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 魔核ランキングの事をはいったん頭の隅に置いて起き、ひとまずは美味い物を食べるという事にしたレンツだった。卵型の武具とナミは会話して、何か結論が出たのかそれとも気にしてないのか、レンツの傍で巨大生物が捌いているのを見ていた。

 

「この大きさだと二人で全部食べるには、量が多すぎよね」

 

「日持ちすればいいが、生ものだしな。保存場所も考えると難しいだろう」

 

「あの都市で正直、ごはん食べたくない」

 

「軍用レーションなみに不味いしな、思い起こせば・・・この世界に来てから割とうまいと感じるものが多かったが、不味いものはあれが初めてかもしれない」

 

 適当に食べる分を捌き、血抜き用の穴なども設置し、おかわりがあってもすぐに必要分の肉を切り取れるようにした。煮る、焼く、蒸す、の場所を造り、テーブルや椅子などもレーザービームソード岩を刻み製作する。

 調味料や調理器具、食器類はバッグに入れて持ってきているので、ナミがそれらを準備し、俺は調理することになる。ナミも調理はできるのだが、ナビのサポートがある俺の方が上手く料理ができるのでやっている。

 

「ねぇ、魔核ランキングってさ、この卵型の武具から魔核精製して提出したらどうなるんだろ」

 

「さぁな、不正になりそうな気がしないでもない。それにそのおかしな卵型の武具そのものを欲しがるやつが現れて厄介な事になるだろうから、やめておいた方がいいと思うんだが」

 

「うーん、確かにそれもそうね」

 

「ところでそれで反物質なみのエネルギーを蓄えたりしておく事って出来るのか?」

 

「どうだろう? あ、できるみたい」

 

 ナミが卵型の武具から念話が届いたのか反応を示し、俺はその答えにエネルギーをため込めば元の世界に帰ることも可能なんじゃないか、と思ったりした。

 

「え、何? もしかして帰りたいとか?」

 

 自称神が元の世界に戻るにはすごいエネルギーが必要だって言っていたから、選択肢として考えないわけではないなと思っただけだった。帰りたいか、と問われるとこの世界は平和だし、命の危険性が常にある世界と違っていいと思えた。

 

 たまにナビが暴走してるのか精神安定剤を投与するのが気になるところくらいだった。

 

「いや、別にそういうわけじゃない。ほれ出来たぞ」

 

 俺は出来上がった焼いた肉をテーブルの上のさらに適当に置いていった。煮ている肉や蒸している肉も出来上がったものを適当に皿に盛っては食事を二人で楽しんだ。

 

 そんな中で、来訪者が現れる事になった。

 

「な、なぁ・・・あんたら、ここで何してるんだ?」

 

 鬼族や何族かわからない角が生えている種族が数十人ほど俺たちと接触してきた。殺気ではなく、ただの好奇心なのか、襲ってくるような素振りはなかった。俺とナミはゆっくりと隙を見せずに立ち上がり、どんな行動をとられても即座に鎮圧できるようにした。

 

「い、いやすまねぇ。獲物を横取りとかそういうんじゃなねぇんだ。ただ、何してるのか気になってしまってな・・・もしかして、それを食ってるのか?」

 

 俺とレンツは顔を見合わせ、バーべの時を思い出した。

 

「ああ、捌いて適当に煮たり、焼いたり、蒸したりして食ってる。お前らも食うか?」

 

「「「えっ、それ食べれるのか?」」」

 

 その後、どうせ食べきれなくて腐るだけなので、肉をふるまったら朝まで宴会が続いた。どんちゃん騒ぎに他のハンターも気になり合流するようになって、さらに人が増えていった。湖から出てきた巨大生物の肉は次第になくなり、解散になると思いきや狩っていた別の巨大生物を運び込んできたのだった。

 

「なぁ、これも食べれるか」

 

 俺は料理人じゃないんだが、と思ったがナビが食べれますと返ってきたので頷いた。

 

「代金はこれでいいか?」

 

 なぜか魔核を渡され、ナミはいいんじゃない? やってあげなさいよという始末だったのでこれも適当に捌き、振舞うこととなった。次の日の昼過ぎまで働きっぱなしな状態になり、今までにない体験だったこともあって楽しめた。

 

 お開きにすることにし、後片付けをしている最中に各ハンターから魔核を渡され、うまかっただの最高だったと感想をもらいながら、次はいつごろやるんだと言われた。考えてない事もあり、未定だと伝えたら皆一様に悲壮感漂わせて帰っていった。

 

「まあ、あの都市のメシマズから考えるとそうなるわよね」

 

「うまさを知ってしまえば戻れないからな」

 

 都市に戻り、ハンターギルドで魔核を納品すると、質が良かったのか受付から驚かれた。受付からもしかしたらランキングにのるかもしれませんよと言われたが狩ったのは一体だけで、他は肉を捌いて食わせてもらった魔核であった為、なんだか微妙な気持ちになっていた。

 

 今後の飯事情を考えると疲れがドッと出てきたので、宿に戻り二人してすぐに寝る事にした。

 

「食べてばかりだったけれど、騒ぎ疲れたわ」

 

「俺なんて捌いて料理してばかりだったぞ・・・」

 

「おやすみ」

 

 ナミは俺の言葉を無視して寝たのだった。俺は横になりスリープモードへと移行した。何かあればナビが起こしてくれるだろう。



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