新しい村
ダボッチ山と向かい合うレイデン山の方から水脈を見つけてもらい、勿論、ラキに。それで、そこから、モーラ達にも手伝ってもらい井戸を作ったのさ。
頑丈な柵も立てて、新しい村の周囲を二重囲いもしてある。しかも、間には罠を仕掛けてな。
ネビルやレイデン山の小動物達のお陰で、畑も耕し種を撒いて野草作りもして、私は狩りをして食料調達をした。
そうして、村人はいないが、形だけは豊かな村になったのさ。
「ラキ、モーラ達は疲れないのか?」
何しろ人手がないので、村の警備から畑の手入れまで何でも手伝ってもらい、働きづめになっているからな。
「ぅん、モーラ、沢山いる~。元気~」
と、やっと笑顔を見せるようになったラキが言う。
「沢山いるって、十五匹だからなぁ……」
「モーラ、モーラ、いっぱあ~い」
楽しそうに跳ねるラキ。
『どうも、ラキの言葉は短文だな。次からは、だからどうした? と質問してみるか』
更地を跳ね回るラキの姿を見ているうちに、遠い昔、父さんと遊んだ思い出が浮かんできたんだ。
だから、ラキを肩にのせて走ってやったのさ。
「わ~、ライルゥ速~い」
畑に水やりしていたネビルに元気に手を振るラキ。
「ネビルゥ~」
こちらに気付いたネビルは、ニコニコ手を振り返してくれている。
私達だけだからか、ネビルも伸び伸びしているな。
「わっ!」
リーダーモーラが突然足下に出没して、コケた私からラキを奪うモーラ達。
「あぁ、やられた」
ラキを拐ったモーラ達も楽しそうにラキを運んで戯れている。
「あ~ん、モーラァ」
二匹に引っ張りあいされて困っているラキが可愛いな。
和んでいたら、モーラのリーダーが来てハーストからの伝達手段を差し出してきた。
ラキに貢がれていた食えない木の実だ。
予め、三日に一度は、塀の外に放るようにハーストと決めていた。
これで、ハーストに何かあったらすぐに助けに行けるようにはしている。ネビルも心配しているんで、たまに、塀を壊しにも行っているんだ。
「こんな、塀の壊れた村よりも私の村の方が安全だぞー。村人、いつでも大歓迎だ」
と、壊した穴から叫ぶのさ。
「まあた出たぞ! 誰か、デミ坊っちゃんを呼んで来いや」
「まだ昼寝中だから、無理じゃねか?」
私の勧誘に、村長の取り巻き達も困惑してるようだ。
だが、最大の敵のデミトリーは、私達の旅と同様に、自分の事だけしかみていないようで、出て来る兆しはない。
『正直、助かるな』
こうして、今、底の村潰しをしているところなんだ。




