ヒーローは……
絶体絶命だな、こりゃ。
ラキの意識も薄れてきている。
「その子供と一緒に行けるように、我とて気を遣ってやるのだぞ。ではな、ライル。我は、そなたが邪魔であったぞ」
ズガーン、ズガーン。
「くそ、私では、ラキを守れなかったのか……」
ここに来てからの、完全なる敗北。
せめて、ラキだけでも守りたかった……。
私の思いにモール達からも厚い熱が重なる。
だが、そう簡単に最後は訪れなかったのさ。
周囲を見えない壁に包まれ、空から、「間に合ったようだ」「くっくっく、まー」と、上皇人と魔熊の声が降って来たんだ。
「ムキョーッ! 誰じゃ? 我の邪魔をする奴はー!」
天に向かって唾を飛ばすチグモセ(トールのオッサン)の姿を横に、私とラキは、バラバラになって、スペースシップに吸い込まれて行ったのさ。
「あぁ、なんて事を! お前が守ると宣言するのを信じたばりに……」
上皇人は、中央の台に横たわるラキについていた。
ラキは、白くなってしまった小さな顔に、口をすぼめて我慢している表情のまま、意識がないようだった。
「ガウッガウ」
魔熊が、スイッチを入れると、ラキを覆うように台からドームがかかり、シューッと治癒薬がかけられた。
「申し訳ありません。自分を過信していました。守ってくれていたのは、ラキの方だと言うのに……」
そうだ。
私の手の半分もない小さな手を広げて、最近、やっと、ふっくらした頬に素直な笑顔を向けて、力一杯、私の脚にしがみつき、ライル、ライルって可愛い声で、何度も何度も何度も、私と一緒にいたいって訴えた……。
「ラキ……」
ヒーローは、お前だったんだな。
「なのに……」
項垂れる私に、魔熊は、肩を叩いて声を掛けてくれたんだ。
「クマクマー」
って、全然、わからん。
「マーちゃんは、甘いんだから」
上皇人は、ツンケンしている。
「ガウガウ、ガウ」
「あの、地上で騒いでいるシークレットね。捕縛して、思考強制しておいて」
「ガウッガウ」
「そうだったね。あっちの方は、消滅させてかまわないよ」
「クマックマ、クマー」
「大丈夫。代わりに向こうが滅ぶ事に決まったから、心配要らないよ」
と、聞き捨てならない発言をした。
これにて、終了です。
辛抱強く読んで下さった皆さん、ありがとうございました。
後日談は、また、思い立った時にでも書きますね。




