所的だろうと高火力な攻撃が可能であり、手足には切れぬものがないと言わしめる爪を持っていると聞いた。

 

 巨大生物にも似たようなものがいると言うと、ドラゴンは知能がとても高くその話をすると不敬とみなされ殺されるからやめろとも教えてもらった。

 

 次の都市のことを思い浮かべていると周りにぽつぽつと家が見え始めてきた。今まで巡った場所はどれも大なり小なり柵が存在していた為、不思議に思えた。また草原とは違う植物が規則正しく植えられているのか、見渡す一面が整理されたかのように広がり始めていった。

 

「なにかしらね」

 

「さぁ・・・?」

 

 程なく車を走らせていると、建物が次第に増えていった。大きな銅像が二体あり、話に聞いたドラゴンと特徴が一致したことでここが都市サタンかと思えた。

 

 門番のような人が車に近寄ってきたので、速度を緩めて外に出るとオーガだと一目でわかった。

 

「この都市に何の用だ? ここは危険だぞ?」

 

「旅をしている、何日か滞在したい。問題ないか?」

 

 オーガは怪訝な顔をしていた。何か問題があるのだろうか?

 

 すると都市の中心の方から大きな爆発音がし、炎が建物を包んだ。

 

「はじまったか・・・お前たちも悪いことは言わない。去ったほうがいい、この都市は危険だ」

 

「ねぇ、今の音は何? 今日はお祭りでもあるの?」

 

 そしてまた爆発音がし、炎が舞い上がっていた。そして、ドラゴンが宙を舞いながら炎を吐いて、建物を焼いていた。

 

「何が起きてるんだ・・・?」

 

 俺は都市を焼き払っている光景に疑問を感じた。建物を壊すのであれば、わざわざ炎を出す必要がないし、見たところ遠目でも建物は木材など燃えやすい素材ではなかった。

 

「俺たちオーガがドラゴンに対して、反撃してるんだ。俺も参加したかったがまだ若いからと仕事をしていろと言われ、ここに残ってる」

 

「反撃?」

 

 ナミがオーガに聞いた。俺も気になっていたので丁度よかった。

 

「この都市を統治しているドラゴンのレアモンデステーシがあまりにも横暴で、それを訴えるために俺たちは立ち上がったのだ。力で示すことが正義、力こそ正義だからだ」

 

 力こそ正義、という言葉をきき、この都市は純粋に力そのもので物事を解決して是とする事を知った。

 

「ねぇ、レンツ・・・大丈夫そう?」

 

「この距離からあのブレスの威力を見積もると戦闘能力だけだと割と一方的に攻撃されるくらいか」

 

「私の見立てだとサイキックでうまく掴め無さそうかしら・・・なんか魔力纏ってて強いのは見えるわ」

 

 失明してる目でどうやって見てるんだとツッコミたくなったが、サイキッカーなら心の眼とかいうので見てる人もいるからきっとそういうことなのだろうと思った。

 

「あ、あんたらあれが恐ろしくないのか?」

 

 門番のオーガは驚きながら俺たちに聞いてきた。正直なところ、前の世界にいた人類敵よりも厄介ではなさそうだという認識しかなかった。音速で移動しながら攻撃してきたり、体格や骨格が変化して変幻自在に襲ってきたり、身体ごと浸食してきたり、分裂と増殖したりといった事をしてないところを見ると巨大生物がもっと強くなった程度に見えた。

 

「「特に・・・」」

 

 俺たちはお互いに同じ認識だった。攻略方法というか、対処方法は二人でもう出ていた。話さなくてもわかったのだ、サイキックで俺を飛ばし、うまく首元か胸当たりでレーザビームソードで一刀両断か、最大出力で穴を空けて終わりだ。一人でやる場合は、相手より高速移動して、しがみついてレーザービームソードで倒せる。ナミの場合だと、サイキックでまわりの建物を高圧縮して砲弾として打ち出して迎撃だろうなと考えた。

 

 門番にあきれ顔されつつ、俺たちは通され炎が上がる都市に入っていった。

 

 普通に通してもらえたのも来る前に魔力の放出をいつもより多めにしたのもあり、スムーズに入れたと思った。



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