表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/88

新しい村の日常

 毎日のように村長から、「水をもっと寄越せ」とハーストが使いに来ている。


 そのハーストの報告では、村長を含め、取り巻き連中の中にも、怪しい動きをする者がいるそうだ。


 それから、尽きる事のない果実や酒の出所が不思議だと言っていた。


 確かに果実は、日持ちしない物だ。


 それに、あの、カサカサ音のするベスト。


 あれに使われている素材が気になるな。


 「フゥ」


 「ライルゥ、なあに?」


 私の傍を離れようとしないラキが訊いた。


 「何でもないさ。それより、モーラの背中に何か生えていないか?」


 「? モーラ、いい子。一緒に成長した~」


 「成長か? モーラ達の場合は、進化したと言うべきじゃないのか?」


 「進化? なあに?」


 「うっ」


 返答に困ったぞ。


 その時だ。


 上空から殺気が襲ったのは!






 「コーーーッ」


 私の頭を突っつくこの嘴は……。


 「あ~、アコー来た~」


 「コーッ、コッコッコッコッ」


 「このアホー鳥! 止めないか」


 ムンズと掴んで首を持つ。


 「グゲェー」


 「あ~、ライルゥ、放してねっ、ねっ?」


 「放してあげてだ、ラキ」


 怒られたと思ったのか、両手で頭を押さえているが、頭頂のハネがパタパタしていて、愛らしい。


 アコーには、腹は立つが、きっと、ベルナップからの連絡に違いないだろう。


 怒りを下げてラキに渡してやれば、すり抜けて私の頭上にとまりやがった。


 「おい!」


 バタタタタ(羽音)


 「ライル、ラキ、元気なんだろうね。無事にディミトリを送り届けたかな。悪いけど、そちらに『トライパータイト』が行っていないかな? 例の問題で依頼をしたのだけど、随分と経つのに戻って来ないんだよ。何かあったのかもしれないから、探してくれないかな」


 ベルナップの声だ。


 それに、私は「『トライパータイト』依頼達成。ダボッチ山に魔樹の森有り。増援送れ」と返答したが……。


 「ケーッ、ケッケッ」


 嘲笑う鳥。


 「こら、アコー。ちゃんと覚えろよ」


 嘴を開けたまま頭上に居座ってやがる影が足下にうつっている。


 「アコー、お腹すいてる?」


 「コッコー」


 ラキには、素直に返事しやがって。


 仕方がないんでニーアに説明した後、何か与えてやってくれと頼んだぞ。


 「ニーア、良かったな。これで帰れるぞ」


 「ニーア、帰る?」


 たまらずラキが、駆け寄って行く。


 「そうさね。まだ、先の事さね」


 「ニーア……」


 うわっ、ニーアが微笑んでいるぞ!


 ゲシッ。


 「ケッ。姉さんに見とれてんじゃねぇ。邪魔だ」


 ジュマルの奴が、ふくらはぎを蹴って行きやがった。


 「見とれると言うよりは、驚き? いや、恐怖か?」


 「ごちゃごちゃ言ってないで、仕事しな!」



 「うっ」


 蹴られはしなかったが睨まれたぞ。


 「まったく『トライパータイト』の奴等は、足癖が悪い」


 私が、畑の方に向かおうとすると、小さくて温かい仔犬が腰にくっついてきた。


 「ライルゥ、一緒」


 いつものように、肩に乗せてやれば、少しは、気がまぎれたみたいだな。


 「さて、害虫取りでもするか」


 「悪い虫、ラキも捕まえる」


 「それは助かるが、また、塀の外に逃がすのか?」


 「ぅん。逃がす」


 堂々と言いやがったが、まあ、ラキだから許せるか。




 *


 村人達は、程なく回復して、こちらが何も言わなくても各々が出来る事を始めてくれた。


 「朝食も作られていたし、害虫駆除も終わっているな……」


 「悪い虫いない?」


 「いないから、家でも建てるか」


 「ぅん。石、積む~」


 「頼もしいぞ、ラキ」


 だが、実は、一番苦手な作業で……。


 私の居た世界では、低所得者の住む家は、スチロール製だったのだ。


 ドーム型のワンフロワー。


 木の家なんて、世界遺産物だから、こちらでは、贅沢に木を使えて羨ましいと思うぞ。


 それで、この新しい村には、テントしかなかったと言う訳さ。


 で、私が出来る事と言えば、地固めと板運びぐらいで、それは、すぐに終わってしまう。


 それで、村人達が家造りをしているのをボーッと眺めて考えていた。



 『ハーストに任せてばかりじゃなく、村長と交渉したりして探ってみるかな』


 だった。


 「ラキ~。隣りに行ってくるから、ニーアかネビルのところに行っててくれ」


 マァルと追いかけっこをして遊んでいたが、急に立ち止まったもんだから、マァルが背中に激突して、痛みに耐えているようだ。


 口をつぼんでいる。


 「フッ」



 『それにしても、遊んでいる時は、リーダーモーラはいないんだな』


 等と辺りを見回しながら、水を持って門を出たのさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ