村警団
その頃、新しい村では騒ぎが起こっていた。
「やー!」
「お止め! ラキが嫌がっているじゃないか。あんた、ライルの仲間じゃないのかい?」
逆立った髪が特徴的な、ディミトリが来たのだ。
門番をしていたモーラ達を簡単に伸して侵入したようだ。
「ああ? うるっせえな。俺様は、ラキに用があるんだ、退け」
いつもなら、モーラ達を呼んで立ち向かう? のだが、仲間だからなのか、されるがままなのだ。
ニーアは、困ってネビルを探すが、ネビルは、良く知っているから出ては来ない。
何を知っているかと言えば、ラキが、モーラ達を呼ばない理由をだ。
だから、ネビルも隠れて身を守っている。
そもそも、話しが通じる相手ではないのだ。ディミトリに出会ったらすぐに逃げるのが一番なのだ。
「いやーあ!」
耳許で叫ぶラキが五月蝿くて、珍しく話し掛けたディミトリ。
「るっせえな! 静かにしろや。俺様はな、ライルが大変な目に会ってんのを親切にも呼びに来てやったんだぜ。わかったんなら、ちっとは、静かにしろや」
「やっ! デミ嫌い」
「嘘なのかよ」
「ん? 嘘? ため」
口の前で人差し指をクロスするラキ。
「はぁ? 何が駄目だ。笑わせんな。いつも、一緒一緒るっせえくせによ、自分は、ライルと一緒に居なくていいってのか? 笑わせるぜ。奴はな、今、困ってんだぜ」
ハラハラして見守るしかないニーアは、次にラキが言った言葉に驚いた。
「トール? トール? ねっ、ねっ、トール。どうして……」
別の名前で呼び掛けているからだ。
それに答えるようにツンツン髪が、一瞬揺れたが、それに気付く者は誰もいなかった。
「黙れ! この、ネズミ口が」
すぼめた口をギュット握られて、抵抗したラキ。
「う~ん」
ペチペチペチ(叩く音)。
それでも、何処か、仲間のような会話を交わすものだから、見ている者には判別がつかない。
なので、ニーアが我に返った時には、ラキは、連れ去られていた後だったのだ。
「あたいとした事が!」
すぐに、武器を背に隣りの村に駆け込んで行った。
*
『村警団』に前方を塞がれ、少し考え事をしていたところだった。
「ライル! あんたの仲間が、ラキを連れて行っちまったよ」
「ラキが?」
ニーアが駆け込んできて、事態は一変してしまった。
『やられた! ラキが狙われていたのか』
待ってろ、すぐに救出してやる。
「状況が変わった。ここを通してもらうぞ」
こうなったら、実力行使もやむを得ない。
妨害していた『村警団』と対峙すれば……。
「あいつ等、やる気だな」
「任せな」
頼もしいニーアが返事をした時には、向こうも仕掛けてきていた。
『村警団』と言っても、十人にも満たない人数だ。
「ここは、チタン棒の出番だな」
軽くあしらうには、これが一番いい。
酔いが残っているのか、縺れそうな足で重さだよりの剣を重力任せに落としている。
ニーアも短剣で戦い、手を裂き剣を持てなくさせていた。
残るは、チグモセ他三名。
が、前座とは違い、連携のとれた無駄のない攻撃をしてきた。
身軽な三人が、代わる代わる攻撃をし、その隙をチグモセが、合金甲を装着した手から、コンポジットボウで狙い打ちしてくると言う連携だ。
だが、魔物の方が速い。
これまで、散々、魔物狩りをしてきたし、万能スーツも、仕事をしてくれる。
「負ける訳がないな」
それに、パワーは、こちらが上だ。
素早い動きで、取り囲まれたが、 チタンで一人目を右に吹き飛ばし、左手から斬り込んできた二人目を左肘でガードしつつ腹蹴りし、その男の背後から振りかぶってきた三人目を半身ずらしてから右足で側頭を狙った。
が、右腕の甲でガードされてしまった。
そのまま膝裏を滑らせ、そいつの首にかけて持っていたチタン棒を両手で掴み、そいつの背中から滑り落ちるようにして、首を絞めて落としてやったのさ。
「あー!」
動かないチグモセをニーアがブーメランで攻撃していた筈。
が、離れた位置のニーアが倒れていた。
いったい、何が起こったんだ?




