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The end of the world online ~不遇職・アイテムマスター戦記~  作者: 三十六計
第三章_PK討伐作戦

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34/107

34_赤熱の幅広剣

 (報酬も受取って用事が済んだことだし、明日は王都に戻ろうかな? でも、ダミアン老人の依頼は完了していないようだから、戻らない方が良いのだろうか?)


 時刻は、夜十時を過ぎ、衛兵隊本部の敷地も静まりかえり、時折遠くで夜警の足音が聞こえてくるくらいである。アヤセは、あてがわれた衛兵隊宿舎の一室で、ログアウトの準備をしつつ、今後の予定を考えていた。

 

 ギー隊長の依頼ノルマは、この日に全て終了した。

 職人達の持ち込んだ装備品等は、アメリーが自慢していたのとは裏腹に、王都の店舗で販売されている既製品よりやや性能が良いものの、平凡な物が大方を占めていた。当然ポテンシャルも同様で、スキル【良性付与】と【一目瞭然】のお陰で、装備品等が全く使用に耐えなくなるような大きな事故には至らなかったが、当初の目的であった、衛兵隊の戦力底上げに大きな成果を得られたとは言い難い。


 「ここの職人達は、まだまだ研鑽の必要があるだろう。最も儂もそうだがな」

 

 ギー隊長の夕食に、アヤセと一緒に招かれたゲンベエ師匠が席上でそう所感を述べる。ゲンベエ師匠の自己評価は、自身への戒めを込めて言ったものだろうが、工房の職人達に対する評価についてはアヤセも同意見だった。

 

 「中々厳しい評価だが、こうしてゲンベエ師匠やアヤセ君に現状を突きつけられた職人達は、今後、より一層生産に奮起するだろう。二人には本当に感謝している。礼を言わせてもらうよ」


 (NPCの生産職はプレイヤーに比べて、技能レベルが低めの傾向にあるから致し方がない点もあるかもしれない。いずれにしても、今回の件を受けて職人達のレベルアップが図られるなら依頼を受けた甲斐があるだろう。最も、ゲンベエ師匠は例外だったが)


 ゲンベエ師匠が打った刀剣は、どれも他の鍛冶師の生産した物に比べ、頭一つ性能が抜きん出ていた。


 (まさか、NPCのゲンベエ師匠が、品質と価値がそれぞれ5の刀を打てる腕前だったとは、思いもしなかった。今度刀を新調する際は是非、ゲンベエ師匠にお願いしよう)


 「それでだ、アヤセ君。アメリーが君に突っかかってきたようだな」

 「はい……。結果的には、ポテンシャルの付与を認めてくれましたので、問題はありませんでしたが、何故、彼女があそこまでアイテムマスターに対して、不信感を持っているのか疑問に感じました」

 「まぁー、それは、アメリーの父親に関係しているのだろうな。不快に感じただろうが、彼女なりに事情があるので、どうか容赦して欲しい」


 (ギー隊長に頭を下げられてしまっては、あれ以上事情は聞けないよな……)


 アヤセの回想は、日中のアメリーの態度に思い至る。彼女が自身に向けた敵意やマリーの傑作を目の当たりにして見せた失意……。あの時、彼女はどの様な心情だったのだろうか。


 (ただ単に、アイテムマスターが嫌いというだけだったら、気に留めないのだけど、あんな悲しい目をしていたら、やっぱり気になるよな。ギー隊長は「父親」が関係していると言っていたが、話を直接本人から聞くことはできないかな? 明日工房に出てこないだろうか?)


 ラタスを出立する前に、もう一度どこかでアメリーに会えないだろうか。そんなことを考えていたところで、ドアをノックする音が聞こえてくる。


 (こんな夜中に誰だろうか?)


 夜分の急な来訪者を訝しみつつ応答するアヤセ。


 「どなたでしょうか?」

 「あの、アヤセさん。アメリーです。お話ししたいことがありまして、まだ起きていますか?」

 「えっ! アメリーさん? まだ起きています。今開けますので、少しお待ちください」


 会いたいと思っていた相手が、訪ねてきたことにアヤセは驚くが、すぐにドアを開け、アメリーを招き入れる。


 「夜分遅くに申し訳ありません」

 

 アメリーは、入室するなり夜中の突然の来訪を詫びる。

 彼女は、日中の甲冑姿から変わり、薄手の絹に似た光沢が綺麗な寝間着の上に、上着を羽織っただけの軽装であった。服装から彼女の雰囲気は、昼間の男性を思わせるような凜々しいものから、ふんわりとした女性らしさを感じさせるものに変化している。


 (夜中に男の部屋を訪ねるにしては、少し恰好が無防備過ぎないか? 最もそんなことに気を回す余裕もないのかもしれないな)


 アヤセは、心の中で薄着の若い女性を深夜に自室に招き入れてしまったのは、軽率ではなかったかと思ったが、彼女の顔つきを見て考えを改める。


 アメリーの表情は冴えず、何かに思い悩んでいるように見える。アヤセを訪ねたいが訪ねたくない、大事なことを知りたいが知るのが怖い……。そんな迷いが顔に出ている。


 (迷いの原因はその包みか。長さから見ると刀か剣だな)


 アメリーが、体に抱え込むように持っていた包みは、ドアを開けてすぐにアヤセの目に入った。宿舎の間取りは、広さが八畳程度のワンルームで、家具はベッドと机、それに加えて椅子が一脚しかない簡素なつくりである。アヤセは窓際に設置されている机とセットになった椅子にアメリーを座らせ、自身はベッドの端に腰掛ける。


 「あの、なんてお話ししたらいいか……」


 アメリーは、勧められた椅子にかけ、包みを抱えたまま言い淀んでいる。アヤセは話を急かすことなく黙って待つ。


 「あ、あの、昼間は申し訳ありませんでした。隊長のお客様と言えるアヤセさんに個人的な感情をぶつける振る舞いをしてしまって、お詫びのしようがありません」

 「実際、アイテムマスターに対して良い印象を持たれない方は、少なくありません。ただ、アメリーさんが抱いているアイテムマスターに対する不信感は、他と明らかに違うと感じました。自分ももう一度、アメリーさんにお会いして話をお聞きしたいと思っていたところです」

 「私に会いたかった? あんなに酷いことを言った、私の話を聞こうと思っていたのですか?」

 

 アメリーは意外そうな顔をする。


 「はい。アメリーさんのあの時の顔が忘れられなくて、どうしてアイテムマスターに対してあれほど怒りを見せ、プリスのポテンシャルを目の当たりにして、悲しみに暮れたのか知りたかったのです。もしかしたら、アイテムマスター絡みで悩みがあるのではないか、そうだとしたら、自分が解決に向けて何かお役に立つことができないかと思いました」

 「私なんかのために、そこまで考えてくれていたのですね。それなのに私ったら……」

 

 アメリーは微かに頬を染める。アヤセの部屋に入った当初は思い詰めた顔をしていたが、気持ちは少し落ち着いたようだった。


 「やっぱり、アヤセさんに相談に来ようと思って良かったです」


 アメリーは、大事そうに抱えていた包みを机に置き、巻かれていた紐をほどき出す。紐がほどかれ、包みの布を取り除いたところで現れたのは、一振りの剣だった。


 「この剣は一応ブロードソードに分類されています。これは……」

 「お父様の作品でしょうか?」


 アヤセの指摘にアメリーは驚いた表情をする。


 「……詳しい話は聞いていませんが、ギー隊長からアメリーさんが、お父様のことで悩まれていると伺いました」

 「そうだったのですね。仰るとおりこの剣は父の作品です。ステータスを御覧くださいますか?」


 ====================

  【武器・中型刀剣】 赤熱(レッドバーニング・)幅広(ブロード)(ソード) 品質5 価値5

   耐久値 470 重量25 斬48 突34 打53 魔37  

   装備条件:STR 32以上

   特殊効果:火属性

   ポテンシャル(1)…炎尽(火属性弱点化、火属性攻撃ダメージ値85%down、

           MPが5秒ごとに1減少)

 ====================


 (品質と価値が5か……。アメリーさんの父親の腕前は、ゲンベエ師匠に匹敵するな。だけどポテンシャルが完全に性能を殺してしまっている)

 

 「見事な剣です。しかし……」

 「ええ、しかし、です。ポテンシャルに致命的な問題があるのがお分かりでしょう。火属性の特殊効果がついているのに、それが裏目に出てしまうなんて、こんなの武器とは言えません」


 アメリーは、整った顔を苦しそうにしかめる。


 「父は、武器全般に通じた腕の良い鍛冶師でした。王国でもそれなりに名が知られていて、ある時、作品の一つである黒い長弓がさる貴族の目に留まり、腕を買われて王室献上品の作成依頼をいただいたのです」

 

 (黒い長弓、か)


 アメリーから語られた武器の特徴を心に留めつつ、アヤセはアメリーの話に相槌を打つ。


 「献上品の評価によっては、王室御用達のお墨付きをもらえるかもしれませんから、職人にとっては大一番ですね。お父様の気合いの入りようも違ったでしょうね」

 「はい、実際の父の仕事振りは、正に鬼気迫るものでした。ただ、父は名声や王室御用達のお墨付きより、多額の報酬が欲しかったようです。自身の作品が評価されることで、ラタスの職人達がもっと良い作品が生産できるような設備も新設できますし、素材費や研究費も更に充足させられるとも言っていました」

 

 (自分の名声よりも、ラタスの技術発達のことを考えているとは、大した志だ。献上品の件が上手くいっていたら、ラタスの職人達の技能レベルももっと上がっていたに違いない)


 「お父様に対する周囲の期待も大きかったのでしょうね」

 「それはもう。娘の私が言うと身内贔屓のように聞こえるかもしれませんが、父は他の職人達からも慕われていました。私も衛兵隊だけでなくラタス全体の期待を一心に背負い、生産にすべてを賭ける父を誇らしく思っていました」


 昔を思い出したのか、アメリーは窓の外に目を移して遠くを見るが、すぐにアヤセに視線を戻し、話を続ける。


 「昼夜を問わず、寝食も忘れて、生産に打ち込んで出来上がったのが、このブロードソードです。品質も価値も性能も申し分無く、これならば献上品として間違いなく条件を満たしていると誰もが思っていました。……父を除いて」

 「お父様は結果に満足していなかったのですか?」

 「ええ。父はいつも『上には上がいるから、精進は常に怠ってはならない』と口癖のように言っていました。ブロードソード自体も王室への献上品として基準に達していないと考えていたようです」


 (自身の才能に奢ったりせず、向上心を持ち続ける姿勢には頭が下がるな。それとアメリーさんの父親が自戒するのもよく分かる。実際にマリーさんのような、生産職にとって雲の上の存在のようなプレイヤーもいるのだから)


 「父は、この後も鍛冶場に籠って誰も近寄らせず、沢山の武器を生産しましたが、これ以上の物を作り出すことができませんでした。……自身の才能に限界を感じ、思い悩んで苦しんで、最後にすがったのは、アイテムマスターによるポテンシャルの付与だったのです」

 「ポテンシャルを……。ですが、ポテンシャルの認識は、装備品の性能を引き上げるのではなく、むしろマイナスに作用するというのが、一般的なものなのではないでしょうか?」

 「確かにそうです。ですので、当時は私も含めて皆が父の行動を理解できませんでした。父の常軌を逸したとも言える行動は、皆口々にアイテムマスターに唆されたからだと噂していました」

 「アイテムマスターからポテンシャルの付与を持ち掛けたのですか?」

 「そう聞いています。言葉巧みに父に近付いて、ポテンシャルの付与に仕向けたようです」

 「ちなみに、お父様に近付いてきたアイテムマスターの名前とか特徴は分かりますか?」

 「それが、父の鍛冶場にも人目を避けて出入りしていたようでして、誰も詳しいことを知りません。唯一分かっているのは、『冒険者』ということくらいです」

 

 (冒険者……。プレイヤーか)


 ゲーム上、NPCはプレイヤーを総称する際、「冒険者」いう表現を用いることが多い。


 「ポテンシャルの付与の結果は、……見ての通りです。アイテムマスターの甘言にみすみす騙され、献上品をガラクタ同然に変えてしまった父の行動は、皆から非難され、中には狂人扱いする人までいました」


 (確かに、傍目から見たら自殺行為にしか見えないだろうな)


 「付与を実行したアイテムマスターは、どのような反応を示したのでしょうか?」

 「アイテムマスターは父を早々に見捨て、姿を消してしまいました。父は、ポテンシャルが付与された際、職人として最も侮辱的な言葉でアイテムマスターに作品を酷評されたとよく母や私に恨み言を語っていました」

 「……!」

 「周囲から理解もされず、孤立した父は、お酒に溺れやがて体を壊し半年前に他界しました。……私は許せませんでした。ポテンシャルなんかに逃げて献上品を台無しにした父と、そんな父の心の葛藤に付け込んで、最悪なポテンシャルを付与したアイテムマスターの二人を! だから、父が死の間際に言った、『自分の作品のポテンシャルはこんなものではない』という言葉も信じることができなかった!」

 

 (…………そうか。父親は既に亡くなられていたのか。先ほどは、軽々しいことを言ってしまったな。どんなに自分が何かしたところで父親は、絶対に帰ってこないのに)


 アヤセは自身の前言を後悔する。


 「申し訳ございません。アメリーさんの辛い過去も知らず、『自分が解決に向けて何かお役に立ちたい』なんて軽率な言い方をしてしまいました」

 「いいえ、それは違います。アヤセさんの言葉は率直に嬉しかったです。『アイテムマスター』という同じ職業の人でもこんなに違うなんて思いもしませんでした」

 「それは……、買い被りすぎです」


 (これで、アメリーさんがアイテムマスターを敵視している理由が分かった。父親の凋落の原因なのだから憎むのは当然だろう)


 アヤセは、アメリーが自身に向けてくる視線を「親の仇を見るような目」だと例えたが、それは比喩などではなく、正にその通りだったのだ。


 (それと、ブロードソードにポテンシャルを付与した「アイテムマスター」か。おそらくスキル【良性付与】も【一目瞭然】も取得していない未熟でお粗末な存在……。人の心の迷いにつけ込んで、詭弁を弄し、責任を全て相手のせいにして逃げる見下げ果てた奴……。こいつは、引退せずにまだこのゲームをプレイしているのだろうか? もし出会ったとしても、自分はこの人物と友好的に接することは、絶対にあるまい)


 このアイテムマスターが、何を考えてブロードソードにポテンシャルを付与したか知る由はない。ただ、付与による結果に責任は当然持つべきで、例え相手がNPCであったとしても、一人の人間の人生を狂わせた罪の重さを知るべきである。


 アヤセは、まだ顔を合わせたことが無いプレイヤーに強い憤りを覚えた。


 「話が長くなりましたが、今回アヤセさんへ相談に伺ったのは、このブロードソードのポテンシャルについてです。アヤセさんのお持ちのスキル【一目瞭然】は、ポテンシャルの付与が済んでいる装備品でも他のポテンシャルを確認することができるのでしょうか? もし、可能でしたら、閲覧をお願いしたいのです」

 「スキル【一目瞭然】は、ポテンシャルが既に付与されている装備品でも全てのポテンシャルを閲覧することができます。しかし……、本当によろしいのでしょうか?」


 アヤセはアメリーに覚悟を問う。

 アメリーは、昼間のゲンベエ師匠とアヤセの説明を聞き、父親のことをもう一度信じてみたくなり、遺言とも言える「ブロードソードのポテンシャルはこんなものではない」という言葉が真実か否かを、一縷の望みに賭けて確かめようとしている。しかし、閲覧の結果によっては、残酷な事実を突きつけられ、彼女の希望は粉々に砕かれることになるのだ。

 

 「大丈夫です。私、昼間にゲンベエ師匠が言っていた『作品にどれだけ魂を込めたか』という言葉を聞いて、父の仕事に対する姿勢を思い出したんです。父の剣には……、必ず良性ポテンシャルが設定されています! だから、閲覧をどうかよろしくお願いします」


 アメリーの顔には迷いはない。それを見たアヤセは黙って頷き、スキル【一目瞭然】を発動する。


 ====================

  【武器・中型刀剣】 赤熱(レッドバーニング・)幅広(ブロード)(ソード) 品質5 価値5

   耐久値 470 重量25 斬48 突34 打53 魔37  

   装備条件:STR 22以上

   特殊効果:火属性

   ポテンシャル(1)…【付与済】炎尽(火属性弱点化、火属性攻撃ダメージ値

                 85%down、MPが5秒ごとに1減少)

   ポテンシャル…炎神(戦闘領域内における敵の火属性攻撃完全吸収、火属性

          攻撃ダメージ値150%up、攻撃対象が水属性の場合火属性

          自動解除)

 ====================


 (これは! あまりに「炎神」の性能が高すぎるので、その反動で「炎尽」なんてポテンシャルが生まれたのだろうか? 確率二分の一で天国か地獄が決まるアイテムマスター泣かせの剣だ。自分だったら、いくらスキル【良性付与】を取得していても、付与に二の足を踏んでしまうだろうな)


 アヤセは、閲覧の結果に驚嘆する。

 アメリーの父親は、紛うことなき稀代の鍛冶師だったのだ!


 「アヤセさん、結果はいかがでしょうか?」

 

 アメリーは、アヤセが絶句している様子から不安そうに尋ねる。アヤセは、アメリーに閲覧の結果を促されたことに気付き、慌てて画像を示す。画像を見たアメリーは両手を口にやり、しばらく言葉を発することができなかった。


 「アメリーさんが信じた通りでした。この剣は、お父様の『職人の矜持』の集大成であることに間違いありません」

 「本当ですね。やっぱり、父の言っていた通りでした……」


 アメリーは、机上に置かれた剣を手に取り、自身の身体に抱き寄せる。彼女の肩は心なしか震えているように見える。


 「父は息を引き取る直前まで何度も何度も私に訴えていました。『この剣には、他にもポテンシャルがある。自分が命を賭けて作製した剣がこんなポテンシャルだけのはずがない』と。確かに、王国指折りの鍛冶師である父が、こんな失敗をするはずないのに……、小さい頃からずっと憧れて、誇らしかったお父さんは、最高の剣を絶対に作り出してくれると思っていたはずなのに……。私は……、私は…! 父の言葉を最後まで信じなかった……!」


 アメリーの目から大粒の涙が溢れ出る。


 「お父さん……。お父さんのこと最後まで信じられなくてごめんなさい。本当に…………、ごめんなさい……」

  

 ブロードソードを強く抱きしめ、静かに涙を流すアメリーの傍らで、アヤセはかける言葉も見つからず、ただ見守ることしかできなかった。

 


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