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領主と顔合わせ

 私とラキの紹介が終わると、領主が……。


 「孫をここまで成長させてくれた事を感謝する」


 と言われて、ベルナップの約束通りにカンツールの街の方に、家の鍵と金貨をお礼に頂いた。


 「して、そこの子供も『幻獣の力』を持っていると言うのは本当かね?」


 「はい。黄土竜子団(モーラオーチャーズユニット)を従えています」


 「この、爺に呼んで見せてはくれないか?」


 髭を撫でながら、ラキに顔を向けた領主。


 「は~い」



 『うん、いい返事だ』


 「お祖父様、それなら庭に出なくてはなりませんよ?」


 「では、ここから中庭に出るとしよう」



 中庭は、領主のすぐ後ろにあり、開放的な広間から出れば、四角く切り取られた青空が見えた。


 「さあ、呼んで見せてくれたまえ?」



 ラキは、可愛い声でモーラ達を呼んだ。


 「モーラ~」



 ドコドコドコと地下を掘る音が近づくと、土が十五個盛り上がり、シャキーンとポーズを取って現れた。


 統率のとれたモーラ達に、領主は感心しきりだが、手入れされている中庭が荒れてしまったがいいんだろうか?


 「これはまた、頼もしい魔物の傭兵団だな」


 ラキに向かってポーズを取ったので、ラキの愛らしいポーズが目に入り笑みながら、隣りに立ったのだ。


 「モーラ、いい子」


 ラキがニコニコしながら領主を見上げた。


 「フム、ラキと言ったか? 言葉が遅れているようだが?」



 「すみません。両親が亡くなって(嘘)、しばらくの間独りぼっちだったせいか、言葉を知らなかったんです」



 わっ、微妙な空気が流れている。



 「僕は、ラキ君の話し方は優しくて心地いいから気にならないよ」


 ベルナップの肯定に首を振る領主。


 「貴重な『能力』があるのだから、自分磨きを怠ってはいけない」


 領主は、ラキを優しく見下ろして、こう言った。


 「エドナンドをつけてやろう。ここにしばらく滞在するといい」




 「お祖父様、そんな……」


 「お前は、帰って『能力』を磨きなさい」




 確かにベルナップには、まだ、これと言った能力が顕現していない。


 肩を落としたベルナップは、屋敷に先に帰るようだ。





 私がゆっくり成長すればいいと考えているから、ラキの言葉は成長しないのか?


 しかし、ラキは、私と戦闘に参加しているせいか、『能力』の成長は著しいしな……。


 あの、『テッテケテー』を倒した能力は、『言霊』だとある晩『幻獣』から聞かされて驚いたが納得もした。


 夜中にふと目を覚さましたら、上半身を起こしたラキの瞳が金色に光っていたのに違和感があったな。


 何でも『幻獣』は、時々こうして夜空を眺めているらしい。



 『だから、ラキは、寝不足になるんだな』






 翌朝、インクとペンと皮紙、それにペーパーウェイトの入った美しい小箱を貰ったラキは、大喜びだ。


 「ライルゥ」


 鳥の飾り彫りを見せてくる。


 「良かったな」


 「ぅん」


 エドナンド先生は、昔、ベルナップを教えていた家庭教師のようで、今は引退されてコンシーナの街に住んでいるらしく、ラキの為にわざわざこちらの館まで歩いて来て教えてくれている。


 初めて会った時は、ラキが緊張して私の後ろに隠れてしまったので困ったが、先生は、子供の扱いには手慣れていた。


 ポケットから何かを取り出して、指にはめるとそれで挨拶してきたんだ。


 「怖がらなくても平気だよ。コイツは、図体はデカイが気の優しい奴なんだ。ああ、俺は、あんたと同じ生徒のジャック。で、こっちのデカイ奴は、エドナンドなんちゃらだ、宜しくな」


 途中からラキは、エドナンド先生が話しながら指を動かすものだから、生きているのかと前に出てガン見していたもんな。


 「ジャク? あ~、ラキ」


 ニコニコと指人形に自己紹介をした。


 それから、エドナンド先生にも笑顔を向けたのだ。



 『領主に気に入られる筈だな』


 毎朝、楽しそうに勉強するラキは、先生から日記をつけるように言われて、ちゃんと、文章と言うものを覚えたんだ。


 「ライルゥ、今日は、いい天気」


 「本当だ。気持ちのいい空だな」


 私が抱き上げると、きゃあと愛らしい声を上げた。


 「エドナンド先生は、素晴らしい教師だが、一番は、ラキが賢いからだぞ」


 相変わらずの偏食で、身体的には成長が遅いが、これは仕方ない。


 どうしてかと言うと、『幻獣』に要因があるのだからどうにもならないのさ。


 ベルナップも塔から戻ったら、急に肉が食べられなくなっていたしな。


 但し、こっちは笑えたがな。

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