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あっさりと都市ベルゼブブに到着し、特に待つことや検問といったこともなく、都市内に入ったレンツたちだった。バーべと共に宿場がある通りまで移動し、外観がよさげな宿屋に入ることにした。正直、通貨の支払いは特に不便を感じてないのもあり、粗悪な場所にわざわざ泊るのも嫌だった。何より、ナミはとても機嫌が悪くなる。
「な、なぁ・・・私の分の支払いもいいのか?」
「いいのよ、せっかく送ってもらったしね」
「まあ、気にするな」
前の都市と違い、車道と歩道が整備され都市内の区画整理がされているようだった。より近代的になっているものの、都市内の行きかう人々はどれも戦闘用と思われる服装をしており、武器を背負っていたり腰から下げていたりしていた。
レンツはここなら退屈しなさそうで、楽しめるかもしれないと思っていた。
「ねぇねぇ、何か食べに行きましょう」
ナミに言われ、飲食店がある通りと宿場所に居た人に尋ね、バーべと一緒に向かう事にした。
「私もいいのか?」
「人が多い方がご飯は美味しいものだろ」
「レンツにしては珍しい事言うわね」
道中で焼いた肉を美味いと言ってくれたので一緒に食べに行くのもいいと思ったからだ。
程なくして飲食店が立ち並ぶ通りに差し掛かり、どの店もそこそこ繁盛しているのかにぎわっていた。
「どこにする?」
「バーべなんかおすすめあったりするか?」」
「あそことか良さそうじゃないか?」
選んだ店は円形の何か焼いたものに様々な具材が乗っている食べ物が出てくる店だった。デモンズシールという店名で、店内に入るといくつかテーブルに案内してくれる人がすぐにやってきた。三名ですかと聞かれたので頷き、テーブルに案内された。テーブルのつく間に他の人たちはどんなものを食べているのか見て、普通に食べれそうなもので安心した。
テーブルにつき、料理が描かれている紙を渡され、必要な魔核量が記載されいた。
「ふぅん、なんかこれとかこれ良さそうじゃない? あとこれかなぁ」
「それならこっちもおすすめですよ」
ナミとバーべはもうすでに頼むものを決め、速攻で案内してくれた人を呼び、オーダーしたのだった。俺の選択権は無かった、いや気になるものはナミと被っていたから別にいいんだ。
程なくして、頼んでいたものが届いた。
「デモンズシール特性ペパロニピザ、デスピザチリペッパー、七つの罪悔い、そして、骨粉と果肉ピザです。ごゆっくり~」
商品名はよくわからなかったが、多分食べれるものだろうと思った。目の前に出されている円形の焼いた何かをバーべが刃物でキレイにわけてくれた。
「あら、気が利くわねありがとう」
「悪いな、ありがとう」
あたりの食べてる人たちを見るとこれの食べ方はわかっていた。俺たちは手づかみで気になる一切れを手にし、口に運んだ。
ストレス感知、精神安定剤を投与します。
ナミと俺は目を合わせ、眉間にしわが寄った状態になり、状況としてとても不味い事を共有していた。なんとか一切れは食べきり、別の物に手を出し、口に含んだ。
ストレス感知、精神安定剤を投与します。
ナビがいい仕事をしてくれるが、そうじゃない。味覚センサーをどうにかしろと思った。
拒否します。食事を楽しんでください。
やっぱこのナビおかしい。
「ね、ねぇ・・・バーべ、この味ってこれが正しいの?」
ナミは苦笑い、いやキレかけてた。これはヤバイと思いつつ、この不味さは確かにキレてもおかしくない。
「え、そうっすね。普通のピザの味にしては美味しい方ですね。まあ、あの道中で食べた肉焼きに比べたら・・・まあ、確かにですけど・・・」
「もしかして、味ってどこもこんな感じ?」
ナミが目を引くつかせながら、バーべに問いただしていた。アスモデウスの都市と比べると味が不味い。なんというか、腐っているようなねっちょり感がある。それでいて、口の中にこべりついて後味が残り、下がピリピリするのもあれば、味がしないで感触だけ喉に残る。
解析完了。出来損ないのピザと判明しました。
え、何? 解析完了? どういうこと?
巨大生物の肉などを用いて、調理過程を改善すれば本物のピザを再現可能です。
このナビ何言ってるんだ? 調理機能とかついてる斥候特化型なんて聞いたことないぞ。
「とりあえず、私はごちそうさま。あとはレンツよろしく」
もったいないので、食べざる得なかった。食える時に食う、兵士なら当たり前の習慣が身についていた。バーべは普通に食べていて、どういう味覚してるんだと思った。そのあと、別の店でも同じような味のものが出てきて、ナミの機嫌が悪く頭が痛くなった。あと胃も痛くなったが、サイボーグなので精神的なものだと気づいた。
ストレス感知、精神安定剤レベル2を投与します。
おい、やめろ。
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