表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/88

次の日の約束

 「ちゃんといたな、よぉ、ラキ、マァル」


 猫目を光らせたロウリと明るいシェイ、それに、素っ気ないファントが来た。


 「あ~、みなさんこんにちはぁ」


 「ミャウ」


 三人にハグするラキと愛想を振り撒くマァル。


 ガタガタガタ。


 「ングッ!」


 「ああ、ディミトリーが騒がしいが、気にしないでくれ」


 私は、テーブルの下で騒ぐディミトリーを踏んで押さえつけた。


 ラキやマァルが若者に可愛がられていると、残りの三人もやって来た。


 「早いな、ライル」


 「……」


 リーダーのハーストと、その後ろに隠れたネイビだ。




 「ババーン! 最後に、俺様の到着だー」

 

 と、少し遅れてチェイフィーだな。


 「みんな揃ったようだから、また、美味しい物を頼むよ」


 「任せろ」


 ロウリがはしゃいで走って行き、残りもそれぞれ好きな物を買いに行った。


 「ラキも好きな物を買いに行って来るといい」


 皆と同じに銀貨を渡してやる。


 「ん~、ライルと一緒がいい」


 膝になついたラキを撫でていたら、ハーストとネイビがどうしてか戻って来て座ったんだ。


 いないと思ったマァルは、ネイビにくっついていたようだ。


 「フニー」


 「そこに縛られているのは、ディミトリーだろ?」


 ハーストは、指差して確認してきた。


 「そうだけど、こいつに善し悪しはないから、話しても無駄だぞ?」


 と、教えてやる。


 『うん? なんだか暗い顔をしているなあ?』



 「夜、色々考えたんだ」


 唐突だったが、私は、ハーストが話すのを待ってやった。




 「今日、ちゃんと約束を守ってくれたあんたに頼もうと思ってさ」


 「こっちもみんなに話しがあるから、その後でいいか?」


 思い詰めたような顔をしていたハーストは、ハッと顔を上げた。





 「俺様がいっちばーんだと思ったのによぉ」


 チェイフィーは察しているのか、おどけた様に声を掛けてハーストの肩を叩いた。


 「心配しなくても、お前が一番だ。俺達、まだだから行って来る」


 立ち上がったハーストに、少しヨロヨロしたネイビがくっついて行ったが、ネイビの体調が悪くてここに居たのかもしれないと思い、走ってネイビの肩を掴んだら、そこにしゃがみ込んでしまったんだ。


 「大丈夫? ね? ね?」


 ラキが心配する中、ネイビの破れたズボンの隙間から、血の滲んで蒼く腫れ上がった腿が見えた。


 「あ、ライルゥ!」


 一緒に見てしまったラキの悲痛な声がする。


 ネイビは、サッと破れ目を隠したが、今さらだな。


 「医者に行こう」


 「駄目だ」


 何故か、ハーストは反対をする。


 「さすがに、これは酷い。熱もあるんじゃないのか?」


 私が熱をはかろうと手を出せば、ネイビが「平気……」と言って避けてしまった。


 それを、いつの間にかネイビの正面にいたラキが、デコを合わせて測ったんだ。


 「あ~、少し熱い?」


 キョト顔で考えるラキ。


 ネイビは、少し驚いたようだったが、ラキを嫌がる事もなく素直にされるがままになっていた。


 それで、ネイビを抱き上げてベンチに座らせたよ。


 無言になってしまった空気を破るように、楽しそうに買い物をしてきた三人が戻って来て、少しホッとしたかな。




 「こないだ、ウーナ(妹)が美味しいねって喜んだから、僕、また、福福鳥(ポッポー)を買ってきちゃった」


 シェイが、嬉しそうに肉汁の滴る串焼きを広げた。


 「見てくれよ! 金持ちのミッターがいつも自慢していたガトナの実を買ってきたぜ!」

 

 続いて、不思議な模様のついた果実をロウリとファントがテーブルの上にソッと置いた。


 「驚くなよ。俺様は、黒い粉(砂糖の一種)を買ってきたんだー」


 と、巾着のような物を取り出して置いたのだ。


 「ワー、スゲー」


 と、盛り上がってはいるが……。


 「みんなで食べられない物ばかりだな」


 お土産用に買った物ばかりだったんで、しょうがないからラキと人数分の野菜スープとパンを買いに行ったさ。



 『あいつらに頼んだら、また、違う物を買ってきそうだからな、フゥ』




 で、ネイビもスープにパンを浸しながらゆっくり食べていたので、もう少し大丈夫かと話しを切り出したさ。




 「実は、ディミトリーの件で皆に報告があるんだ」


 福福鳥(ポッポー)をガツガツ食っているマァル以外は、こちらを向いた。


 横では、少し心配そうにそれを見ているシェイがいたがな。



 「ディミトリーの悪行のつけで、小間物屋(インポート)では、余計な仕事が増えてしまって困っているんだと。それで、若者を四人募集するって言うから、どうする?」


 私は、わざとらしく見回した。


 「嘘だろう? そんな上手い話しってさー」


 意外にもチェイフィーが素直に期待を寄せたな。


 他の者は、慎重だ。



 「人望ある私が、ケッセラーの旦那に探すのを任されたんだ」


 「俺様を推薦してくれよ!」


 「いいとも」


 「イ、ヤッター!」


 「僕でも大丈夫かな?」


 シェイがすがるように訊いてくる。


 「シェイは、小柄で非力な事を心配していて、答えないファントは、口下手を心配している。ロウリは、それが本当なのか証拠が欲しいんだろう?」


 リーダーのハーストが皆の説明をしてくれた。


 「ライルが、ディミトリーの仲間を否定しないじゃん。だから、また騙されるんじゃないかって、普通考えるよな」


 ロウリが気持ちを吐露してきたぞ。


 「じゃあ、先に小間物屋(インポート)に行ってみるか」



 私は、ディミトリーを右に担いで、左手にネイビを抱き上げた。


 五人は怪力に驚いていたが、何も言わずに着いて来たな。


 が。



 「ラキ、歩きにくいんだが……」


 「ん~!」


 左足と一体化して、強固に張り付いているんだよな。


 「ラキは、僕の妹のウーナと同じだね」


 シェイがそう言うと、それぞれが吹き出したり苦笑いしたりしていたが、いったい何なんだ?



 フゥ。仕方なく、そのまま行ったけど、どうにも悪目立ちして困ったさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ