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仕切り

 「にしても、村長は何をしているんだ?」


 「そろそろ起きる頃だろうぜ」


 ハーストは、この村に入ってから口調が乱暴になったな。


 「誰も村長に助けを求めないなんて、終わっているなこの村は」


 「ライルも村長の家を見ればわかるさ」



 そう大きくもない村だと思っていたが、ハーストに連れられて行けば結構奥が深い。





 「で、なんだコレは?」


 隣りに立つハーストを見れば、嫌そうに顔をしかめた。


 石壁で仕切られていると言ったらいいのか、村の半分に仕切りのような壁が存在する。


 「貴族でも住んでいるのか、この村には?」


 黙って首を振ったハースト。


 「オレなら、すぐにライルの村に駆け込んでいるよ」


 「何かあったのか?」


 「どんな命令にも従わなければ、『地中虫』扱いをされるって聞いたんだ。もしかして、ラキも?」



 『地中虫か。子供達も言っていたな』


 それには、はっきりとは返事をしなかったが、聡いハーストにはわかってしまっただろうな。


 しかし、この村の差別化は深刻だ。


 「で、デミトリは、相変わらずなのか?」


 「不思議なんだけど、全員がデミトリを立てているんだよなぁ」


 「アイツが暴れたら、手がつけられないからじゃないか?」


 「ほんと、滅茶苦茶な奴だけど、特に暴れているところを見てはいないしで……」


 ハーストには、何か思うところがあるようだ。




 「とりあえず、この石壁を全部壊すか」


 「良いね。すっきりするよ」



 って事で壊し始めたら、取り巻き連中のお出ましさ。


 「あ! オメェいつの間に村に入っただ!」


 「そんな事より、大変なんです! ニール。 村人が『毒』でやられて、ライルの仲間が助けてくれているところなんですよ!」


 「あ? 『毒』だって? ソイツの仕業じゃねぇんか?」


 良く、井戸の中に食事を下ろしてきた奴の一人だ。


 「ウィグ、早く何とか手を打って下さいよ!」


 ハーストの熱演? で、慌てているな。


 「おい、レンフルを呼んだがいいんじゃないか?」


 こいつもそうだ。


 「どうするよ?」


 「もう、日が傾いてんから大丈夫じゃねか?」


 「お前が呼んでこーよ」


 「それは譲る」


 「んじゃ、誰が行くんじゃい」


 と、バタバタだ。


 「私が行ってやる」


 崩した石壁を踏んで一歩入れば、取り巻きは引いた。


 「デミを連れて来れるなんざ、化け物級の男だど」


 と、私を指差している。



 『成る程。本当は恐れていて排除したかったのか』


 この時、初めて私は強いのかと認識したもんだから、この閉塞感のある村に歓迎されないのも仕方なかったんだと納得もしてしまったよ。


 「普段から、村人達の上にいるお前等が、村人達が困っている時に何もしないのか? そんな奴には、誰もついてこないぞ?」


 取り巻きは、悔しそうに奥の家に走って行ってしまった。


 「な、出て行くだろう?」


 リーダーをしていたハーストには、これまで、我慢ならない事がもっとあったんだろう。


 「大変な役をさせたみたいだな。今日で終わりにするか?」


 「いいや、まだ、何にも掴んでいないから、暫くは戻らない」



 『まだまだ、少年のような顔をしているのに、大人のような事を言うな』



 私は、ハーストの肩を叩き言った。


 「頼むな」


 「任せろ!」




 それからは、鬱陶しい石壁を全部壊して、あの、カサカサ言うベストを着た側近を待ったんだ。




 「これはいったい!」



 『やっと来たな』


 レンフルと言う側近の後ろから、げふんげふんとやって来た村長。


 「そんな事より、村人が大変な事になってるぞ」


 何か言いたそうだったが、今回ばかりは、村の広場に走って行ったようだ。


 さて、どうなる事か。

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