102_千本松原海岸洞④
=パーティーアナウンス=
フロアボス「ビッグ・マンイーター・クリフカイト」を撃破しました。報酬がインベントリに格納されます。
「焼き鳥には串が多すぎたかな?」
アヤセが長弓をインベントリにしまいながらつぶやいた。
戦闘開始から十分もかからず全てが片付いた。ギードはこの結果に信じられないとばかりに驚嘆の声を上げる。
「『ビッグ・マンイーター・クリフカイト』の奴ぁ、時々第一階層まで降りて来やがって、あっし達の集落を好き勝手に荒らしまくる鳥公だったんです。あっし達が手も足も出なかった鳥公がこんなにあっけなくくたばるなんて、狐につままれたような気分でさぁ!!」
「あの鳶が火に弱いって情報を入手して色々対策を考えていたんだが、上手くいって良かったぜ」
「まぁ、『段取り八分』という言葉もありますし、何事も準備が大切ということでしょうか。最も、当初の予定では敵の急降下を狙って火炎瓶を投げつける方法を考えていたのですが、風魔法使いのノエルがいたお陰で、直接相手に送り込んで短期決戦に持ち込めたのは幸いでした」
「さいですね。風魔法使いのノエル姐さんだけでなく、羽を防いだホレイショの旦那に、何より鳥公にとって最も恐ろしい火炎瓶を用意したアヤセの旦那、皆さんの力があってこの結果になったのでしょうね。集落の厄介者の排除までしてくださって、旦那方にはお礼の言葉もありませんぜ」
「おいおい、燕の巣の採取がまだ残っているぜ。確か、このあたりに断崖絶壁に燕が集団で巣を作っているらしいが、これを取るのに中々難儀しそうだぜ」
「……静かに! チーちゃんから念話が送られてきた」
周囲の哨戒にあたっていたチーちゃんからの念話を受け、アヤセが警告を発する。チーちゃんには、自身に報告する事項は一つだけだと指示を与えていた。その報告が来たということは、今後面倒が生じることを意味している。
「エスメラルダ達だ。自分達より先に第三階層に到着していたはずなのに今頃お出ましか。このままだと遭遇することになりそうだ」
「……」
聞きたくもない名前を耳にして、ノエルの顔が強張る。その表情を気遣いアヤセが声をかけた。
「今は、エスメラルダ達と顔を合わせない方が賢明だ。自分達が気を引くから、ノエルは早くギードさんとこの場を離れろ」
「でもぉ、それだと先輩達が……」
「俺達のことは気にしなくていい。何とかする」
「ここは旦那方の言うことを聞いた方がいいと思いますぜ。じゃあ、あっしらの集落でおち合いましょう。姐さん、行きやしょう」
ノエルは迷う素振りを見せたが、ギードに連れられダンジョンクリア後に出現する転移装置から離脱をした。
「さて、どう対応するかね?」
「当面は相手の出方を窺って、こちらからは何もしない。無視だ」
エスメラルダ達はこちらに向けて移動はしてきているものの、アヤセ達とまだ大分離れており、気付いた気配が見られない。今後連中がボスと戦うのか、それとも別の目的に従って行動をするのか見極める必要があるだろう。その動向を探るべく監視を続けるため、チーちゃんを呼び戻しつつ、敷物を広げ、ホレイショ用のワインボトルとチーちゃん用の果実をインベントリから放出し、自身は刀の手入れを始める。
エスメラルダ達は当初、ボスエリアとの境界線をおそるおそる近付いていたが、ボスが出現しないことを確かめると(エリアボスやフロアボスは、他のプレイヤーが討伐をするとその後ゲーム時間で三十分から一時間程度リポップしない)、大急ぎで戦闘エリアの横断を始めた。エリアの真ん中あたりまで来た際に、パーティーメンバーの一人(名前も知らない二人のうちの一人。おそらくシアンかナーカだろう)の足がもつれて地面に派手に転がる。それに対し、二人のうちのもう一人が振り返るが、ルクレツィアに何か言われ躊躇いつつも、向き直って走り去る。鳶の再出現までには、まだまだ十分時間があるが連中がそれを知る術も無く、必死そのものだ。
しばらくしてエスメラルダ達三人がボスの戦闘範囲を抜ける。同時に崖の近くで敷物に座って休憩していたアヤセ達の存在に気付いたようだった。
エスメラルダ達は、自身らがボスとの戦闘を避けるため、戦闘エリアを逃げるように横断する様子を一部始終見られていたことに気付いたようで、苦々しい顔をしてアヤセ達へと近付いてきた。
「あなた達、何でここにいるのですか?」
「自分達は『ダンガイイワツバメの巣』の採取のためにここまで来ました」
「ボスが出る訳でもねぇのに、お前さん達、見事な走りっぷりだったぜ」
ホレイショがたっぷりと込めた皮肉を、敏感に感じ取ったルクレツィアの顔色がさっと変わる。
「無駄な戦闘による消耗を避けるための必要措置です! 第一、あなた達だってこうしてだらしなく座っているじゃないですか! そんな人達にその様なことを言われたくありません!」
「どこかで鳶が墜落するのを見て横断を決断したのでしょうが、ボス撃破の経緯までは御存じ無いようですね」
「はあ? そんなこと知る訳無いじゃないですか」
「倒したのは俺らだよ。お前さん達がコソコソ走り回ってようやくここまで来ることができたのは、お前さん達が『お荷物』って鼻で笑っていた奴らのお陰なんだぜ。少しは感謝しろよな」
「なっ…! そ、そんな嘘を信じると思いますか?」
「先日、ダンジョンは一緒に潜るメンバーによって難易度が大きく変わると言いましたが、その意味を実感いただけましたか? ……ところでノエルは一緒では無いのですか?」
エスメラルダ達が第二階層のボス戦でノエルを見捨てたことは承知していたが、再度アヤセが問い直す。これに対し連中の顔色が少しは変わるものとアヤセは思っていたが、反応は予想とは異なるものだった。
「ノエル? 多分死に戻ったのでしょう。あの役立たず、第三階層のボス戦で盾にしようと思っていたのに、第二階層までしかもちませんでしたよ」
「何だとっ!!」
良心の呵責を微塵も感じさせないルクレツィアに物言いに、ホレイショが怒声を上げるがアヤセが手で抑えるよう促し、ホレイショもまたそれに従いそれ以上の言及は控えた。
「まぁ、役立たずは、ノエルさんだけじゃありませんけどね」
ルクレツィアが重ねて吐き捨てるように言った言葉の意味は、先ほどボスエリアで転んだパーティーメンバーが息を切らして合流をしたことで分かった。
「ナーカさんっ! あんなところで何をしているの? 貴女がもたついたせいでボスにでも捕まってしまったら、私達は無駄な戦いをすることになったのですよ。ご自分のミスをどう考えているのですか!」
「ご、ごめんなさい。焦っちゃって……」
「その体格では走るより転がった方がお似合いだわ。今後このようなことが無いようにお願いしますね!」
部外者がいることなどお構いなしにルクレツィアが罵倒したナーカという女性プレイヤーは、小柄で肉付きの良い体格で外見は全く別物だが、雰囲気がどことなくノエルと似通っている。中等部から一緒だったらしいもう一人のシアンという女性プレイヤーは、ノエルの時とは異なりルクレツィアに追従してナーカに侮辱の言葉を吐く真似はしなかったものの、どうやら脱退したノエルの「後釜」は既に据えられたようだった。
ここまで話を進めたところでエスメラルダが前髪をいじり始める。顔には出さないが話を先に進めるよう、内心苛立っている様子が、乱雑に髪を扱う仕草から察することができた。
「もしもの時のためにナーカさんをパーティーメンバーから外しておきましたから、後で加入の申請をやり直しなさい。それより、あなた達『ダンガイイワツバメ』の巣を探していると言いましたが、それは本当ですか?」
「ええ、その通りです。ここの崖下一面燕の営巣地帯で、目当てのアイテムはここで採取できます」
アヤセが手振りで示す方向にエスメラルダ達も目を向ける。そこには高さが百メートル以上あるかと思われる垂直直下の断崖絶壁が切り立っており、崖下から吹き上がる風が燕以外の者の侵入を拒んでいるようだった。
「こんなところに……」
絶壁に圧倒されたルクレツィアが言葉を漏らす傍らで、アヤセとホレイショ(とチーちゃん)は至って平静な表情をしている。そして、それに気付いたエスメラルダが直接問いかけてきた。
「皆さんは採取の方法をご存知なのですね?」
エスメラルダが食いついてきたことにアヤセは内心しめたと思うが、それをおくびに出さず表面上丁寧に応じる。
「ええ。危険が伴いますが見返りは十分に期待できます」
「そうですか」
エスメラルダは、アヤセの回答に淡泊な応答をするが、腕を組んで早々にルクレツィアへ次に打つ手を指示していた。
「いいわ。採取した燕の巣を一つあたり二百ルピアで買い取ります。最低でも十個、早く取ってきてください。私達も暇ではありませんので」
一方的に買い取りの値段まで決めて、人を顎で動かそうとする言動の非常識さは今更驚くことでは無いが、傲岸不遜な態度は不快甚だしい。だがアヤセは「目的」のためにはここで短気を起こさず淡々とかけ引きを進めることが重要だと心掛けこれに応じる。
「残念ですがその金額では話になりません。燕の巣は高級食材であって、欲しがる方は他にもいます。実際に卸しの依頼をいただいていますし、どうしてもと言われるのでしたら、一つにつき二万は出していただく必要があります」
「に、二万!?」
「二万なんて良心的過ぎやしねぇか? これと引き換えにデカい養魚場を敷設してやってもいいって言う商人もいるくらいだぜ。もっと値を付けた方が良いんじゃねぇか?」
「デタラメ言わないで! 十個だったら二十万? たかだか燕の巣にそんなお金出せる訳ないじゃない!」
「あなたの言う『たかだか燕の巣』は、採取するのに命懸けのアイテムですし、何より高級食材として扱われる物なのです。物の価値が分からない人がよくもそんな台詞を言えますね」
「そんなこと言っても、そんなにお金は持っていないわ! どうしろと言うのですか!」
ノエルから巻き上げた三十万ルピアはどうしたと言いたかったが、既に連中は浪費の末に使い果たして、本当にルピアを持っていないのかもしれない。そう考えると新たな怒りが湧きおこってくるが話を先に進めることにする。
「そういうことでしたら、別の物で不足分を充当するかたちなどいかがでしょうか?」
「別の物ですって?」
「はい。品質や価値の高いアイテムや装備品のことです。自分達はそれを転売します。ちなみに『転売ロック』が『on』になっていても構いません。現金を手に入れる抜け道はいくらでもありますから」
「……」
ルクレツィアが考え込む素振りをするが、エスメラルダの咳払いを聞き、すぐさま取引に前向きな姿勢になった。
「いいでしょう。品質か価値が高ければ何でもいいのですね?」
「一応、物を確認させていただきます。対象物をインベントリから出して提示してください」
求めに応じて各々がインベントリからアイテムや装備品を放出する様をアヤセは見守り、目的の物が現れるのをじっと待つ。そして遂にそれを見つけた。
(……よし、あったぞ。『純白のフリルブラウス』だ! エスメラルダがブラウスを気に入って、手放すのを渋るのが心配だったが、予想した通りノエルへの嫌がらせが目的でそれほど執着は無かったようだ。取り敢えずこれを取り戻すことが今回の目的だから出てきて本当に良かった)
どれも低品質で無価値な物が並ぶ中、ひときわ目を引く目的のフリルブラウスが放出されたことに対してアヤセは、相手に目的を察せられないように表情を変えず口を開く。
「……思っていたほど良品を持っていないようですね。巣一個当たり三千とこれらのアイテム類で手を打ちましょう」
「ちょっと高すぎない? 一個千よ!」
「二千五百」
「千五百!」
「二千二百」
「二千っ! これ以上は無理よ!」
「分かりました。それで結構です。それでアイテム類は先払いで頂戴します。ルピアは、採取した巣と引き換えにお支払いください」
腕を組んだエスメラルダの姿を、横目で確認したルクレツィアが無言で頷く。
それを受けて、アヤセは『純白のフリルブラウス』をインベントリへ落ち着いて回収した(内心ではブラウスを回収するまでかなり時間がかかったと思ったが、実際はそれほどでも無かったようだ)。
後は、早く仕事を終わらせて連中を追い払うだけだった。
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誰もが困難だと思う「ダンガイイワツバメの巣」の採取作業……。アヤセがとった方法は単純明快で「プリスの袖で下に降り伝って直に採取する」というものだった。
「本当だったらプリスの袖だけを下に落として回収した方が安全なのだが、いちいち巣を引き上げるよりも自分でその場に行った方が早いからな。原始的だがこの方法が最も確実だろう」
「確実だが危険も伴う。気を引き締めてな。相棒!」
ホレイショと共に、崖の岩場へアヤセの体重を支えられるくらいの太くて長い木の杭を深々と打ち込み、それにプリスの袖に巻き付けたアヤセが一歩ずつ慎重に断崖絶壁に降り始める。アヤセが取引の内容を支障なく履行するか険しい顔つきで監視していたエスメラルダ達も、さすがに崖の下を覗き見てまでそれを見届けるようなことはしなかった。
百メートルもの高さを誇る絶壁は強い風が吹き付け、少しでもバランスを崩すと落下のおそれもあり、非常に危険だ。唯一幸いな点は、現在燕の産卵シーズンから外れており、採取をしている際に騒いで集中を邪魔する厄介な親鳥がいないことくらいである。
(自分は高所恐怖症という訳ではないが、この高さだと三十階くらいの高層ビルに匹敵するから正直身がすくむ思いだ。……早く終わらせよう)
目標の個数はエスメラルダ達の分も含めておおよそ三十個。プリスを慎重に下に下ろしつつ、時には岩の出っ張りや窪みを利用して左右に動きながら目的のアイテムを採取していく。
半分程度採取したところで、突然崖上からパラパラと小石が急に降ってくる。アヤセは慌てて断崖を蹴って横に飛び、落下物を避ける。これほどの高低差があれば手のひら程度の小石であっても当たりどころが悪いと怪我どころでは済まなくなる。誰がこんな危険なことをするのか。考えるまでも無かった。
「遊んでいないで早くこの中に巣を入れなさい!」
ルクレツィアの怒鳴り声とホレイショがそれを咎める声が微かに聞こえ、小石と共にロープに括り付けられた小さな籠が降ってきた。
既に燕の巣は十個以上採取が済んでおり、籠の中に入れることができるのだが、危険な行為を平気でしでかすルクレツィアの振る舞いをアヤセは快く思わなかったので籠をしばらく無視することにした。
何度もルクレツィアの遅滞を謗る声が風に運ばれてくる中、徹底無視を決め込んだアヤセがギードのために少し多めに巣を揃えようと更に下に降りていく。
アヤセが満足する量の燕の巣を採取し終えた後、ようやく籠の中に燕の巣を収め崖上に向けて大声で伝えたのは、籠が落とされて大分後になってからだった。
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「この辺りも冷えてきましたね」
エスメラルダが地平線に沈みかけた太陽を見ながらつぶやく。それを聞き、ルクレツィア、シアン、ナーカの三人の顔に憂慮の色が一斉に表れる。
ルクレツィアはいつまでも垂らした籠(ロープはシアンとナーカに持たせている)の中へ一向に燕の巣を入れないアヤセに対し、催促の言葉をぶつけるが反応が全く返ってこない。ホレイショが面白がって、その様子を嘲笑っていることもあり、更に苛立ちを募らせるが、他に方法も無く何度も何度も崖の下に無意味な罵詈雑言を怒鳴るしかなかった。
それからしばらくして、不機嫌から無表情になったエスメラルダを長く待たせた末、ようやく籠が引き上げられた。
「随分待たせましたね。本当にあなた達の無能ぶりには驚かされますね」
ルクレツィアがホレイショに捨て台詞を吐くが、言われた当人は馬耳東風といったかたちだ。
「じゃあ、アンタが下に降りてみろよ。そうすれば誰が無能か言うまでも無く分かるだろうぜ。……それよりも早くゼニを出しな。いくらアンタ達でもさっき交わした契約の内容を忘れるほどバカじゃねぇよな?」
ノエルへの仕打ちに憤慨していたホレイショは言動刺々しく応対する。一方これに対しルクレツィアは何かを言いかけたが、エスメラルダがそれを止めた。
「ルクちゃん、もうよしましょう。それよりも早く帰りません?」
「そうね。こんなところにいてエスメラルダのコンディションに変調をきたしたら大変だもの。じゃあ、これが後払い分よ。あの無能に渡しておきなさい」
そう言いながらルクレツィアは、一万ルピアインゴットを二つ地面に投げ落とした。
「おいおい、値切り倒したカネでも大事に扱えよ。お里が知れちまうぜ」
「うるさいわね! それはもうあなた達のお金ですからお好きなようになさい!」
「はいよ、じゃ毎度ありぃ。お帰りは俺達がボスを倒して現れた転移装置を使ってもいいぜ。どうせアンタ達じゃあの鳶は倒せねぇだろ? 装置はリポップしたボスを無視して利用できるぜ。良かったなぁ」
「馬鹿にしないでっ!」
「……ルクちゃん」
エスメラルダが平板な声で制止する。これを受けてルクレツィアがホレイショを睨みつけつつも、黙ってエスメラルダに従い、帰路につくことになった。
「ルクちゃん」
転移装置に向かって歩き始めてからしばらくたって、エスメラルダがおもむろに口を開いた。
「ルクちゃん。いくら何でもあの人達の態度は酷いと思いません?」
エスメラルダの不満の表明に、俄かに活気づいたルクレツィアがこれに同意を示す。
「そうよね! 私の親友のエスメラルダをこんなに待たせて、それで実力まで疑うなんて酷いよね!」
「ルクちゃんが同じ考えで良かった」
笑みを浮かべているものの、心の奥底でうごめく邪悪さを隠そうともしない口調でエスメラルダはルクレツィアに言葉を返す。
「本当はボスに挑んであの人達に実力を見せたいのだけど、今日は時間も時間ですから帰りましょう」
「そうですね! エスメラルダさんの実力を見せる相手でもありませんしね!」
「そうです、そうです! エスメラルダさんは強いのですから!」
追従するシアンとナーカ。エスメラルダは、それに気を良くしたのか浮かべた微笑を絶やさず二人に語りかける。
「二人共ありがとうございます。私、思うのですが、あの二人、特に『あの』アイテムマスターには人を馬鹿にする態度を改めてもらう必要があると思いますの。あなた達もそう思いませんか?」
「!!」
普段ルクレツィアに仕草や態度で汚れ仕事を命じるエスメラルダが、笑顔で、それでいて有無を言わせない雰囲気を押し出して、直接真意を打ち明けたことに二人の顔が青ざめる。
「先に帰ります。あなた達も『用事』が済んだらすぐに戻ってらっしゃい」




