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こんな時に

 「フゴゴーッ!」


 謎の呻き声をあげた村長一派が立ち止まっていた。


 底の村の門前には、横たわった村人達が見える。


 ネビルのお陰で、かろうじて助かった者達と、運の悪かった者達だ。


 それを、症状の軽い者から免れた者達が囲んでいて、今さら駆けつけた村長達に酷く冷めた目を向けていた。



 「不味いですね」


 側近のレンフルが小声を発した。


 そこに、悪いが乗じようと思う。


 「新しい村には、頑丈な塀で囲んだ安全な場所が用意してあるんだ。水だってレイデン山から掘った手付かずの美味しい水が引いてある。誰が来ても大歓迎するぞ」



 見渡せば、村人達の反応は……迷っている感じだな。



 「待て! 待つんだ」


 「こいつの仕業だど、惑わされんな」


 と、村長一派は、引き止めようと躍起になっている。


 そこに、ニーアがダングルを連れて来て、領主の孫のベルナップからの依頼や、経緯を話してくれたものだから、一気に気持ちが傾いたようなんだ。


 ダングルは、口を割らなかったが、弁解もせずに悪態をついていたから、信憑性が増したのかもしれない。




 ダングルを睨んでいる者もいたが、ほとんどの者は、何も言わずに自分の家に戻って行った。


 身内を亡くした者もいるだろうから、疲れているのかもしれない。


 だが……。



 『よし! やったぞ』


 私の心は、村長にダメージを与えられた事に純粋に喜んだ。


 村長一派は、個々に村人を説得しているようだが、耳を貸す者は少ない。


 私は、ネビルを守っていたモーラにリーダーモーラを呼んでもらって、新しい村に来る者達の手伝いを頼んだぞ。


 私も、息のある者全員を特殊フィルムの布に、万能スーツについているボタン(反重力)を取り付けて、引っ張って運んだ。


 「デミ坊っちゃんを呼びましょう」


 レンフルがそう進言しているが、村長は、謎の呻き声を出すだけに終わっている。


 「フギー、フーフー」


 「あ、ハーストも戻って来るか?」


 最後の一人を乗せた時に訊けば、「俺は、村長に良くしてもらっているから残る」と言った。


 村長の取り巻きからは、称賛されていたが、更に言っておく。


 「どこがいいんだ? こんな村。まあいいや。気が変わったらこいよ。お前は、中々使えるからな」


 「へっ、俺は、行かねぇよ」


 これで、ハーストの待遇が上がるといいが。


 それを祈りながら、今日は、新しい村に帰ったのさ。




 「ライルゥ、おかえりぃ」


 新しい村の門をくぐれば、可愛い仔犬が飛び付いてきた。


 「ただいま、ラキ。今日は、疲れたよ」


 そう言えば、得意のいいこいいこをしてくれた。


 「ハハッ、これじゃあ、私の方が犬だな」


 「ライルゥ、いいこぉ~」


 村人達は、ジュマルの手も借りて、簡単なテントに別れて寝てもらったよ。


 「明日から大変だな」

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