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上空から湖の中に巨大生物が潜んでいないか、見ると何体か潜んでいるのがわかった。偵察型の素体なので各種センサーが仕事をしてくれた。主にナビがマーキングしてくれたというのも大きい。ナミに合図を送り、空から降ろしてもらうとどうやってあの巨大生物をおびき寄せるかという話をした。
「私が引っ張ってくるから、とどめお願いね」
作戦もなく、いきなりサイキックで巨大生物を湖から引きずり出した。巨大生物は懸命に抗っていたが、他の巨大生物は襲ってきたのだが、この巨大生物はどこか怯えている風だった。バシャバシャと抗って、湖が波打ち、ちょっとした津波が出るものの、ナミのサイキックバリアで自分たちは濡れずに済んだ。
だが、あたりは水浸しになっており、それに気づいたナミはサイキックの力が強まり、ボギリゴギリと骨が砕ける音がし、巨大生物は圧死したような状態になった。
とどめを指す必要はなくなった。とても怖い。
「レンツあと、よろしくね。楽しみにしてるから」
俺は頷き、巨大生物を捌きに向かい、バーべは顔面蒼白になり引いてた。彼には落ち着いたら手伝ってもらおう。
程なく解体が進み、肉の部分をとりわけを行い調理をし、ナミに料理を振る舞っていると、先日一緒に騒いだハンターたちや逆切れしてきた料理人がやってきた。すでにくつろぎながら酒を飲んでいるナミは、湖と景色を楽しみながらまったりしていた。
ここで喧嘩になると面倒だ。
「バーべ、ちょっと焼いた肉とか適当な大皿に乗せておいてくれるか・・・来た人たちを案内してくる」
「了解した」
バーべはナミのキレた時の様子を見てから何かを学んだのか、俺の手伝いに対して前向きだった。
「よぉ、また来たぜ~」「今日も頼むわ」
昨日きたハンターたちは勝手知ったる状態で各自椅子やテーブルなど持ってきたのか、勝手に設営を始めた。
「ふん、何を食べているかと思ったら魔獣か・・・こんな大きい魔獣なんて臭くて食えたものじゃないだろ、バカにしてるのか?」
「まあ、そう言わずにちょっと用意したものがあるのでどうぞこちらへ」
バーべにお願いした盛り付けは大皿に山盛りになって置かれており、見栄えは悪いがそのままつまむには問題ないだろう。
料理人たちは腕を組み不機嫌そうになっていたり、露骨に肉の山から目を背けていた。俺はそれをみて、なぜ食べないのかわからなかった。
「どうした? 食わないのか?」
「いや、それ本当にあれから捌いた肉なのか?」
「なんでこんなに香ばしいにおいなんだ?」
「別の食材じゃないよな?」
「調味料はあの都市から買ったやつで適当に焼いて味付けをしてあるだけだ。肉はあれから捌いた、とりあえず食ってみてくれ」
信じられないのか、各々逆切れした時と打って変わった様子で肉を食べ始め、咀嚼したものから目を見開き、互いに頷いたり、顔を叩いたり、肉に指さして笑い出したり・・・なんか変な麻薬物質を入れてないよな?
肯定、黒コショウと香草のみ。成分は人体および鬼人などに影響を及ぼすと思われる毒物はありません。
だよな・・・まさか肉に問題があったりするのか?
血抜きなど肉を調理する前に下処理をおこなったのみ、肉そのものに寄生虫の危険性があるのみです。寄生虫に関しても加熱してあるため、処理はされています。生き残っている寄生虫は鬼人などの角を持つ種族の体内の魔力に反応し死滅する確率が高いため問題ありません。
な、なるほど? そうなると、なんでこんな気が狂ってるんだ?
「あら、来ていたの? 気づかなかったわ、レンツが相手してくれたの?」
ナミが料理人たちの奇行を見ながら、それが当然の状況かのように冷静だった。
「ああ、肉を食わせたらこうなったんだが、何か知ってるな?」
「あら、わからなかったの? 先日来たハンターたちも最初こんな感じだったわよ。方向性は違うけれど、概ね正常な反応なんじゃないかしら、だって今まで食べていたものが食べ物ですらなかった、という感じだもの」
「いやでもバーべは普通に食べていたが?」
「あんた鈍いわね、こっちが支払いしたのよ? それをくそ不味いですね、って残したり文句言うわけないでしょ?」
「あっ」
ナミと話をしていて感じたが、どうやら美味いものを食べれたのか機嫌が良くなり、いきなり煽ったり争いに発展するような流れにはならなくてよかったと思った。
「あの~すみません・・・」
声をかけた方向を見ると、最初に湖周辺にいたハンターたちがやってきた。
「支払いますので、俺たちにも頂けないでしょうか」
「「「お願いします!!」」」
ナミの方を見ると、ニヤァとした表情を浮かべていた。
「いいわよ」
そして、今日もどんちゃん騒ぎがはじまった。
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