ラキの成長
十日も経てば、ラキは、どうして? なんで? と尋ねるようになってしまった。
「ライルゥ、どうしてお空は青いの~?」
「えっ、この世界ではどうなんだ? 少し銀色がかっているのは、魔法があるせいか?」
「ライルゥ、ラキ、わかんない」
「そうだな……今夜寝る前に話して聴かせるよ」
「どうして~?」
「だから、説明が長くなるからだよ」
「ライルゥ、モーラは、どうしてラキと違う形なの~?」
「フゥ」
『今まで、疑問に思っても訊けないでいたんだな』
「ラキ、質問はまとめて寝る前に話そうな」
「今、だめ?」
「いっぺんに訊いても、中々、覚えられないだろう?」
何事か、ラキなりに一所懸命考えたようだ。
「あ、ライルゥ、ラキ忘れた」
バタバタと慌てる様が、ラキの成長にみえて嬉しくなったな。
「自分で苦労して調べられるようになれば、滅多に忘れたりしなくなるさ」
自分の暗黒時代もそうだったな……。
思い出したくも無いろくでもない過去だが、必死になって覚えた事は、今でも自分を助けている。
『ラキを学校に通わせてやりたい』
領主から家をもらえたって事は、居住権もあるって事だよな?
急に心配になり、領主と話す時間を貰えないか、家令に訊いてもらおうと思った矢先、あの、アホー鳥じゃなかった、アコーが伝言を持って飛んで来た。
「ディミトリを私の家に引き取って欲しいって?」
「左様でございます」
今度は、何をやらかしたのか? それとも、我慢の限界か?
『そろそろ、底の村に連れて行ってこの世界の『滅び』を食い止めなきゃな……』
翌日、家令とエドナンド先生には、お礼を伝えた。
ラキが、しょんぼりするものだから、エドナンド先生は、「ラキ君、寂しい老人の元に是非遊びに来て下さいね」と、家を教えてくれたんだ。
ラキは、涙が止まらなくてちゃんと挨拶が出来なかったけど、先生は、最後まで親切で、ラキにジャックをくれた。
ラキには、大切な物が順調に増えていっている。
『いったい、どんな青年になるのかな』
楽しみではあるな。
それから、領主にお別れの挨拶をしに向かった。
最初に会った広間で挨拶をしているうちに、底の村から来たと言う話しになり、どうしてか、モニュメントの像の話しになったのさ。
「私が落ちて壊してしまいました。あの村が、国中から選ばれた場所だと聞いています。それで、どう責任を取るべきか、教えて頂けないでしょうか?」
「国中から選ばれた場所とはな。セドリック(家令)、そんな話しではあったが、誰からの贈り物であったかわかるか?」
後ろに控えていた家令が、領主に近づき確認を取っているようだった。
「やはり知らぬか」
領主の言葉に俯くセドリック。
考えながら、慎重に言葉を選びながら私に話す領主。
「その話しをすると、自分が信じられなくなってな、セドリックと話しをして、やっとそれが、自分だけではないと理解したところだ」
なんとも、歯切れの悪い言い方だ。
私は、辛抱強く領主が説明するのを待つ。
下手に追及すると、警戒されたり有らぬ疑いを掛けられたりするから、気をつけないと。
「底の村に贈られた像の寄贈者が知れないのだ。以前、どうしても思い出せずに貴族連中にカマを掛けたが、いずれも、誤魔化されてしまった」
「寄贈者を誰も知らない? そんな事がある訳ないでしょう。第一、国中から選ばれたのだから、寄贈の像の提示があって、募集もされて決めている筈ですよね?」
「自分の記憶を信じるのであればだが、ある日突然、その事実を知ったのだ。その後もそれ以前もないのだよ。分かるかね、ライル?」
『分かるかよ!』
「キミに言われるまで、今の今まで忘れてしまっていた。村に像を作っても、何も問題はないからな」
「では、壊れてしまったとしても、特に問題はないんですね?」
「そうは言っていない。責任を感じるならば、少し調べてはくれないか? これから、底の村まで戻るのだろう?」
「調べるって、何をどう調べるんですか?」
「こちらも、突然、誰かに植えつけられでもしたような記憶の元を調べさせるのだ。キミも何か聴いたりした事をこちらに報告でもしてくれないだろうか?」
まあ、それぐらいならいいかと、報告の約束をした。




